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男子の暴走!(そういう意味じゃないぞ)友達をlog2-1人にしてくれる語彙の実は地球を救うのか!?(反語)

九月のある日の朝。

クラスメートの視線が私に集中している。

いや、自己意識過剰とかじゃなくて実際に私の顔一点に視線が集中しているのだ。よくあるやつですよ、問:次の図に視線ABを作図せよ×39的な。その図には教壇の上にたち、ずっとべらべら訳の分からないことを喋る私がいて、こんな私と同じクラスになってしまった哀れなクラスメート39名(名誉不運マブ阿久瀬氏含む)が載せられているのだろう。

「感動を味わえぬとしても、やはり生は巨大であり、矮小なものに内包されていると、目の前の物体、少なくとも私が認識しえるものは雄弁に語る。世界で最も小さく最も奥深くから沸き出でる小世界が、貴方の頬に縦の線を描く。脳髄は無情だ。最早私たちの海を止めんとする力は、三千世界の何処をえぐり出す無頼漢がいても、見つからず働きもせぬであろう。」

唖然トシテ我ヲ見ル級友タチ。

ごめんね、口が止まらないんだ。

不可抗力の涙が出てくる。ああ、もう卒業まで学校という絵が「黒」歴史のモノトーンあるいは青春の汚点の一点透視図法になってしまうのだろう。

べらべらが止まらない私。

そもそもの発端は、クラスメートの男子の口喧嘩だった。


(遡ること二十分前)

男子A:「お前さぁー、何でこの夏のウォーターグァウィズィストームに出なかったの?」

男子B:「え……その日は今期の覇権アニメの放送日だったから……そんなの出たくなかったんだよ」

補足しておこう。ウォーターグァウィズィストームとは、男子しか参加できない私の高校の若さに乗じたかなりアレな学校行事だ。んー……その内容とは、屋外(主にグラウンド)で、ほぼ裸の男子が東西陣営(どっかの半島みたいに南北に分かれてもいいね)に分かれて、水の掛け合いの攻防戦を展開するという内容のものだ。くっそつまらない上に激寒な行事だと思われるかもしれないが、これは学校祭の中でも最も伝統(でたー、自称トップ校に見られる伝統という錦の御旗を振りかざして言論弾圧と個人の自由の制限に走るどこぞの中央政府のごとき傲慢)あるものの一つだそうだ。(一つ、ということはまだまだあるということだ)  ちなみに攻撃側は水バケツをもって、守備側を極寒地獄へと追いやる。我慢しきれなくなったところで女子への謎告白が始まり、先生への揶揄、学校への文句を言うタイム、挙げ句の果てには政党批判(うちの学校の卒業生にはは意外と政治家が多いのだが、それだけ汚職事件で検挙される卒業生も多い)、地元議員の黒い霧の暴露(これはいじめの手段になりうる、なぜなら議員の息子や娘が多いからだ)、宗教勧誘(愛好会以下の立場。モラトリアムに護られた陰キャ、陽キャ、陰陽キャ→都合のいい奴、が構成員で幹部は真面目に新興宗教の教祖志望)が始まる。

ルールは簡単。学校祭の後に男子のみ(自由参加)ふんどしあるいはパンツに着替えて参加する。参加条件は局部を露出していないこと。出した、あるいは出させた時点で即失格となる。失格となった時点で外野みたいなところ送りとなり、ごつい体を寄せ暖をとる。中には発狂?してブツを振る個体もいるらしい。    毎年学校祭の直後は女子全員学校を追い出され(かなり足早に学校を去る)夜の公園でかくれんぼするか、打ち上げを勝手にやるか、あるいは予習復習に励むかする。

まあ男子Aは男子Bに対し中生代くらい古い話を蒸し返そうとしているのだ。

男子A:「は?ウォーターグァウィズィストームより大事なことあんの?アニメ?ダサっ、ナイわぁー!」

正直言って、ここら辺はくだらなそうだなあーぐらいで全然聞いてなかった。要は授業と同じレベルの好奇心である。

しかし男子B(顔わかるけど名前忘れた)は反撃に出る!

ガタガタッ(椅子)

「ぅおんめぇ、なじでわぁの趣味アニメっごそやしでナメさすのじゃ」

いますよね~特に穀倉地帯は。怒ると訛るひと。ふだんは、標準語以上方言未満。でも怒るとなまっていて、少しばか。な人。

音量15くらいの男子がいきなり音量98くらいになったので、皆一同B氏の方を見る。

男子A、少し怯む。しかし開口一声、

「知ってるから!お前この前阿久瀬の写真盗撮してたの?」

関係ないだろ、と一瞬思ったが何?阿の字がでできた瞬間半ば条件反射で男子Bをガン見してしまう。どんな写真を撮ったかによっては胸ぐらを掴みみぞおちに蹴りを入れて、今日以来の絶交に及ぶのを辞さない考えである。

教室という長方形の対角線が私と阿久瀬ちゃんを結んでいる。彼女の顔はその他大勢に隠れて見えない。

男子Bはその途端真っ赤になって、机を蹴ってAに飛びかかる。全く恐ろしい奴だ。色んな意味で。

「待って」

か細くて耳あたりのよい声に一同振り向く。阿久瀬ちゃんだ。

「いいよそんなこと……盗撮は確かにイヤだけど……それを今ここで言う?」

おぉ、皆さんこれが阿久瀬の神髄ですよ、と私は心のなかで呟く。喧嘩を止めにいく美徳。心の強さ含め、大和撫子かくあるべし。

男子どもは息を飲む。今日の男子のトレンドは阿久瀬ちゃんだろうな。

「いやいやいや」

全くどこの世界にも水を差す輩はいるものだ。その声の主は……クラスの言論的バイオレイト男子こと梅尾(うめのお) 嶺人(れいと)だった。


うわぁ……厄介な奴が出てきたな……

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