表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/105

第20話.銀河を揺らすお仕置き! 〜サトルの断末魔と、歪み始めた歴史の歯車〜

「サ・ト・ル・さ・ん……?」


 その一言は、もはや音声ではなかった。


 事象地平線を超えた純粋な殺意の波動が、四次元王宮の窓ガラスを粉砕し、王都ビッグテラの全ネオンを過負荷で爆発させた。


「ひっ……演算不能! お母様の魔力が、宇宙の許容スペックを超えています!」


「アカネ、アオイ! 逃げるわよ、物理障壁全開ッ!!」


 サーヤが叫んだ瞬間、真っ赤に染まったサラの髪が逆立ち、背後に怒りの焔で形成された「千手観音」の如き魔力腕が出現した。


「サトルさん……。6500年も私を待たせた挙句に……マリちゃんの『体操着バージョン』、ですってぇぇぇぇ!!」


 「――サトルぅぅぅぅぅ!! 覚悟しなさいよぉぉぉ!!」


 銀河中に響き渡ったその咆哮は、遠く離れた帝国の観測所に「超新星爆発」の誤報を流させ、数多の惑星の住民たちが空を見上げて「神の怒りだ」と跪いた。



 その頃、街の場末の酒場で震えていたサトル。


「あぁ、サラ。俺は娘にも嫌われる親父になっちまったよ」


 情けない呟きとは裏腹に、視線の先にはモニターに映る少女の姿。


 少しだけ、ブロマイドに映っていたマリに似ている。


「……へへ、この角度、たまらねぇな」


 自然とにやけてしまう。集中力が長く持たない。

それがこの男の弱点であり、破滅へのトリガーだった。


 突如として、サトルの目の前の空間が「素手」で強引に引き裂かれた。


「……あ」


 亀裂から現れたのは、赤髪をなびかせ、瞳に地獄の業火を宿したサラ。


 感動の再会は、一瞬にして絶望の地獄絵図へと書き換えられる。


「ま、待てサラ! あれは……あれは観賞用だ! 投資だ! 資産運用の一環で――」


「問答無用。……『次元剥離(お仕置き)』」


 ドゴォォォォン!!



 四次元空間そのものを「叩きつける」ような一撃。


 サトルは銀河の端から端までピンボールのように弾き飛ばされ、いくつもの小惑星を粉砕しながら、最終的に王宮のサーヤの足元へと、頭から五体投地状態で突き刺さった。


「…………もう、ブロマイドは、買いません……」


 白目を剥き、魂が半分口から出た状態でサトルが呟く。


「……勝負あったわね。最初からそう言えばいいのよ。で、お母さん、やりすぎ」


 サラに続いて空間から現れたサーヤが呆れて声をかけると、サラの髪が銀色に戻り、ニコリと微笑んだ。


「ふふ、少しスッキリしたわ。……でも、少し力を込めすぎちゃったかしら?」



 その時だった。


 アカネとアオイが、かつてないほどの激しい警告音を鳴らした。


「警告! 銀河標準時タイムラインに致命的なズレを検知! 因果律が……逆流しています!」


「お母様(サラ様)のあまりに強すぎる魔力によって、四次元と現世を繋ぐ『歴史の歯車』が脱落しました!」


「はぁ!? 何それ、アタシたちのいた『6500年前の学園』はどうなったのよ!?」


 虚空のモニターに映し出されたのは、ノイズにまみれたかつての故郷。


「……後ろでバカ親父の悲鳴が聞こえるけど、振り返ったらトラウマになるわね。後は夫婦二人で勝手にやって。アタシはできた娘なのよ」


 サーヤは両親を(物理的な意味で)置き去りにし、アカネとアオイを連れて海賊船へと全力で駆け込んだ。



「おい、二代目、無事だったか!?」


「何が起こったのか分からない。でも、銀河の流れが変わって時空が歪みまくってるわ!」


 サーヤは即座に指揮を執る。


「アカネ、時間結晶用意!」

「はい、サーヤ様!」


「アオイ、アンタは時空の嵐に備えて船に結界を!」

「了解です」


「エリカ、後は頼んだわよ!」

「任せとけ、二代目!」


「じゃあ……6500年前に行くわよ!」


 サーヤの掛け声とともに、時空の波濤の中へ、海賊船が帆を上げた。


 視界が開けると、そこには見覚えのある地球と月。



 だが、「6500年前の学園」は、サーヤの知る場所ではなかった。


 空はどす黒い雲に覆われ、街の巨大モニターには一人の少女が映し出されている。


 漆黒の軍服に身を包み、冷酷な笑みを浮かべる少女。


 街の住民も、学生たちも、皆が同じ軍服を纏い、彼女に跪いている。


「――マリ……?」


 サーヤの呟きに呼応するように、画面の中の少女がこちらを向いた。


「うふふ、遅かったようね。全銀河のコピペ権限は、私が接収した。……逆らう者は、時間の中に消し去ってあげよう」


 マリの手が動く。


 それは、サーヤの専売特許であった「コピペ」と「時間結晶」を組み合わせた、神の所業。


「嘘でしょ……? マリ、あんた、何やってんのよ……!」


 歴史のズレが産み落とした、最悪の魔王。


 かつての親友が、絶対的な敵として立ちはだかった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


さぁ、ラスト3話!

そろそろ皆さん、【☆☆☆☆☆】でサーヤ、いえ、作者に応援を!(笑)

マリファンの方でも結構です。評価いただけますと嬉しいです。


まだまだ、物語はヒートアップしていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ