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ついに、怒涛の最終話!T大学も出てくれば新興宗教とか右翼も出てきたりで色々とカオスだけど日本が壊滅しますから反日の皆さんどうぞ安心してお読みください★

風が吹く。

リンゴの花の白さと、空の青さが嬉しくて、ついつい笑ってしまう。

あれから-私と親友の仲はだんだん寒くなって、クラスにも居づらくなってしまった私は、いっそのことどうにでもなれと思って、知恵の実48個を貪り食った。理由は、自暴自棄になったことと、知恵の実を喉に詰まらせて窒息するのも悪くないと思ったからである。

結局、知恵の実で腹が一杯になっただけだった。

でも-

知恵の実が与えてくれたのは小難しい日本語だけではなかった。高校以上の歴史も、素粒子物理学も、IoTのなんぞやも、一級建築士並みの技術も、法律学も、マックス=ヴェーバーも、近代科学の展望も、マクロ経済も……ありとあらゆるアカデミックな知識が私のなかに入ってきてしまった。

友人を失いアカデミックナレッジとintellectual curiosityを身につけた私は心機一転T大学を目指し、見事この春合格した。


少し寒さは残る4月、リンゴで有名なA県に遊びに来た。移住したくない場所37位(47位中)だがこの風景もいいものだ。


私がここに来た理由とは、この周辺に私が-かつて友と読んだ阿久瀬という子が通うことになった

大学があるからだ。

できることなら、また会いたい。

一定の期間、他の人とは違い嫌な顔せず(多少引いていたが)知恵の実実に振り回された私に優しくしてくれた彼女に、会いたい。


少し遠くの山の影を見つめる。空気は澄み、太陽のささやかな光が残雪を照らす。今後の人生にとって会えるかどうかなんてきっと問題ではないし、過去のことに固執するよりも大事なことがあって、それが今以上に私を満たすことになるのだろう。そうとわかっていても、彼女が私の隣に来てくれることをぼんやりと、おそらく願うような気持ちで想像していた。


「杏」


電流に似た驚きが、スローモーションになる。

振り向く。


彼女がいた。


時間がそこで止まり、なんだかこれまで突っ張っていたものが全部緩んでしまって、どうにもならなくなった私は彼女の名前をよぶ前に、涙を落としそうになる。


息を整える。


「阿久瀬ちゃん」


そこですべてがぷつんと音を立てて、崩れてしまう。

駆け寄る彼女。我慢しきれなくなって、この気持ちを抑えようとしても目から流してしまう私。


私の小さな願いが、叶った音がした。


それから私たち二人は他愛もないことも、ずっと言えずにいたことも、全部話した。


お互いに近づけずにいたのは、私が急に成績を上げために阿久瀬ちゃんがもとの仲にはもう戻れないと感じて、交わす言葉も少なくなっていったからだった。


罪は私にあるのだろうか、二人を分け隔ててしまった知恵の実にあるのだろうか。


問いに答えるのは、もはや言葉なんかではない。


言葉よりも遥か上にある、手の届くか届かないかの言い切れない、曖昧で、壊れてしまいそうなくらい純粋な、なにかだ。


ここまで考えてみて、私は阿久瀬ちゃんとギクシャクし始めたときから言葉の奴隷だったんだな、と胸のなかで苦笑いする。


このまま止まっていてほしくて、でも前に進むには十分すぎるほど、しあわせな時間だった。



(十年後)


私は度重なる留学の後にT大学院を卒業し、司法試験、医師の国家試験など難関とされる試験に次々と合格し、世間から、特に学歴を重んじる偏屈な教育ママとどっかの有名私立学校に合格したらしたで親に文句を言い、挙げ句の果てには「そっちが勝手に入れたんだろ!」と言いそうなお子さんたちの注目の的となった。

さらに、二十代後半から始めた予備校のバイトは面白いくらいに軌道に乗り、なにを言っても目をキラキラさせる生徒たちに崇拝され、予備校のチラシにはいつしか私の顔がメインで載るようになった。栄枯盛衰という四字熟語を絶えず意識していた私にとって、だんだん世間に与える影響力の高まりと発言力のグレードアップは甚だ意外だった。

そのアイデアが浮かんだのは三十代になってからだった。周囲の連中が鼻の下を伸ばして「結婚しました!」なんて言った二年後に離婚あるいは不倫をし始める頃、知恵の実でなにかうまいこと金を集められないだろうか、と考えるようになった。

いろいろ考えてみて、最良なのは新興宗教の教祖になることだった。

現代の心理、ビジネス、需要と供給のバランスを考慮して、私は論理と引用に裏打ちされた演説を駆使して活動を始めた。名前?適当につけた。名付けて、「キルファウイートゥロ:カルバルカ巡礼滅罪ギルド」。半分ふざけてつけた名前に興味を持った人たちが、わんさか私の演説配信動画の再生回数に貢献してくれた。

入信者からふんだくったカネで私はW県の山あいの限界集落を買収して、宗教村落を設立した。ときどきテレビキャスターとか愚にもつかないバラエティー企画の取材が訪れたが、そんなものが来た時点で追い返した。

私、いや教祖である私-救いのおや様の神殿「蔦正殿」が完成する頃には四十代の半ばとなっていた。早いものだ。

温泉施設経営、低価格リゾートの経営にまで手掛けるようになった教団は財界だけでなく、やがて政界にも進出し政党を立ち上げるようになった。

この辺まで来ると世間からの非難がうるさくなってきそうだったので、ちょうどいい塩梅の慈善事業にも投資した。救いのおや様に倣って教団幹部から信者まで慈善事業団体に寄付するもんだから、どっかの国の偉い人からお褒めの言葉を頂いたり図鑑で見たことあるレベルの勲章を頂いたりなんかした。

止まるところを知らぬ「キルファウイートゥロ:カルバルカ巡礼滅罪ギルド」。

私はちょっと不景気になりそうで儲かりそうだな、と頃合いを見計らい教団の改名をした。

「大帝国愛賛連盟」。

私は軍服風の衣装に身を包み、地方都市を宣伝カーで回った。

かつてのカリスマ予備校講師が教祖になった後、姿を見せないためその存在を忘れかけていた単純な世間は私にまんまと騙されてしまった。

右翼っぼいなーとか気づいたのはネット民族ぐらいで、彼らは大きな世間の渦に背を向け始めてしまった。さしずめ教団信者からのいじめを恐れたのだろう。なんとも残念。私のこの流れを変えてくれると思ったのに。

大帝国愛賛連盟の政党、愛賛護国会は衆議院で過半数を獲得、野党とも融和策を図り大勝、数年後に史上初の改憲に至った。

この国を手にしたとかささやかれる私の前に強敵が立ちはばかったのは、そのときからだった。


副総理、愛賛護国会の不来(ぶらい) 武(ぶ)が汚職事件で逮捕された。


私はこんなことに責任は微塵も感じていなかったが、責任をとらざるを得ない立場になった。


揉み消しを図ったが、昔のようにはいかなかった。あらゆる不正が芋づる式に暴露され、救いのおや様の立場もなくなってしまった。


ついに教団幹部、佐久(さく) 椎弩(しいど)が私に意見してきた。


「おや様、代替わりは如何でしょう?」


軽い気持ちで悪くないな、と二つ返事をしてしまった私。



だが地獄は、ここからだった。



愛賛護国会本拠ビルの地下150メートル、日本最大級の核シェルター。


三万人収容可能という気の狂いそうになるくらいの光なき空間に、私は監禁されてしまった。


かろうじての食事は地下の備蓄分から得て、真っ暗な部屋の隅っこともつかない隅っこに排泄していった。


私は生まれて初めて、誰かを呪ったのかもしれない。


地上の方でものすごい地震があったかと思うと、それから意識の表面をなぞるような、寒々とした予感が現れた。












真っ黒な、沈黙。










神は私を選んだ。私はずっと感じてきた全人類の愚かさを、醜い笑い声をあげて嘲った。汚い言葉が、排泄物の耐え難い臭いのする漆黒の地下にこだまする。


その日、私の祖国は繰り返してはならない過ちを、また繰り返したために、回復不可能な核の荒土と化してしまったらしい。


しかし地上にでることがついにできなくなってしまった。


少し考えて、私は自分という個体を細胞レベルに落とし込み、さらにエネルギーレベルへ変換させることを思い付いた。


頭頂部から溢れ出す神秘エネルギー。


次第に私の意識は無意識界へと流れ出ていった……


知覚の眼によって、景色を見渡す。もはや地上は荒廃し、頼れるものは精神の楽園のみであった。


私に知恵の実を授けた「キルファウイートゥロ:カルバルカ巡礼滅罪ギルド」の教義の最高最聖のアラハバキ神が、目の前にいた。


「かつての小娘よ……久しいな……」


私は跪き、忠誠の涙を流す。


「光栄に存じます……」


「お前の国は滅びた……これからは他人の脳細胞の情報として生きよ……」


「それが、知恵の実を、禁断の実を食した贖罪でございますか……」


「その通りだ」


私の意識総体は生命活動を停止した肉体を離れ、地球を移動する。


精神の眼から見た地球は青なんかではなく、ゴツゴツしていて、ところどころぶよぶよしたとげのある美しくはない汚い物体だった。


私は麗しきقسطنطينيهに降り立ち、生まれたばかりの赤ん坊の脳へ侵入した。やがて赤ん坊は少年になり、私の記憶、失われた国の最後の一人の記憶を語り、それを人々に伝える。ネットを通じ、少年から他の人へと、私は伝播される。


クルンテープ マハーナコーンアモーンラッタナコーシン マヒンタラーユッタヤー マハーディロックポップノッパラットラーチャタニーブリーロムウドムラーチャニウェートマハーサーターンアモーンピマーンアワターンサティットサッカタッティヤウィサヌカムプラシットの街で、私は複製され、更なる路が拓かれる。


世界中の人々が私を記憶し、語り継いだとしても、救われない、償えない、満たされない、私。


今日も誰かが、私のことを思い出す。


私がいない世界で、誰かが私のことを記録し、それを読む。


それを読む人々がいる限り、私は今この瞬間も、脳の地獄を味わう。


記憶の業火と罪悪の枷は、未だに私を責め立てる。


もう一度言う、いまこの瞬間も、だ。



ある人から、またある人へと。












































私はあなたの脳が枯れるまで、あなたを許しはしない。






























アッハッハハハハハッハッアハアハハアッハッハヒヒアハハヒヒアハハハッハッハハハヒヒヒヒヒヒアッハッハアハアハハハハハハッハッアハアハアハアハハアッハッハヒヒヒヒアハハハッハッハハハヒヒアッハッハアハアハハハハハハッハッアハアハアハハ……アッハッハヒヒアッハッハアハアハハアッハッハアハアハハハハハヒヒアッハッハヒヒヒヒアハハハッハッハハハハッハッヒヒアハハアッハッハアハアハハアッハッハヒヒヒヒアッハッハヒヒアッハッハアハアハハははは助けてアハアハハアッハッハアハアハハアッハッハヒヒアハハアッハッハヒヒアッハッハヒヒヒヒアハハアッハッハアハアハハアッハッハヒヒヒヒアッハッハアハアハハッハアハアハハハハハハッハッヒヒアハハアッハッハア……ハアハハハハハヒヒアッハッハヒヒアハハアッハッハアハアハハ許さなヒヒアハハアハアハハアハハアッハッハアハアハハハハハヒヒアッハッハアハアハハハハハハッハッアハアハアハハアッハッハヒヒアッハッハヒヒアッハッハヒヒアッハッハアハアハハアッハッハアハアハハハハハヒヒヒヒ……

































アあああ……あああああああ……




アアハアハハハハハ……助けてェヨォォォォォォォォ……

気付いてました?

登場人物全員、英単語ってことに……


馬場里 杏:barbarian

阿久瀬:accept(下の名前がどうにも無理矢理感が出る)

梅尾 嶺人:violate

不来 武:bribe

佐久 椎弩:succeed


だから何?ってね……

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