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夢の中の蟲毒な学園  作者: キャシヨ
第4章 激闘

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第29話 月曜日の朝

 月曜日の朝か――週の始まり、月曜日の朝なんて、今までは憂鬱でしょうがなかったけど、学校で理瑚達に会えると思うと、嫌な気はしないな。

 私は朝食もそこそこに、普段より早めに学校へ向かった。


 教室へ入ると、生徒が一人だけ座っている。

「あっ、委員長!」

「緋影さん!おはようございます」

 現実で委員長と話すのは初めてだ。何だか少し照れくさいけど、今夢では大変なところだ。しっかり話し合わなくては。

「お、おはよう。無事で良かった」

「はい、地震で起きなかったら、やられていました」

「次に夢の中に入った時は、あの場所からだからね、あいつらと会わないように、寝る時間を何とか調整しないと……」

「そう、それなんですけど、私登校中の電車の中で寝てしまって、夢に入ってしまったんです」

「エェッ!本当に?そんな短い時間でも夢の中に入るんだ?」

「はい、だから私、目が覚めないうちにできるだけ遠くへ行こうと、必死に走りました。何とか県道沿いのコンビニまで辿り着いて身を隠しました」

「そこまで行けば、まずは見つからなそうだね」

 これなら委員長は取り敢えず大丈夫かな。


 少しすると、生徒達がゾロゾロと登校してきた。夢の中で死んだ生徒達は、皆生気を失い、決められた行動だけする機械のようだ。

「あっ、望月さん……」

 東翔宮の槍に貫かれた、猫使いの望月 瑠奈(もちづき るな)が目の前を通り過ぎる。委員長が声をかけたが反応は無い。斜め後ろには、ゲームのキャラになりきっていた藥師士 朱里(やくしじ しゅり)が、いつもの地味な髪型に戻り、下を向いたまま席に着く。

 みんな夢の事は覚えていないんだろうか?そもそも、こんなんで、思考力はあるのだろうか?

 始業の数分前になり、クイーンと四天王達が現れた。こいつらは、どこかで待ち合わせてるのか知らないが、いつも揃って始業時間間際にやってくるのだ。

 西園寺妖がこちらに気付き、大きな目を見開く。

「あの野郎……!」私を睨みつけて、向かってきそうになったが、同じ四天王の北薗 麗華(きたぞの れいか)に肩を掴まれる。

「やめときな、夢と現実を混同してはいけない。西園寺の可愛がってるペットが殺されたのは、あくまで夢の中だ。現実ではない」

「だってよー、何匹殺られたと思ってんだよ!」

「わかってるよ。現実では我慢だ。その代わり、夢の中では何をしてもいいのだから。何をしてもね」

 北薗の冷たい視線が、突き刺さる。

 うっ、何だか寒気がする。コイツの能力はまだわからない。

 北薗は市議会議員の娘で、常に打算的に行動する。自分の得にならないことは一切行わない奴だ。だからコイツが動いた時は、余程勝算がある時なんだろう。


 始業のチャイムが鳴り、担任の橋田が入って来る。

 あれ、理瑚は?そういえば理瑚がまだ来ていない。まさか、何かあったんじゃ……。

 そう思った時、ガラガラと勢いよく教室のドアが開いた。

「あー、危ねー!セーフ、セーフ!」

 両手を左右に広げて理瑚が教室に入ってくる。まったくもう、本当はアウトだけどね、一瞬心配してしまった。

 理瑚は私を見ると、ウインクして舌をペロッと出し、自分の席に着いた。

 こんな大騒ぎして遅刻ギリギリで入ってきた奴がいたにもかかわらず、教室は静まり返っている。それもそのはず、殆どの生徒は、無気力状態なのだから。

 残っているのは、私達3人とクイーンと四天王、そしてゲーマーという噂の久住 朋佳(くすみ ともか)だけだ。

 朝のショートホームルームが淡々と進む。まぁ、担任が今週の予定とかダラダラと話してるだけなんだけど。

 しかし、殆どの生徒が、こんな状態なのに、何も変に思わないのかね?この担任の事だから、逆に静かになって良かったぐらい思ってそうで怖い。

 ショートホームルームが終わり、理瑚と委員長が私の席に集まる。

「いやぁ、参ったよ、寝坊しちゃった」理瑚が話し出す。

「うん、無事で良かったよ。ちょっと心配しちゃったんだから!ただの寝坊なんだ?」

「それがさぁ、朝方、地震で起きたでしょ?その後、二度寝したら、寝過ごしちゃってさー」

「あの後、すぐ寝たのですか?よく寝れましたね」

 委員長が呆れている。

「そう、いつの間にかね、自分でもそう思うよ……で、この場所にいたらヤバイんじゃね?って思って、県道の方に戻ったんだわ」

 理瑚も、あの惨劇の場所から離れられたんだね。県道なら委員長と同じ方向だから丁度良い。


「夜に合流しましょう、どこで寝たのですか?」

「うん、あのデカい家具屋に行ってさ。広い売り場で1人だから、ちょっとテンション上がって、はしゃいでしまった。そしたら現実では寝坊してたってわけ」

「あー、なるほど、気持ちはわかるよ。どうせベッド売り場で飛び跳ねたりしてたんだろう?」

「ぐぬっ、何故わかった!現実では怒られるような事、やってみたくなるよね?」

 まったく、そういうのは夢の世界を制覇できたらにして欲しいな。それにしても、2人共これなら大丈夫そうだね、後で私も合流して体制を立て直そう。よし、今日は帰ったら早く寝るぞ。


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