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人間が生理的に無理なので魔王やります  作者: あんぱん隊長
第1章 サキュバスの国
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第8話 私の王

 私は魔王様の演説が終わった後、ロイ様のもとへ急いでいた。


 ロイ様は本当に凄い。


 これで人々の意思は1年後の戦争に“勝つ”ことに向かってくれるだろう。


「あっ、ロイ様」

「どうしたんだ?そんなに慌てて。」

「本当にありがとうございました。」


 凄い勢いで頭を下げる。


「何を感謝されることがあるんだよ。俺の国を守ろうとしただけだぞ。あたりまえのことだ。」

「そんなこと……。」

「俺はオークを牢に入れてくる。」

「私もご一緒します。」

「ふむ、スキルはできるだけ隠したかったんだが……リーゼさんならいいか。」


 ロイ様はそう呟いて牢に向かった。

「魔王」の称号を持つ者は同時に何かしらのユニークスキルを授かるといわれている。これは世界でその人しか持っていないスキルのことだ。


 ロイ様が使ったオークを収納した魔道具のアイテムバッグのようなスキルはそれに当たるのだろう。



 地下牢についた。

 魔王様は1人ずつスキルからオークを取り出し、防水の手袋で痺れ薬に触れないように装備を全て取り外し、そして、オークがアイテムバックに持っていた「隷属の首輪」を取り付け、またスキルで収納していく。

全ての作業を終えた後全員を牢に出した。


 そして魔王様は口を開いた。


「お前たちは人質だ。」


 魔王様が「1年間の停戦」「物資の輸入」を望むことを伝え、明日一人解放し国に帰らせることを告げた。



 魔王様と城への道を歩いている。

 ずっと私は違和感を覚えていた。魔王様はずっと苦虫を噛み潰したような顔をされている。


 国は順調すぎるほど順調だ。何故そんな顔をすることがあるのか。


「ああ、ちょっと話がある。今夜、城の俺の部屋まで来てくれ。」

「あ、はい、わかりました。」


 何の話なのだろうか。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 俺はオークを()()()()()解放した後


 砦に行き、サキュバスの死体から能力を貰った。


 その後散歩してくるとミーナに言って城近くの森まで来ていた。


 数人のオークを取り出す。優秀な奴ばかり死んだというのもおかしいのでランダムに取っている。


 生きているオークを殺して能力を取り込んだ。


 ついでに隷属の首輪も一つ取り込んでみた。



 そんなわけで今の俺のステータスはこんな感じだ。


ステータス

 名前:ロイ


 種族:魔王


 職業:魔王


 Lv:12(経験値3/120)


 年齢:0


 HP:7580/7580


 MP:9824/9824


 筋力:6354


 耐久:6422


 素早さ:5577


 称号:「魔王」「異世界からの来訪者」「剣の才能」「弓の才能」


 魔法:なし


 スキル:ユニークスキル「真の王の器」「インベントリ」「異世界知識」「隷属操作」


     スキル「剣術Lv4(熟練度7/40)」「弓術Lv3(熟練度21/40)」「飛行Lv1(熟練度2/10)」「性技Lv10」「鑑定Lv10」「全属性魔法適正」


 耐性:「麻痺耐性Lv3」


 状態:なし



詳細


 称号「剣の才能」・・・剣術スキルが短期間でLv2に達した証。剣の扱いに補正。


 ユニークスキル「隷属操作」・・・隷属状態を操作できる。解放条件と命令の設定が可能。このスキルの使用を隷属で縛ることは出来ない。


 スキル「飛行Lv1」・・・空を飛ぶことができる。移動速度は遅い。


 耐性「麻痺耐性Lv3」・・・全ての麻痺状態を無効化できる。



 ……ユニークスキルを手に入れた。

 ちなみに「隷属の首輪」はつけた時に「解放条件」と「命令」を設定でき、解放されるまで、設定された「命令」に逆らうと死ぬ。解放条件が満たされるまで首輪をつけたものにしか外せない。首輪をつけたものから命令権を委譲して「主人」を設定することもできるというものだ。


 それと同じことのできる魔法のようだ。隷属状態を操作ということは他者がつけた首輪の「解放条件」と「命令」を弄ったり「隷属の首輪」を取り外したりすることができ、自分がつけられても外せるのか。


 かなりいいスキルだろう。



 後は「飛行Lv1」だ。俺が睨んだ通り「浮遊」のスキルを上げたらLv5でこれになった。


 「性技Lv10」も上限に達した。経験はまだない。



 オークが精鋭だったおかげもあり、ステータスはかなり上がったが、不満なのはオークのステータスを多く取り込んだせい(ダジャレではない)でパワー型のステータスになってしまったのが気に入らない。



 レベルも上がった。

 レベルの上がる条件は生き物を殺すことで、個体によって経験値は差があると推測できる。


 オーク達が「麻痺耐性Lv1」を新たに取得していたので貰ったらLv3で上限に達した。1年後は今日の兵には麻痺通じにくいのかー。


 さて、オークの死体埋めて帰るか。


 夕飯なんだろうな。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 私はロイ様の部屋を訪れていた。


「それで、話とは……。」

「頼みたいことがある。」

「はい。私にできることでしたら。」


 なんだろう夜伽でも頼まれるのだろうか。それならば喜んで引き受けるが。


「俺は今回の件で大勢の人を殺した。」

「何のことでしょうか?」

「今回の戦い。死者を1人も出さずに済ませる方法があったにも関わらず()()()死者が出るような戦術をとった。戦争後の演説を効果的に行うためだ。」

「……。」


 あの戦いを死者0で終わらせることなどで来たのだろうか。私にはまったくその方法の検討すらつかないが。


「この国は平和ボケしていた。最も効果的に皆を奮起させるためには痛みを伴う方法しか俺には思いつかなかった。」

「そんな……。」

「この方針はこの世界に来た初日に立てたものだ。そこから他に方法がないか考えたがどうしても他の方法が思いつかなかったのだ。」



 この表情。私は思い至ってしまった。ロイ様がいらっしゃった初日の夜すすり泣くような声が聞こえた理由に。



 ロイ様はあの時点でこの状況までの想定をしていたのだ。



 なんて人だろう。



 畏敬の念すら覚えるほどだ。


「そこで死者が出るのを目の当たりにして頭をよぎった。俺は間違っていたのではないかと。」

「そんなことありません!」


 私は思わず大声を出してしまった。


「ありがとう。俺は正直今この選択が間違っていたとは思っていない。俺は魔王だ。残酷な選択でもしてみせよう。だが俺は今回の件で、今後自分が選択を大いに誤ってしまうこと可能性が大いにあることを理解した。だからリーゼさんに頼みたいんだ。」


 ロイ様は一呼吸おいて言った。


「俺が少しでも間違っていると思ったら殴ってでも止めてくれ。」


 ロイ様の期待に全力でこたえたい。私は心からそう思った。


「わかりました。ロイ様。ですが、あなたが酷な選択を強いられている時には私にご相談ください。一緒に背負わせてください。」


 ああ、これが私の待ち望んだ王なのだろう。


「ああ、頼んだよリーゼさん。」


 ロイ様は安堵のような表情を浮かべる。


「私のことはリーゼとお呼びください我が王、ロイ様。」


「わかったよ、リーゼ」



 私は王に永遠の忠誠を誓うのであった。

毎日投稿で書き溜めがものすごい勢いで減っていきます。

書き手って大変だったんですね。

できる限り頑張りますが、そのうち更新ペースを落とすかもしれません。


ステータスの表記を見やすいよう多少修正しました。内容には変更ありません。

ルビのシステムが把握しておらず、無駄に「|」が入っていたりしたので修正しました。


9/7傍点がうまく振れていなかった問題を修正。

9/21主人公の称号に「剣の才能」「弓の才能」を追加。「麻痺耐性Lv3」の詳細を追加

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