ただいま
あれ、これも長い……
仕事が定時になり、私は猛ダッシュで会社を出た。これからアルクさんの服とか、し、下着などを買い揃えなければならないのだ。そのために急いで仕事を終わらせたのに残業なんてしてられない。
「いらっしゃいませー」
店のドアがあくと定員さんのかけ声が聞こえてくる。それを流しながらメンズコーナーへ向かってあるきだす。そして、サクサクっと必要なのを選び買い物カゴに素早くいれる。
「アルクさんって大きいよね、Lサイズでいける、よね……」
そうして、私は急ぎめに家へと帰った。
「ただいまー」
ガチャとドアを開けると同時にいつのものように呟いた。
「あ、お帰りなさい。優奈さん。」
奥からアルクさんが顔を出した。
「ただいま。」
そういうと私はパンプスを脱ぎ、部屋の中へと入った。入ると、何かしていたのかこの世界にはみないものが机に並んでいた。
「……あ、すみません。」
私がもの不思議そうにみていたからか、アルクさんが急いで片付けようとしていた。
「あぁ、片付けなくてもいいですよ。それより、これはなんですか?」
私が指したものはどうみてもただの石ころにしか見えない代物だった。深い緑や、真っ暗なもの、そして、グレーの石…それに形も色々あり、丸っぽいやつもあれば少し尖っているやつもある。
私は少し興味があり、アルクさんに尋ねた。
「これは、魔法石っといって魔法を繰り出すのに助ける役割があります。」
「……へぇ、これが…」
一つ手にとって、電気で透かしてみるもののやっぱりただの石ころにしかみえない。本当にこんなものが役にたつのだろうか。
「貸していただけます?」
アルクさんは私から受け取った石を左手で握り、何秒かしてからそっと開いた。
すると、石から青っぽい炎が渦を巻いて表れだしたのだ。
「これは、私に流れる魔力を石が吸収し、吐き出しているのです。」
フッと炎が消えると、熱くないのかなと思い少しつついてみようと指を伸ばした。あのただの石ころが炎をだしたのだ、きっと熱も伝わってるはず。
けれども、触っても、握ってもさっき触った頃とほとんど同じだった。
これが魔法というものか。うーん、不思議だ。
「これも、魔法で使うものですよ。」
……と、私とアルクさんの魔法勉強会は夜遅くまで続いた。
「……って、晩ご飯!!!」
気付いたもう、12時。日付が変わっていた。
「すみません、魔法になるとちょっと夢中になってしまって…!」
「あぁ、それは全然いいですよ。私も楽しかったし……あ、先にお風呂に入っていただけます?」
ごそごそと今日買ってきた服を順序にだしてゆく。それを袋から出したり、タグを切ったりしてアルクさんに渡した。
「今日はこれに着替えてください。多分、サイズは大丈夫だと思うんですけど…」
「いえ、そこまでしていただけるだけでもうれしいです。」
アルクさんは「ありがとうございます。」と言ってお風呂にむかった。
その間に、私は晩ご飯の支度を急いで取りかかった。
ちょうど仕上がってきたころ、買ってきた服を着てキッチンに顔を出した。
「すみません、お先失礼しました。」
「いえいえ、こちらも出来ましたよ。」
そう言って、ご飯をよそいはじめた。アルクさんは出来上がっているおかずをテーブルの上に持って行く。
ご飯もよそぎ終わり、私が持って行くと同時に「いただきます」をして食べ始めた。
そうして、金曜日の夜が土曜日の朝に変わっていた。