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紫音の少女  作者: 柊 潤一
宿命
42/75

カインへ行く

暫く歩いて、町から見えない場所まで来ると、紫音は

三人を木陰に連れて行き、各々手をつながせて輪の形にさせた。


「目を閉じて心をからっぽにしてね」


紫音は朝に見たファルアーク国の首都カインの町を心

に描き、その近くの場所を強く思い浮かべた。


その瞬間、三人はその場所に立っていた。


「もう目を開けて良いわよ」


「ほぉ・・・」


「ここはカインの町ではないか・・・これは、すごい」


「さぁ、行きましょう」


三人は町の入口へ歩き出した。


「なるほど。これなら一日で行ける訳だ。紫音殿も人

が悪い。先に言ってくれればいいのに」


「フフ・・・ちょっと驚かそうと思って。私を信用してくれるかどうかも知りたかったし」


「そんな・・・私があなたを信用していないと思っているんですか?私はもう何が起きても驚きませんよ」


「そうかしら?まだまだ、こんなもんじゃないかもよ?」


「又そんな事を・・・私は決めたのです。貴女がどんな人であろうと全部受け入れようと。だからどんな事が起こっても、もう驚きはしません」


やがて町の入口に来て、ゼルダは警備兵に近寄っていった。


そこには紫音達三人を出迎えるために、国王の息子のテオンも待っていた。


紫音達はテオンの案内でエルフォード国王の寝室に入

った。


エルフォード国王がベッドに寝ていた


「父が、突然倒れて口もきけなくなり、身体も動かせ

なくなったのです。こちらの言うことは分かるみたいなのですが」


紫音は国王に近寄り、身体に手を当てて全身を調べた


「国王様は頭の中の血管が破れて出血しています。だ

から話せないし、動けないのです」


「それは・・・治せますでしょうか?」


「やってみます。多分、治せると思います」


「どうかお願いします。父を助けて下さい」


テオンは紫音に深々と頭を下げた。


紫音は国王の頭に手を当てて目を閉じた。


その体からは紫色の霧が出て煌めき出し、部屋に広が

っていった。


頭の中の血液はまだ固まってはいなかったので、紫音はまず、脳の破れている血管を塞いだ。そして貯まっている血液を注意深く、少しずつ眼窩から外へ出していった


国王の目から血が溢れて出てきた。


脳の中の血液を全部出したあと、今度は傷ついた神経

と切れた神経を治していった。


切れていた神経の切り口が、お互いを求めるように伸びていき繋がっていった。

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