サディの両親
「おかしい。こんなはずではなかったのに。どこで間違えたんだ。」
私はハンニ家の当主だったのに。長男がまともに歩けないから、捨てた。ただそれだけのはずだった。
産まれた時は嬉しかった。
跡取りができたと、喜んだ。一歳を過ぎ、まとまに歩けないことが分かってからはだんだんと憎らしくなってきた。
どうして歩けないんだ。どうするんだ。せっかく跡取りだと思ったのに。
これでは、この子はまともに仕事が出来ないのではないか?中傷されるのが私になるのではないか。
そう思うと、悲しくなった。
よし、この子は諦めて次の子に期待しよう、そう思って何が悪かったのだ。
家の者たちは上の子も下の子も同じように可愛がっていた。妻は私のいないところで上の子もみていたようだ。
辺境に作品を見に行った時、あの子は歩いていた。私の前では歩けなかったのに。まるで私が何もしてこなかったようだった。
だが、私も最初はいろいろ手を尽くした。それでもダメだったんだ。
そのことはフィリップ様も分かってくれた。それでも隠居を言い渡された。
家督は上の子が継ぐだと。あいつに何ができるんだ。大した教育も受けていないのに。
そう思っていたが、辺境で教育が施されていたらしい。あの子を預かり育ててくれていた人が手を打っていたらしい。
妻はそれを聞いて泣き崩れた。息子のままでいさせてくれた、と。
それを聞き、私たちは隠居することを決めた。だが不満は不満だ。
この部屋を出たら、あの子達がいるという。不満気な顔を晒して、しっかり見ておくことにしよう。
すまない、と言える立場ではない。
でも、言葉にはしないから、許してくれ。すまなかった。




