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紫音の少女  作者: 柊 潤一
宿命
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慶祝客

次の日から紫音とゼルダの新しい生活が始まり、そして数日後から、ゼルダ王の即位と紫音との結婚を祝う客が各国から訪れた。


 このアーゴイル大陸には、部族と呼ぶような小国を除いて七つの国があり、その中でイシュタル国と肩を並べる大国がノルディ国であった。


 そしてノルディ国を含め七つの国から、王もしくは王子が祝辞を述べに来ていた。


 彼らはイシュタルとバルカ国との戦いの結末を知っており、紫音とはどんな人物なのかを、また穏健なハシバ国王から即位したゼルダとういう人物を自らの目で見定めるためにやって来たのだった。


「ゼルダ殿、この度は誠におめでとうございます」


「おお、ノルディ国のアーネル国王殿。遠路はるばる恐れ入ります」


 一通りの挨拶が終わったあとでバルカ国との戦いの話題になった。


「あの戦ではゼルダ殿は、奥様共々たいそう活躍されたそうですな」


「いやいや、妻のおかげです。私なぞはこれを見守っておっただけでしてな」


 と、さらりと言った。


「そうですか。しかし奥様はどのような病も治されるとお聞きしましたが、戦でも不思議な力を使われるとか」


「わたくしは戦いは好みません。しかし苦しんでいる民を救うために戦うことはあります。その時は犠牲を出さないようにしています」


「ほお、そのような事が・・・」


 アーネルがそう言って紫音の目を見た時、彼は世界が止まった気がした。


 一瞬の内に、紫音の目が自分の中の隅々まで見ていった気がしたからだった。


 この人には勝てない、と彼は思った。


 人間という枠を超えている。


 そう思いゼルダを見ると、そんな紫音を事もなげに妻と呼び普通に接している彼の懐の、底知れぬ深さに恐れを感じた。


 アーネルは即座に、二人に会うまで考えていた外交の策を捨て、すべてさらけ出して友誼を貫く覚悟を決めた。


 彼はその決断ができるほどの、大国を率いるにふさわしい人物だった、


「なるほど。あなたならばそのような事も出来るのでしょうな。いや、今日はあなたがたにお会いできて本当によかった。この後は国としてもわたくし個人としても真の友好を築いていきたいと思っております」


「それは当方としても同じこと。私はまだまだ未熟者ゆえ色々と教えを請いたいくらいです。国としてもお互いの交流を更に推し進めていきたい。さすればお互いにもっと豊かな国が築けると思います」


「おお、そう思ってくださるか」


 話はそれから昔に取り交わした友好条約を結び直すことになり、日取り等の打ち合わせをして終わった。



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