12.懐かしいあの人との再会2
お店の奥の部屋へと案内をしてくれて、僕達はソファーに座った。
テーブルの上には懐かしい緑茶。
「美味しいです……」
僕達は温かい緑茶の懐かしい味や香りにまた泣きそうになった。
「今日は私に何か聞きたいことがあったのかな?」
目の前のレイ・ストライブ様が優しい瞳で僕達を見て聞いてくれた。
黒に近い茶色の髪に、濃い紫色の瞳で可愛いらしい顔立ちの人だ。
そして、ストライブ様に『メリィ』と呼ばれていた先程の綺麗な女性の店員さんが大福をテーブルの上に出してくれた。
「どうぞ」
ニコリと微笑んでくれた。
「ありがとうございます」
僕とルイは意を決して聞いてみた。
「僕達はクスフォード侯爵家のルイとルカと申します」
ストライブ様がピクリと眉を動かした。
「あなたはもしかして玲お兄ちゃんではないですか?僕達のことを覚えていませんか?」
ストライブ様が信じられないという顔で僕達を見る。
「琉生と琉翔!?」
僕とルイは笑顔になった!
やっぱりあの大福とこのイチオシ堂は玲お兄ちゃんが!!
「玲お兄ちゃん!!」
「玲お兄ちゃん!!」
僕達は立ち上がり玲お兄ちゃんに駆け寄って抱きついた!
しばらく玲お兄ちゃんに抱きついて泣いてしまった。
そんな僕達を強く抱きしめ返してくれた。
「そうだったのか……」
少し落ち着いてから僕達は今までのことを玲お兄ちゃんに話した。
そして、玲お兄ちゃんも同じくこの世界に転生していたと聞いた。
「また逢えて嬉しいよ。でもこんなに近くにお互い住んでいたとはね。来てくれてありがとう」
あの頃と同じ優しい笑顔の玲お兄ちゃんだ。
前世の頃の玲お兄ちゃんのイチオシ堂と僕達の家が近くにあり、子供の頃からよく遊びに行っていた。
だからイチオシ堂の和菓子はよく食べていて大好きだった。
そのお兄ちゃんとイチオシ堂の和菓子にまた出逢えるなんて!
少し離れた所にいた先程の店員さんは号泣していた。
「逢えてよかったね」と僕達の再会を喜んでくれている。
玲お兄ちゃんはその女性のそばに行き、微笑みながら涙を拭いてあげた。
そしてその女性の肩を抱いて僕達の所に連れて来て、僕達の前のソファーにふたりで座り、玲お兄ちゃんが紹介してくれた。
「この春に結婚する私の大切な人、メリアーナだよ」
「ああ!ストライブ侯爵家のレイ様が溺愛している女性がいるという噂は聞いたことがあるよ」
緑茶を飲んだあとにルイが言う。
久しぶりの緑茶は本当に美味しい。
でも僕はちょっと気になったので聞いてみた。
「お店で店員さんとして働いているの?和菓子は分からないんじゃないの?」
玲お兄ちゃんはメリアーナ様と目を見合わせて笑った。
「彼女も転生者で、元イチオシ堂の従業員だったんだよ。だからこの世界の誰よりも和菓子に詳しいんだ。琉生と琉翔も知ってるよ。前田芽衣さんだ。覚えていない?」
「えええ!? 芽衣さん!?」
僕とルイは大きな声を出してまた驚いた!
イチオシ堂で明るい笑顔で働いていた芽衣さんを思い出す。
「お久しぶりです。琉生君と琉翔君とはお店でお会いした事がありますね」
「お久しぶりです…」
「お久しぶりです…」
前世振りの挨拶をする僕達。
「毎日はお店に出られないけど、この店の従業員が慣れるまで手伝ってくれているんだよ。私も彼女もストライブ侯爵家の他の仕事もあるからね」
「う、ぐずっ!イチオシ堂のことなら私がお客様にご案内したいので…」
まだ涙が止まらないメリアーナ様。
「普段は人見知りなのに、イチオシ堂の接客なら別ですと張りきってくれているんだよ」
とっても甘い顔でメリアーナ様を見ている玲お兄ちゃん!
僕達は顔が赤くなった。
あの玲お兄ちゃんがこんな顔をするとは!
「うう、レイ様ぁ…こんな奇跡がまた起きるなんてぇ……っ!」
玲お兄ちゃんの胸で泣いていたメリアーナ様はお兄ちゃんを涙目で見上げている。
顔を赤くした玲お兄ちゃんは、幸せそうに微笑んでメリアーナ様を抱きしめた。
玲お兄ちゃんは最初はメリアーナ様に大福をまた食べてもらいたかったから。
そして、この世界の人にも和菓子を食べてもらいたいとお店を開いた。
また、同じく不思議な生まれ変わりをした人が他にもいたら、このお店に来てもらえるように、和菓子を食べて懐かしんでもらえるようにとも思っていたそうだ。
そのおかげで再会することができた!!
「またおいで」
帰り際に大好きな和菓子と緑茶をお土産として持たせてくれた。
僕達は自分達の考えを確かめるまでの不安とは違い、幸せな気持ちに満たされていた。




