番外編 2
私は、コンコンと鳴るノックで朝を迎えた。朝、というより昼だけど。
「優奈、ちゃんと話さないか?でてこれる?」
ドア越しのせいか、アルクの声がくもって聞こえる。だけど、彼の気づかう様子が明らかだった。
どうしようか。返事、しちゃおうか。まだベッドに倒れながら考える。
「…もしかして、ここが嫌になった?帰りたい?」
ー嫌い?帰りたい?
アルクが尋ねてきた単語を頭の中がぐるぐると回り始めた。
ここの世界は嫌いじゃない。楽しいし、ものすごく親切な人に恵まれてある。けれども、帰りたいと願った日は無いとは言えなかった。
そっと、ベットから起きドアの前まで進んだ。アルクは騎士だ。私が動いた気配は分かっているだろう。
「嫌いなんかなっていない。ただ…」
私も、ドア越しでアルクに話しかける。アルクはというと静かに私の言葉をまっていた。
「ただ、何も上手くいかない自分が嫌なの…お願い、アルク…嫌いにならないで…」
靄がかかった自分の気持ちを口にしたら涙が次々と溢れてくる。しまいには、嗚咽が出るほどに。
「優奈、優奈。開けていい?」
優しいアルクの声が響く。
が、アルクは私の許可もなしにドアを開けた。そして、私をそっと抱きしめる。
「俺は優奈のこと嫌いにならないよ。まだ来て1週間しかたっていないんだよ?上手くいかないのは当たり前。これからゆっくり馴れていこうよ。」
アルクの優しい言葉に私はまた涙が溢れてくる。
ーうん。私は私のリズムでこの世界で生きていこう。
アルクは私が泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた。
「ねえ、ドア勝手に開けていいとか一言も言ってないんだけど。」
「…泣き顔もなかなかいいね…」
「なっ……!!人の話を聞いてーーー!!!」




