第12話
私は鼻をひつくかせる。どこからか花の芳香のようなものを感じる。どこから漂う匂いなのか? 私はちょっとカルシラスト様から体を離し辺りを凝視する。
その際カルシラスト様が「マリカナ離れないでください! その悲しいと言うか……その寒いのです!」とわーわー言う。なるべく早く終わらそうと思った。特に花瓶にさした花などは発見できない。お香でもたいているのかな?
私の鼻は右をかぎ左をかぎ前をかぐ。そして前からカルシラスト様のそばから匂いがすることに気づいた。私は鼻をくんすかさせつつカルシラスト様にギュギュッと抱きつく。ああ良い匂い。匂いのもとはカルシラスト様だったのだ。
私はこう聞いた。カルシラスト様の良い匂いを肺一杯吸い込みつつ。
「カルシラスト様は香水をつけてらっしゃるのですね。私この匂い大好きです。とっても良い匂いで……」
カルシラスト様は「鼻息がこそばいです……でも嬉しい……」と言った後こう続けた。ほっぺたが赤い気がした。
「私は何もつけていませんよ。気のせいではないですか?」
私は左右に首をブンブン振って「いえ、間違いなく花のような香りがします!」と言う。カルシラスト様は「私の匂いがマリカナは好き?」と聞くので「はい!」と返しておいた。カルシラスト様は歓喜しテンションが上がったみたいで「嬉しいです! ありがとう」とまで言った。