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捨てられた令嬢は隣の貧乏帝国を買い取る 〜身勝手な婚約破棄、一パーセントの誤差もなく差し押さえますわ〜  作者: 冷泉院 麗華


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第25話:新しい『金』の音が聞こえる市場

「……お聞きなさい。たかだか偽物の『太陽』が消えた程度で、この世の終わりだと嘆くのはお止めなさいな」


 瓦礫の山と化した大聖堂の地下。

 崩壊した偽造魔導炉から立ち昇る黒煙の中、わたくし――セラフィナ・フォン・アストレアは、絶望に震えるサイラスと、虚脱したルチアを見下ろし、冷徹に告げました。


 地上の聖都では今、魔力の供給が止まったことで、かつてないパニックが起きていますわ。

 魔導灯が消え、噴水が止まり、結界が霧散する。

 人々は暗闇の中で叫び、教皇庁という名の「巨大銀行」が倒産した現実に、ただ狼狽うろたえるばかり。


「セラフィナ・フォン・アストレア……! お前は、世界を……世界を壊したんだぞ! この穴埋めを、どうやって、いくらの金で支払うつもりだ!」


 サイラスが、血を吐くような叫びを上げました。

 おーっほっほっほ! 本当に、視野の狭い方。


「壊した? いいえ、サイラス様。わたくしはただ、腐敗した古い不良資産を『損切り』し、優良な新資本に置き換える手続きをしただけですわ。……マリアンヌ、CEOフェルム。全回路、接続切り替え(スウィッチ)なさい」


「了解です、お嬢様。……『新大陸標準魔力・アルビオン』、供給ライン全開放。……旧教皇庁の導管をバイパスとして強制使用。……世界は今、わたくしたちの帳簿に書き換えられます」


 マリアンヌが静かに魔導端末を叩いた、その瞬間。


 大聖堂の地下深くから、凄まじい「蒼い閃光」が噴き出しました。

 それは、わたくしがこの日のために蓄え、帝国の全知を注いで純化させた『アルビオン結晶』の輝き。

 

 黒い偽造魔力に汚染されていた導管が、一瞬で透き通るような蒼に浄化クリーニングされていく。

 暗闇に沈んでいた聖都に、教皇庁の「死の光」よりも数倍明るく、そして安定した、生命の脈動のような光が戻りました。


「な……接続されている!? 教皇庁の鍵がなくても、この魔力は……!」


「お黙りなさい。……陛下、あそこに跪いている方々、少しばかり静かにさせてくださる?」


 大聖堂の広間に押し寄せ、わたくしを「魔女」と糾弾しようとしていた教皇庁の残党や、隙あらば利権を掠め取ろうとしていた周辺諸国の使節たち。

 アルリック陛下が、抜剣した精霊鋼フェルムを地面に突き立てると、凄まじい衝撃波が彼らを黙らせました。


「諸君。……この大陸の魔力は、たった今、我がパートナーであるセラフィナ・フォン・アストレアが『買い取った』。不満がある者は名乗り出ろ。……ただし、名乗り出た瞬間に、君たちの国への魔力融資は『永久凍結デフォルト』されるがな」


 アルリック陛下の冷徹な通告。

 使節たちは一瞬で顔を青ざめさせ、深々と頭を下げました。

 愛や信仰ではなく、生命線である「魔力(資本)」を握られた恐怖。

 これこそが、わたくしの望んだ『完璧な秩序』の第一歩ですわ。


「ルチア様。……まだ、そこに座り込んでいるおつもり?」


 わたくしは、瓦礫の中にいたルチアに手を差し伸べました。


「……セラフィナ様。私は……私は何を、信じれば良いのですか。私の帳簿は、すべて嘘だった」


「でしたら、わたくしの下で、世界で最も『正しい帳簿』を付けなさい。……本日をもって、わたくしは『大陸中央銀行』の設立を宣言いたします。ルチア・フォン・クレメンス、あなたをその初代筆頭監査官に任命しますわ。……あなたの銀の帳簿を、偽造を暴くための『剣』に変えなさいな」


 ルチアの瞳に、再び光が宿りました。

 絶望を「仕事」という名の希望で買い取る。……これも一つの、有意義な投資ヘッドハンティングですわね。


 聖都ソルレウスを実質的な統治下に置いたわたくしは、その足で大聖堂の最深部、教皇のみが知る「秘蔵金庫」へと足を踏み入れました。


 そこには、莫大な財宝などありませんでした。

 ただ一つ、古びた、しかし不気味なほどの魔力を放つ『一枚の金貨』。

 わたくしがそれに触れようとした瞬間――。


 キィィィィィィィィン……。


 脳を突き刺すような、澄んだ、しかしあまりに巨大な「金貨の旋律」が響きました。

 それは、これまでのどんな金貨とも違う……。

 まるで、この世界そのものを「所有」している何者かが、帳簿の不一致を指摘しているかのような、不吉な音。


「……あら。マリアンヌ、この金貨の裏に、何かが刻まれていますわ」


 そこには、大陸の言葉ではない未知の文字で、こう記されていました。

 ――【委託管理期間、間もなく終了。……真の出資者が、全額回収リコールに参ります】


 おーっほっほっほ!

 どうやら、教皇庁すらも、ただの「雇われ店長」に過ぎなかったようですわね。


「陛下。……世界を買い取ったと思ったら、どうやら先客がいらしたようですわ」


「ほう……。面白いじゃないか。……セラフィナ、君ならどうする?」


「決まっていますわ。……その『真の出資者』とやらが誰であれ、わたくしの市場を荒らすなら、一パーセントの慈悲もなく……完膚なきまでに『買い叩いて』差し上げますわ!」


 第2部:教皇庁・聖域解体編、ここに完結。

 

 大陸を掌握した令嬢は、ついに世界の「所有権」を巡る、神話級の投資戦争へと足を踏み入れるのです。

お読みいただき、本当に、本当にありがとうございますわ!


第2部『教皇庁監査・聖域解体編』、これにて堂々の「最終決算」ですわ!

一国の令嬢が、神の権威を「債務不履行」で解体し、世界のエネルギー利権を掌中に収める……。

皆様、この圧倒的なカタルシス、堪能していただけましたかしら?


ルチア様という有能な味方を加え、教皇庁という巨悪を「損切り」したセラフィナ様。

ですが、最後に現れた謎の金貨。

どうやらこの世界には、わたくしたちの帳簿には載っていない「真の黒幕オーナー」がいるようですわね。


第1部、第2部と続くこの物語。

もし「このまま世界の真のオーナーすら買い叩くセラフィナ様が見たいわ!」と思ってくださったなら、

ぜひ、完結記念の「ブックマーク」と、下の【☆☆☆☆☆】を、セラフィナ様が掲げたアルビオンの蒼い光のように輝く【★★★★★】にして、わたくしを応援してくださると嬉しいですわ!


皆様の評価という名の「資本」が、わたくしの執筆魔力を次のステージへ押し上げますの。

それでは、また次の「大規模商談」でお会いしましょう。

ごきげんよう! おーっほっほっほ!

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