表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/120

閑話 学園編~死地からの帰還~

学園編はこれにて終わり

そして第1話へ・・・

「さて、どうすっかね?」

「どう、とは?」


エレスの問にカイルが応える。


「ひとまずは難を逃れたし、物資もある。つっても6人をどんだけまかなえるかだが」

「3日分がいいところだな」

「むしろそんだけの物資をよく一人で運んだな」

「イリス嬢の手配だ。行程を入手してくるとか、なかなかに見事な手腕だ」

「ロビンが褒めるとかすげえなおい」

「俺とて普通に感嘆するが?」

「その普通ってなかなか無いんだがなあ」

「ふん。で、これからの方針を決めようか」

「まあ、進むか戻るか、だ。俺は進もうと思うが」

「理由を聞いても?」

「どうやらまた面倒事に巻き込まれてるようだし、だったら反撃しとかないと」

「俺達に手を出すとただじゃすまないぞと?」

「左様ですな。目にもの見せてやりましょうぞ!」


 俺たちは行軍を開始した。ロビンが先行して道を確認してくれているので平野をゆくかのごとく進んでゆく。そして丸1日後、行軍の痕跡を発見した。そして工作を行ったと思われる冒険者らしき一団を発見する。10人ほどの集団だったが、身のこなしからして普通の候補生では太刀打ち出来ないほどの腕だと思われた。俺とロビン、ミリアムの3人が弓を構える。カイルは剣と盾を持って近寄る。トモノリとナガマサはカイルの後方から支援と切り込みを行う。

ロビンの合図で一斉に矢を放つ。比較的高そうな装備をしているのを狙撃する。3人が倒れた。もう一矢打ち込むが物陰に隠れたり伏せている。なかなかに行動が早い。こちらも散開して相手からの反撃の的を絞らせないように動く。敵の注意がこちらに向いていることを見て取ったカイルが切り込む。あっという間に敵の半数が切り伏せられた。迎撃しようと立ち上がったところを狙撃される。一人を残し敵で動くものはいなくなった。唯一の生存者も口の中に毒を含んでいたようだ。

 しかしまあ、帰還しないことで依頼者、多分おっさんだろうが、に圧力をかけることができるだろう。口を割ったかどうかもそれこそ死人に口なし、わかるわけがない。せいぜい疑心暗鬼に陥るがいいさ。


 さて、様子見をしつつ下山してゆく。麓のベースキャンプに捜索隊が集結していた。候補生は既に王都に帰還しているらしい。ロビンは周囲に潜伏しつつ支援してくれるようだ。そして俺達はそのまま大きく手を振りながらキャンプに向けて歩き出した。

 キャンプの兵がどよめいた。王の肝いりで編成された部隊は結果として無駄足になってしまったが、二次遭難の危険もあり、そのことは問題にならなかった。そしてすさまじい形相でこっちを睨みつけるおっさんことオーギュスト卿を見て俺たちは必死で笑いをこらえる羽目になっていた。ちらちらと山道の方に視線を向けている。雇った冒険者が戻ってこないか確認しているのだろう。返り討ちにしたことを親切に教える義理はないし、ひとまずはしれっと雪崩に巻き込まれたが、運良く洞穴に逃げ込めたこと。洞穴から外に向けて掘り起こすのに時間がかかったことなどをそれっぽく報告しておいた。

 極限状態から生還した俺達は兵たちから英雄として迎えられた。年かさの兵がバシバシと肩をたたいて笑顔で生還を喜んでくれた。なんか俺達の同期に息子がいるらしい。多数の兵に守られる格好で王都に帰還したとき、こちらでも歓呼の声で迎えられた。なんかトーナメントのときに人気が出ていたとかなんとか初耳だ。そして進行方向に見知った顔が見えた。イリスだ。なんか駆け寄ってきて俺にしがみついてきた。周りの兵たちがどよめき、なんか口笛とか吹いてるのもいる。恥ずかしいからやめてと言いたいがイリスの目に浮かんだ涙が俺の口をつぐませた。背中をポンポンと叩いてやると我に返って、顔を真赤にして離れてくれた。


「おかえりなさい」

「ああ、ただいま」


 その後、オーギュスト卿が今回の不始末の責任をとって校長の職を辞任した。副校長がそのまま校長の職務を引き継いだ形で、そのまま運営された。俺に対するちょっかいは息を潜め、平穏な学校生活を送ることができた。冬が終わり、春になって飛び級と早期卒業の制度が策定された。そして、俺達の班にこの制度を使っての早期任官の誘いが来た。後2年の教程を1年にして来年度の卒業である。特に断る理由もなかったのでそのまま受けることにした。

 そもそも全員各専攻分野ではトップクラスの成績である。受ける授業のコマ数は増え、課題も増えたがまあなんとかこなし、翌春の卒業を迎えた。イリスは実家に戻り、実務につくとのことだ。俺達5人はそのまま王都防衛隊に配属された。基本的な業務を教わり、訓練をこなす。見習い兵から俺とカイルは先行して従騎士の称号をもらった。騎士学校からの班をそのまま維持し、エレス分隊が編成されたのはもはや笑い話なんだろうか?それはそうと、昇格したので個人的な部下としてロビンを呼び寄せた。そして昇格から1ヶ月後、大隊長から呼びだされた。なんかやらかしたっけ?と首をひねりながら大隊長の執務室に入る。

「王国従騎士エレス卿に任務を申し渡す。旗下の分隊を率いて、第二王女殿下の護衛の一翼を担うこと。出発は明後日である。日常業務の引き継ぎはこちらでやるので、出立の用意を直ちに行うことだ」

「はっ!承知いたしました。直ちに分隊を消臭の上、準備にとりかかります!」

「よろしい。王族の護衛だ、万に一つの間違いも許されない。だがしっかりこなせば出世の足がかりになるかもしれん。励め」

「はっ!では失礼致します」


 なんでペーペーの俺達にそんな任務が回ってくる?疑問は尽きないがカイルを呼び出して準備を丸投げする。ロビンに情報を探らせるがたった2日ではろくに事情はわからなかった。まあ、これは仕方ない。そして俺達はそうとは知らないままに、運命を大きく変えてしまう舞台に立つ事になったのであった。


To be Continued…

思った以上に長くなった学園編、そして後付け設定の数々が最初の方の会話とかいろいろと矛盾する。

徐々に手直しを進めます・・・

元の時間軸に戻すときに、ちょいとリハビリ的な文を入れるかも?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ