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♰♰♰ チョコを食べたのは誰か? ♰♰♰

この場にいる全員が世界をハチャメチャにさせたテロリストに対して怒りを通り越してわけがわからないと言った感じで頭を横に傾けた。みきだけはいつの間にかかばんの中から取り出していたカレーパンを食べていた。


「バレンタイン撲滅だって?このテロリスト集団はいかにも今まで女性に相手にされなかった男達がチョコを自分にあげない女達に逆恨みをする発想だなっ!」


黒川が大声をあげてテロリスト達をあざ笑った。


「それってあんたの事じゃん。」


みきがカレーパンを頬張りながらここにいる誰もが思っている的確な言葉を言った。黒川はみきに言い返す言葉も見つからなかった。


「オレにはテロリストの気持ちがわかるね。」


以外にも名城から発した言葉だ。


「あのテロリストと同類の黒川や丸之内が言うのならともかく、どうしてチョコを貰っているあんたがテロリストに同意するワケ???」


みきの疑問はここにいる誰もが興味を引くらしく誰も声を発しずに静かに名城からの返答を待っていた。黒川は今まで少数派だった自分達に心強い味方が出来た事に優越感を感じ胸が膨らんでいた。まるでクラスの端っこにいる生徒がクラスの中心人物に声をかけられただけで自分が特別になれたとでも思っているかのようだ。


「頼んでもないのに勝手にチョコをくれておいて、その倍のお返しを渡さなきゃならないなんて金の無駄だ。」


黒川が期待していたのとは逆にムカつく理由だった。黒川だけではなく、理科室にいる女の子たちも名城にむかついている視線を送った。テロリストの話は続いた。


『市販で売られているチョコレートの全てに人類をゾンビ化するウイルスを仕込んでおいた。ゾンビ化するのには個人差があり、チョコレートを食べてからゾンビ化するのに遅くて数時間後から早くて数分後だ。』

「なるほど、道理で野郎のゾンビが多かったわけだ。」


丸之内の言葉を耳にした真由が理科室を見渡してみた。理科室にいる生存者の7割が女の子しかいなく男は少数派だった。


「つまり、チョコを貰えるかっこいい男の子程ゾンビになっちゃった。って事?」


理科室にいる女子達がもうこの世の終わりってくらい半狂乱になって叫びだした。


「ヤダ!ヤダ!ヤダッー!かっこいい男の子達は皆、ゾンビになっちゃって残るのはこんなのばっかじゃないの~!みきはそんな世界に生きたくない~!」


みきは黒川と丸之内達の事を指して言うと女の子達も泣き喚いた。


「うわあああああああんっ!!!」

「おいおい、何も泣く事もないだろ~!」


泣きだすまで避けられとはさすがに黒川も傷ついていた。


「いいじゃないか。ついにオタクのお前らが勝ち組になれる時代が来たな!」


普段はこんな笑顔を人に見せた事が無い名城が他人の事をけなす時だけは陽気な笑顔で嫌味たっぷりに笑っていた。みきの顔にが心の底からNOと出ていた。


「ゾンビの方がマシ!」

「俺はゾンビ以下なのかっ!」


黒川が吠えている間にもテレビの中のテロリストのボスらしき人が何か言っていた。


『我々の欲求はただ一つ!バレンタインデーを廃止せよっ!』


ここにいる皆がまたわけがわからないと言った感じに頭をかしげた。


『24時間以内にバレンタインデーを廃止しなければ、我々の行動はさらにエスカレートして行くだろう。我々の野望は日本に留まらず、世界に手を伸ばし初めているのだ!要求のタイムリミットまで残り、24時間。さあ!カウントダウンが始まった!』


そこで映像が途絶えて一旦、スタジオに戻った。


「3次元に興味を持てばテロリストらもこんな過ちをせずにすんだのに・・・」


丸之内は3次元の素晴らしさを改めて噛み締めていた。


「つまり、チョコを食べるとゾンビ化するって事だな?」


上社が慎重に話しかけていた。


「だからさっきテレビで言っていた。」


神宮西は上社の回りくどくい言い方にイライラしていたが、それはこの後に起こり得るパニックを考えれば上社は言葉を直球にするよりも慎重に言わなざる得なかった。


「つまり、この中でゾンビ化するチョコを食べた人がいるかもしれないって事だよな?」


その一言だけで今まで築き上げた困難と苦労を共に逃げ延び、体に流れる血以上に深い絆で結ばれていた縁が一瞬で緩らいだ。皆はお互いに隣同士や疑わしい人、さらに友人の顔まで見合って疑いの目線を送り合っていた。堀田だけはなぜか周りを見渡さずに気まずそうにうつ向いて妙に体を震わせていた。


「それなら俺は大丈夫だっ!」


黒川は自分に疑いの目が向けられない事に安堵して意気揚々と言った。


「そもそもチョコを貰ってなさそう。」


みきが口からカレーパンのカスを落としながら言った言葉があまりにも的確すぎて黒川はまたもや反論できなかった。


「チョコを食べた人がこの中にいたとしても正直に言いづらいよね・・・。」


神宮西が言った言葉で堀田が身震いをしたのを名城は見逃さなかった。


「ヤダー!誰よ!この中でチョコを食べた人がいるなら正直に薄情しなさいっ!」


みきが両手で両腕をさすりながら皆から距離を取るように後ろに離れて行った。他の皆も隣にいる人からわずかに距離を取りだした。


「とりあえず黒川と丸之内だけはないのは確定だな。」


名城が堀田の頭に載せている足を強く押した。名誉を守る為に黒川がすかさず反論した。


「どういう意味だ!俺だってもしかしたらチョコを貰えていたかもしれないだろっ!」


なぜか神宮西が黒川から目を逸らして妙に落ち着きがなかった。


「ただ・・・貰う前に女の子は皆、ゾンビにやられちゃっただけだ。きっとそうだ・・・」

「僕だって学校が終わった後でちゃんと女の子達からチョコを貰う予定だった。」

「コウちゃん。だからそれは二次元の女の子だろ!」

「いい加減話を元に戻そっ!今はチョコを貰ったかどうかが重要じゃなくて誰がチョコを食べたかでしょ!?」


神宮西は誰がゾンビになるチョコを食べたのかよりもこの会話を逸らしたがっているように見えた。だが、おかげで会話がようやく元の軸へと軌道修正した。

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