♰♰♰ 天国の扉は開いている ♰♰♰
そしてついに生徒指導室から職員室へと通じるドアを勢い良く開けられた。禁断のパンドラの箱が開いた。
生前の頃は先生達がいる職員室なんて絶対に行きたくない場所だったのにラグビー部や野球部に園芸部などなどの招かれざるパーティ客達は餌がある二次会会場へ入ってきた。
だが、肝心な餌がどこにも見当たらない。ゾンビ達は職員室に入って餌がどこへ消えたのか探し求めて部屋を歩み始めた。すると、真由達の代わりに餌になるものがすぐに見つかった。こずえ先生だ。かつての教え子達はこずえ先生の所へと向かうとこずえ先生を囲んでかつての恩師を貪り喰い始めた。
真由はその光景を暗闇の奥から見てしまい吐き出しそうになったのを手で抑えた。目から零れ落ちた涙がスマホの画面に落ちた。こずえ先生から目を逸らしてスマホに目を移るとSNSを利用して夏樹と麻子にメッセージを送った。真由の片方の手にはこずえ先生からゆずり受けたカミソリを手に持っている。
『こずえ先生が食べられちゃった!ゾンビ達がもうそばまで来ている!!!』
『私達もいずれああなるのかな・・・』と麻子が返事をする。
『大丈夫!見つからない限りは』と夏樹が返した。
こずえ先生が利用している机から机が横並びしている列から真ん中の位置にある机の下に夏樹が隠れており、その隣の机の下には麻子がそして二人と向かい合わせの横並びしている机の下には真由が身を隠していた。夏樹は何か足音のような物がこっちへと近づいてきている事に気がついた。顔を少し机から外に出して通路を覗いてみると一匹の園芸部のゾンビが真っすぐこっちへと向かってくるではないか。夏樹は慌てて顔を机の中に引っ込んで真由と麻子にメッセージを送った。
『やつらが近づいている。』
夏樹からのメッセージを読んだ麻子は机から顔を半分だけ外に出して通路の様子を伺ったらゾンビよりある物が目に入った。麻子は早速、二人にメッセージを送った。
『どうしよう。机から出した椅子が外に出しっぱだよっ!』
夏樹と真由は通路を見た。すると三人が机の下に入る代わりに机の下に入っていた3つの椅子が通路の外に出しっぱであった。
『ヤバイ!机の下に椅子の代わりにうちらが潜んでいるのがバレる!!』
真由が焦ってスマホの画面を打つ間にも園芸部ゾンビは椅子の前まで来ていた。3人は机の下で身をかがみゾンビが机の下に潜んでいる自分達の存在に気付かずに通り過ぎてもらう事を期待するしかなかった。夏樹は両手で自分の体を抱きしめて震える体を抑えようとした。麻子は両手で口を押さえた。真由は両手をがっしりと組んで神に祈った。
夏樹の机の下から園芸部ゾンビの片足が見えた。夏樹は恐怖を見ないようにと顔を足に埋めた。ゾンビの足取りが遅いのは逃げる時には有り難いのだが、さっさと通り過ぎて欲しい時は有り難くない。だが、どうやら歩く死に神は夏樹をあの世に連れて行く住民には選ばずに夏樹がいた机を通り過ぎていった。夏樹が安堵したその時、園芸部ゾンビの足に外に出したままの椅子に当たり、椅子が倒れて真由がいる机に椅子が当たった。
「きゃ!」
真由の口から思わず声が外に漏れてしまった。園芸部ゾンビは声がした真由が居るその場に立ち止まった。3人は心臓が体から飛び出るんじゃないかと思った。激しい運動をしたワケでもないのに真由の頬から大量の汗があふれ出た。息を止める事が出来ても心臓の鼓動までは自分の意志で止まってくれない。だが、園芸部ゾンビは通路に出しっぱなしの椅子に反応せずに片足を動かし初めた。足は声を漏らした真由がいる机の方向ではなく、麻子がいる机も通り過ぎて行きゾンビは真っすぐ進んで真由達がいる場所から通り過ぎて行った。
3人がいる机の下からゾンビの足が目に入らなくなると3人はほっと胸を撫で下ろした。なんだかわずか30秒程の時間が一時間くらい長く感じた。生き延びた真由が興奮してスマホの画面を素早くタッチした。が、夏樹と麻子はある事に気がついた。真由が指でタッチしているスマホの画面から発する光が机の外まで漏れているのだ。
夏樹と麻子はその事を真由に伝えようとしたが伝えようとするにも光を発するスマホはゾンビに自分達の居場所をバレてしまう心配があって使えないし、夏樹と麻子は声を出さずに表情で真由に訴えようとしたが、真由は二人に顔を向けずにスマホの画面に夢中で文字を打っていた。
『よかったぁああ!化物ちゃん達が去ってくれた!!』
真由が夏樹と麻子にそのメッセージを送った時、ふと誰かに見られているような気がしてきっと麻子と夏樹だろうと真由は隣を見た。が、隣にいたのはスマホの画面から発する光に照らされた悍ましい表情をした園芸部ゾンビであった。
「きゃああああああああっっっっ!!!!!」




