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紫音の少女  作者: 柊 潤一
宿命
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母子を救う6

 手をつないで入ってきた二人を見て紫音とシュリ婆は立ち上がった。


「本当にありがとうございました」


 そう言って母親は深々と頭を下げた。


 そしてあんたもお礼を言いなさいと子供に言った。


「お姉ちゃんが目を治してくれたの?」


「そうよ。ちゃんと見える?」


「うん。はっきりと見えるよ!」


「良かったね。これからはたくさん遊べるね」


「うん、お姉ちゃんありがとう。私ね、お医者さんになりたかったんだ。お医者さんになって、お母ちゃんの病気を治してあげたかったんだけど、お姉ちゃんが治してくれたんだよね?私もお姉ちゃんみたいなお医者さんになるんだ」


「そうかー。ユリちゃんならなれるよ。頑張っていいお医者さんになってね」


 目を輝かせて話す子供を見て紫音は微笑んでいた。


 純真な子供の思いが心の中に流れてくるのは、とても気持ちのいいものだった。


 シュリ婆もにこにこと微笑んで二人を見ていた。


「それじゃ色々お世話になりました。本当にありがとうございました。このご恩は一生忘れません」


「がんばってくださいね。何かあったら又来るといいですよ」


「はい。ありがとうございます」


 そう言って母子は玄関へと向かった。


 奥からエリカも出てきて三人は母子を見送りに出て行った。


「うゎぁ・・・眩しい!」


 そう言って子供は目を覆っていたが、やがて目が慣れてきたのかあたりを見回していた。


「すごく綺麗・・・こんなに明るくてこんなに綺麗だったんだ」


 初めてはっきりと見たこの世界は、ユリにとっては明るくて綺麗に見えたのだろう。


 それは普段から目にしている私たちには当たり前に思えているだけであって、真実はユリが言ったのが正しいのかもしれなかった。


 はしゃぎながら歩いていく子供と、それを見て嬉しそうにしている母親を見送ってから、三人は家に戻ってきた。

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