姫の治療3
紫音はレイカ姫の背中に手を当てて、身体の内部を調べた結果、白血球の数が異常に多く、赤血球と血小板が少ない事がわかった。
「姫のご病気は、悪い菌をなくす血が異常に増える白血病という病気です。
そのために他の酸素を運ぶ血や血を固めるものが減り、血が止まらなかったり内出血したりします。
原因は、脊髄の中の血を作る元の材料が狂ったために正常な血が出来なくなったためです」
「治療法は、まず悪い血の元になる材料をなくすと同時に正常なものを増やします。
そして同じように悪い血をなくして正常な血を増やし、最後にすべて正常な血になれば終りです」
居合わせた全員は、紫音が耳慣れない言葉を使い、病気の原因と治療法を事も無げに言い切った事に唖然としていた。
そしてその中で、唯一ハウラが口を開いた。
「 貴女は、いったいどこでその様な事を習われたの
ですか?」
紫音はそれに答えず
「では、治療を始めます」
と言って、再びレイカ姫の背中に手を当てた。
紫音はまずレイカ姫のDNAに、骨髄の中の異常になっている血の元の材料である造血幹細胞を取り込む細胞を作る情報を付け足した。
この細胞はその後で死滅するようになっていた。
それから正常な造血幹細胞を作るようにDNAを促した。
治療を始めた紫音の身体からは紫色の霧が出てきて、部屋一杯に広がり、やがて弾ける様な音を出して煌めき始めた。
「おぉ・・・」
部屋は一瞬ざわめき、感嘆の声が上がった後はしんと静まり反り、皆一様に流れてくる旋律に聞き入っていた。
レイカ姫の体の中ではシオンが作った細胞が次々と生まれては異状な造血幹細胞を取り込んで死滅し、その後で正常な造血幹細胞が出来ていった。
紫音はそれを見届けると、今度は血液中の白血病細胞を取り込んだ後死滅する細胞を作るようにDNAを操作した。
血液の中では骨髄の時と同じように白血病細胞が次々と紫音の作った細胞に取り込まれてなくなっていった。
これで白血病細胞が減り、正常な造血幹細胞が増える毎に正常な血が作られ最後には寛解状態になる筈である。
紫音は暫くの間それらの進行状態を見守っていたが、不具合の起こらないことを見届けると、レイカ姫に触れていた手を離しレイカ姫に言った。
「今、あなたの体は病気を直していますので少し熱が出ますが、安心してしばらくの間寝ていてください」
それから、優しくレイカ姫に毛布をかぶせてから国王の側へ寄って行った。




