↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の中の蟲毒な学園  作者: キャシヨ
第4章 激闘

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/34

第31話 白昼に見る月

 昼食後の午後の授業が始まる。この時間は、いつも眠いが、今日は朝早く起きてしまったので、特に眠いな。早くこの時間が終わって欲しい……。


「――エッ!?」

 気付くと、半壊した小屋が目の前にある。ここは昨日の続き、夢の世界だ。周囲は暗く、空には月が浮かんでいる。

 やべ、寝ちゃったんだ。今まで授業中に少し寝てしまう事はあったけど、夢の世界には入らなかったのにな。今日はそれだけ深く寝てしまったという事だろうか。しかし、昼間に寝ると夢の中は夜なんだね。何だか変な感じ。

 でも、これは好都合だ。今のうちにこの場を離れよう。確か2人共、県道の方に行ったんだよな……。


「ガタッ」小屋の裏手で大きな音がした。

 エッ、何の音だ?私が崩壊した壁の影からそっと覗くと……。

「アァー!お前!」

 大蛇に乗った西園寺妖だ!バッチリ目が合ってしまった。

 最悪だ、西園寺も今寝てるって事か!?同じタイミングで寝るなんて!授業中寝てしまったのがコイツと私だけってのも屈辱!


「喰われろ!」

 私の気持ちはお構い無しに、西園寺は白衣を翻して大蛇諸共飛び込んでくる。横っ飛びで避けると大蛇は小屋の壁にぶち当たり、壁や屋根がガラガラと崩れる。

 大蛇は頭だけなのに、相変わらず凄いパワーだ。


「そのボロ小屋ごと、ぶっ潰してやるぜ」

 西園寺は少し距離を取ると再び私を目掛けて突っ込んでくる。

 クッ、とても逃げ切れない……だったら!

 私は倒れた柱を伝って、崩れかけの屋根に駆け登ると突っ込んでくる西園寺を睨む。


 西園寺 妖――今ここでヤッてやる……!


 大蛇が私を落とそうと柱にぶち当たる直前に跳躍し、自ら西園寺に飛び込む!

「ズギャン!」

 瓦礫が飛び交い崩壊する小屋を背に、空中で剣を発現させると、真っ直ぐ正面に捉えた西園寺目掛け、思い切り伸ばした右手を振り下ろす!

「ハァァーッ!」

 月光を受けて輝く剣は、大蛇もろとも西園寺を真っ二つに斬り裂いた。


「ギャアァァッー!オマエなんかに!!」


 大きな声がして目が覚めた。周りを見ると理瑚やクイーン達も皆、驚いた顔で西園寺を見ている。

 大声を出したのは西園寺だったようだ。今は虚ろな目で宙を見ている。

 近くの席の北薗が席を立ち西園寺に駆け寄る。

「西園寺!お前!?」声をかけ、体を揺するが反応は無い。

 北薗はクイーンと他の四天王に視線を向け首を振る。その後、ふと気付いたように周囲を見回し、私と目が合う。

 うわ、メッチャ睨まれてる。思わず視線を外す。


「ほら、そこ席を立たない」

 珍しく担任の橋田が注意する。見ると、少し口元が緩んで、微笑んでるように見える。

 北薗は険しい表情のまま、黙って席に戻った。

 何なの、橋田の奴?まあいい、とうとうあの西園寺を倒したんだ。一気に体の力が抜け、椅子の背にもたれ掛かる。


 授業が終わり休み時間になる。クイーン達が何か言ってくるかと身構えていたが、何も言ってはこなかった。そればかりか、もう西園寺の事は諦めたのか、気にする素振りもなく、いつもの様に集まってくだらない会話を続けている。


 私の席に理瑚と委員長が駆け寄る。

「舞、もしかして!?」

「うん、西園寺を倒した」

「ヤッ……!」

 理瑚が大声を出しそうになったので、委員長が手で口をふさぐ。

「ついに、四天王の一角を落としたんですね!あの巨大な蛇に乗った相手を1人で倒してしまうなんて、緋影さんはやっぱり凄いです」

「いや、同じタイミングで夢に入ってしまってね、1対1だったからなんとかなったよ」

 何だか理瑚より委員長に褒められた方が、言葉に説得力があって嬉しい。

「でも、奴は四天王の中でも最弱かもしれないぞ」理瑚が偉そうに言う。

「そのセリフ言いたかっただけでしょ!北薗と南曇の能力はわからない。まぁ、東翔宮の方が厄介かもしれないけど……」

「それなんですけど」

 委員長が身を乗り出す。

「私、東翔宮さんの攻略法を思いついたんです!」

 教室では話しづらいので、私達は放課後に図書室に集まり、作戦会議を開く事にした。


 帰りのホームルームが終わると、クイーンの声がする。

「今日は駅前のコーヒー店で期間限定の新作が出る日よね。みなさんよかったら寄っていきませんか?」

「いいですねー、もちろんお供しますよ」

「ちょうど、妃毬も気になってたんですよ」

 北薗 麗華(きたぞの れいか)と南曇 妃毬(なぐも ひまり)がすぐに話を合わせる。

「凛さんも行くでしょ?妖さんは……具合が悪そうね」

「えぇ、妖は放っておきましょう」

 東翔宮が西園寺を見放す発言をする。

 仲間がこんな状態になったのに……一体どんな気持ちで新作コーヒーなんて飲むんだ?あんなにいつも一緒にいた仲間が欠けたのに、話題にもしないで、「美味しいわね〜」とかやるのかね?

 もしかすると、クイーンにとっては、自分以外の人がどうなろうと些細なことなのかもしれない。


 そんなクイーン達を横目に、私達3人は図書室に移動した。

「で、どうやって東翔宮をやっつけるんだって?」

 早速、理瑚が待ち切れないとばかりに委員長に問いかける。

 委員長は慌てるなと言わんばかりに、ゆっくりと指先で眼鏡を上げて答える。

「はい、上空の優位性を奪えばいいのです。例えば建物の中とかどうでしょう?天井までしか飛べないので、緋影さんの剣は届くでしょう」

「なるほど!建物の中で戦えばいいんだ!流石委員長、やっぱ頭いいなー」

 理瑚に褒められて、委員長は少し自慢げだ。

「うん、凄いよ委員長!私もいい案だと思う。あと、問題はどうやって建物に入らせるかだよね」

「あー、確かに。もちろん、それも考えてるよね、委員長?」

「えっ?ええ、まぁ……」

 委員長は理瑚の問いかけに言葉を濁す。そこまでは考えてなかったみたいだね。でも、ここまで考えついたのは、かなりの進歩だよ。東翔宮と戦うイメージが湧いてきた。う〜ん、建物ねぇ。

「そういえば、東翔宮のいる場所は、広範囲に渡って建物が崩壊してたな。自分の弱点を無くすためってわけじゃ無いだろうけど」

 あれは、東翔宮の荒れた心が現れてしまったものだと私は思う。相当の闇を抱えている気がする。


「えー、奴が普段いる場所には、まともな建物が無いって事?わざわざどこか建物に誘導しないといけないの?それムズくない?」

 理瑚も文句ばっか言ってないで、考えたらどうかと思いつつ、なかなか難しいよなぁ。私達が建物の中に入って、東翔宮も追いかけて行かざるを得ない状況……。

「……ひとつ思いついた。ある意味かなり厳しいけど」

「エッ!何々?何か思いついたの?」

 理瑚が身を乗り出す。

「うん、東翔宮がいた廃墟の近くに、大きな建物が残っている……学校だ」

「緋影さん、それって……」

 委員長が顔を曇らせる。

「そう、恐らく学校にいるクイーンを襲えば、東翔宮も参戦せざるを得ないと思う。でも、多分クイーンの近くには、北薗と南曇も控えてるだろうから、最悪4人同時に相手にする事になるかも?」

「うっ!?ぐ、ぐわぁー」

 理瑚は想像しただけで椅子から転げ落ちて、床に倒れてしまった。

「棚加さん、しっかり!でも、気持ちはわかります。私も逃げ出したいくらいです」

 委員長も動揺している。

「どちらにしろ、クイーン達の本拠地である学校へは、行かなくちゃいけないと思っていたから、踏ん切りがついたって感じかな……委員長とか、きつかったら待っててくれてもいいけど……」

 委員長は、少し考える素振りを見せてから、顔を上げた。

「いえ、私も行きます。足手まといになるかもしれないけど、緋影さんだけ危険な目に合わせるなんてできません。何か少しでも役に立ってみせます。ねっ、棚加さん!」

「おっ!?お、おぅ……」

 何、驚いた顔してるんだ。理瑚の盾はあてにしてるんだから、初めから付いてきてもらうつもりだったけどね。委員長も決意は堅いみたいだし、頭の回転は早いから役に立ってくれると思う。


 方向性は決まった。今夜、早速学校に向かってみよう。出来れば、東翔宮に合わずに学校に忍び込み四天王の残り2人を倒したいところだ。もし、クイーンに見つかったら迷わず逃げる。時を止められたら、なす術が無い。いくら何でも、何の条件も無く、時を止められるとは思えない。一旦逃げて機会を伺いたい。

 私達は夢の中で理瑚が現在いる家具屋に集合しようと約束して、家路に着いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。