カインへ行く
暫く歩いて、町から見えない場所まで来ると、紫音は
三人を木陰に連れて行き、各々手をつながせて輪の形にさせた。
「目を閉じて心をからっぽにしてね」
紫音は朝に見たファルアーク国の首都カインの町を心
に描き、その近くの場所を強く思い浮かべた。
その瞬間、三人はその場所に立っていた。
「もう目を開けて良いわよ」
「ほぉ・・・」
「ここはカインの町ではないか・・・これは、すごい」
「さぁ、行きましょう」
三人は町の入口へ歩き出した。
「なるほど。これなら一日で行ける訳だ。紫音殿も人
が悪い。先に言ってくれればいいのに」
「フフ・・・ちょっと驚かそうと思って。私を信用してくれるかどうかも知りたかったし」
「そんな・・・私があなたを信用していないと思っているんですか?私はもう何が起きても驚きませんよ」
「そうかしら?まだまだ、こんなもんじゃないかもよ?」
「又そんな事を・・・私は決めたのです。貴女がどんな人であろうと全部受け入れようと。だからどんな事が起こっても、もう驚きはしません」
やがて町の入口に来て、ゼルダは警備兵に近寄っていった。
そこには紫音達三人を出迎えるために、国王の息子のテオンも待っていた。
紫音達はテオンの案内でエルフォード国王の寝室に入
った。
エルフォード国王がベッドに寝ていた
「父が、突然倒れて口もきけなくなり、身体も動かせ
なくなったのです。こちらの言うことは分かるみたいなのですが」
紫音は国王に近寄り、身体に手を当てて全身を調べた
「国王様は頭の中の血管が破れて出血しています。だ
から話せないし、動けないのです」
「それは・・・治せますでしょうか?」
「やってみます。多分、治せると思います」
「どうかお願いします。父を助けて下さい」
テオンは紫音に深々と頭を下げた。
紫音は国王の頭に手を当てて目を閉じた。
その体からは紫色の霧が出て煌めき出し、部屋に広が
っていった。
頭の中の血液はまだ固まってはいなかったので、紫音はまず、脳の破れている血管を塞いだ。そして貯まっている血液を注意深く、少しずつ眼窩から外へ出していった
国王の目から血が溢れて出てきた。
脳の中の血液を全部出したあと、今度は傷ついた神経
と切れた神経を治していった。
切れていた神経の切り口が、お互いを求めるように伸びていき繋がっていった。




