第31話 次の一手
試合シーン、表現の難しさを知りました
「あ~あ、初勝利だと思ったのに~」
「しょうがない。亜紀が足を攣って退場しちゃったから、人数的に不利になったし」
「私のせいだと言いたいんですの? それなら志保さんだって、あの後フリーの得点チャンスを2度も外していますわよ」
「まあまあ、勝負に『たられば』はないから」
歩きながら舞が場の空気を和ませると、3人は納得したようにため息をついた。
だが、勝利目前で追いつかれたショックは大きく、誰もがその悔しさを引きずっていた。
初得点を奪い、1対0で残り2分を切った時――亜紀の脚に限界がきた。
控えのいないフローラルは、4人で戦うしかなかった。
ゴレイロの舞を中心に必死に守り続けたが、亜紀の穴は大きかった。
そして最後の最後で力尽き、1対1の引き分け。
さらに亜紀の離脱により、オレンジとの試合も不可能となり、結果は1敗1分けで終わった。
「あと1週間もすれば夏休みだし、体力増強メニューを考えないとね」
「まだ筋トレをするつもりですの? どれだけ体力を付けるつもりですか?」
亜紀がうんざりしたように言うが、志保は気にせず続ける。
「だって5人しかいないんだよ。スタミナをつけないと。私の目標は夏休み中に腹筋を6つに割ること! ちょっと線も出てきたし」
その発言に、志保以外の全員がドン引きした。
「そ、その目標は女子高生としてどうだろう……」
「志保ちゃん、フットサル選手である前に女の子なんだから、ほどほどにね」
「わ、私はそんな身体にはなりたくありませんわ」
(コクコク)
完全否定の嵐だったが、志保はまったく気にしない。
「でもさ、色んなこと分かったし、超楽しかったよね」
「そうだな。実りの多い試合だった。大会の情報も分かったし、それに向けて頑張らないと。とりあえず、お盆明けの日曜日の大会だな」
試合後、千絵から聞いた情報で、スクラッチとオレンジマジックが大会に出場することが判明した。
フローラルも参加を表明し、千絵が登録を手伝ってくれることになった。
「オレンジマジックもスクラッチもまとめて倒してやりますわ。この私に敗北をつけたあの2チームに、必ずリベンジですわ」
「そうなの。今度こそ勝ちたいの」
足を引きずりながらも闘志を燃やす亜紀に、柚季が同調する。
その姿に、メンバー全員が驚いた。
普段感情をあまり表に出さない柚季が、「勝つ」と言ったのだ。
「そうだよね。今度の大会は絶対に優勝しよう」
「でも、やっぱり5人はきついよな。真夏の昼間だし、大会は連戦になる。もう少し人数が欲しいな」
理沙の言葉は現実だった。
他のメンバーも、不安を隠せない。
さらに――スクラッチの女性メンバーの実績。
バスケ全国ベスト8、空手県3位、陸上全国出場、テニス全国ベスト16。
常識外れのメンバーが揃っていた。
「まあ、問題があるなら解消していけばいい。あと1週間、出来ることをやろう。入部募集もして、体力と技術を上げる」
「あとさ、今日の試合で形が見えた気がするの。部室で戦術、詰めようよ」
「いいと思うの」
「私もポジション研究したい」
「それなら善は急げですわ。三橋!」
「はい、お嬢様」(プルプル)
突如現れた三橋に、全員が唖然とする。
部室に戻った5人は、柚季のノートパソコンに釘付けになっていた。
試合を客観的に見て、志保は気付く。
(このままじゃ勝てない)
自分の足も、理沙も、柚季も限界だった。
舞の身体には青あざが残っている。
たった2試合で、ここまでボロボロ。
それはつまり――
実力が足りていない
(やっぱりスタミナが足りない)
そして志保は決断した。
「合宿をしよう! 夏休みに!」
読んでくれてありがとう!
フローラルは今日もいつも通りです。
多分次回もいつも通りですです。
応援よろしくお願いします!




