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スカイダイビングとはこのことである

どうやらスカイダイビングの時間のようです

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


現在、俺巧嶺凜皇はパラシュートなしのスカイダイビング中です。誰か助けてください。


「くそあのロリばばあ!普通そんな急に飛び出させるか!?」

「そこまでほっぽり出すわけなかろう。大体ここに我はおるだろうに」

「うわああああ!!でたあああああ!!妖怪だああ!!!」

「そのメダルのようなものを時計に差し込もうとしたって何も変わらんぞ。いろいろ五月蝿くなりそうだからやめい。というかどっから取り出したんじゃ?」

「大丈夫だよ。そこまで血迷ってないって。で、何の用だよお前。」

「いやこの世界のチュートリアルを済ませていなかったんでのう。ほれ。上を見てみよ。」


上を見ると納得できた。太陽が二つある。二つの太陽の片方は太陽と同じような赤い色でもう片方は少々青い。さらに赤いほうは青いほうよりも大きい。どちらも少々形が歪だ。


「あれは何だよ」

「見ての通り太陽なんじゃよ。大きいほうは「アダムス」、小さいほうは「イヴァラテア」じゃな。」

「いや、その理屈はおかしい。恒星が二個もあるといろいろ不都合があってこの星が持つとは思えん」

「残念だったのう。アダムスはもともと太陽より熱量が少なくてのう。この星は寒冷化が限界を迎えたのもその所為だったりするのじゃ。」

「なるほどそれで?」

「この星の人間はとんでもないものを作り出した。それがイヴァじゃ。これは寒冷化したこの星にもうひとつの恒星を作り上げることでこの星を暖めようと思ったんじゃ。」

「は?作り出した?ある意味アダムスをサポートするとはいえ星を暖めるような熱量を持ったものを?」

「まあ。それをつくったのは古代文明の時代じゃから技術も失われている。さらに最近見つかった古文書からは魔法で作られたとか言うことが判明してなあ」

「へえこの世界にも魔法もあったのか」

「あの空間はこの世界の神の空間じゃ。法則とかこの世界と違うとがいろいろ不都合が生じるから同じ使用にしているのじゃ」

「なるほどなあ。」

「まあ魔法にはそれぞれの資質があって火の魔法しか使えないものには火の魔法しか使えない。ほんとに何の魔法も使えないものもおる、というかほとんどがそれじゃな」

「まて、その資質って俺には何があるんだ?」

「創造と開発、錬金術じゃな。」

「おおう。攻撃魔法の類はないのか?」

「ないな。全くない。しかし創造と開発錬金術の資質は誰よりも大きい。」

「攻撃の手段をくれよ」

「日本刀でも作って何とかするんじゃな。さてもうここで終わりじゃ。後は自分でがんばるんじゃな。」

「え?ちょ、まっ」


え?ここで放置?


「最後に言っておくぞこの星の名前はエデランス。では頑張ってこい。」


待って消えていかないでよ!今落下中なんだけど!?だいぶ落ちてきてようやく地面が見えてきたとこだよこのままだったら大惨事だよ!俺のペーストが出来上がるよ!


「そんなうろたえなくてもよい。ほれ」


背中に何か背負わされたんだが。何だこれ?


「顔と目で会話しようとするな。あとそれはパラシュートじゃ。肩のベルトについている紐を引っ張ればパラシュートが展開する。」

「なんだかんだ言っても通じてんじゃん。というかなんでパラシュートなんてあるんだ?」


俺がそういうとロリばばあは消えて言った。次にあったら何か違う呼び方をしてあげよう。ロリばばあって意外と呼び難いや。うーんクソばばあでいいか。


ぶちっ!


「は?」


いやな音がしたから恐る恐るという感じで後ろを振り返ると案の定パラシュートが消えていた。バッグと紐は残っているから途中で千切れたのだろう。残り地面まで十メートル。下には一応森が広がっているが俺は生きて着地できるのだろうか。


「あのくそばばあああああああああああああああああああああああああああああっふぇぐぼう!!」


大きな木の幹に来たって俺は意識を手放した。







目を開けると知らない天井だったなんて事はなく森の中だった。あのパラシュートが消えて焦ったけど柔らかい場所に落ちたようで良かった。


「成る程、最初から城の中庭に落ちてこの国の常識とか教えてもらえるかと思っていたけどそんな事はないようだな。」

「いきなり空から落ちてきていきなり何言ってるですか?というか重いです。どいてくださいです。」


おや、落下地点が随分柔らかいと思ったら俺の下に誰かいるじゃないか。小学生くらいの背丈の少女で一番目を引くのは耳と尻尾だ。あれ?いきなり当たりかな?異世界と感じさせる獣人、それもワンコじゃないか。顔立ちは可愛いな。うちの学校とかだったらマスコットキャラとして大人気だな。


「おや失礼。僕は空から落ちてくる系のロリコン、もとい凡人です」

「思いっきり私に危険が及ぶ一言が混じっていたのです。ここまでの変態さんは初めてなのです。」

「いやあそれほどでもありますよ。僕の自慢のポイントですからね」

「褒めてないですし、謙遜するかと思えばそんなことなかったのです。とりあえず五メートル以内に近づかないでください。」


残念。恐がらせてしまったようだ。


「冗談だよ。そんなとって食おうってわけじゃないから大丈夫だよ。」

「嘘です。そんな嘘で騙されないのです。お母さんが言ってたのです。知らない男の人が話しかけてきたら股間を蹴りなさいって」

「君のお母さんと話をしてみたいよ。少なくてもまともな感性は持ってなさそうだ」

「お母さんにも手を出すのですか?これがあの親子丼と言うやつですか?」

「うん、誰かな君に歪んだ知識を埋め込んだのは。少なくとも君くらいの子が知っている単語じゃないよね。」

「お母さんが教えてくれました。お母さんは何でも知っているのです。」

「今すぐ親子丼という単語を忘れなさい。それは君が知ってはいけない単語だ。」


なんで教えたんだよこの子の母親は。


「というか君、ここが何処か知ってる?」

「ここは魔獣の森。時々やってくる冒険者はみんな骨になっていくのです。なんでででしょうか。」

「それはね。この森の中で獣か何かにやられたか、迷って食量が尽きて餓死したとか言う悲惨な人生の末路の姿だよ」


そんなに冒険者もしくは一般人が死んでいるんならここってすごい危険なんじゃないか?


「僕はこの森から出たいんだけどどうしたらいいかな?」

「お母さんに会ってみればどうです?」

「え?会っていいの?」

「久しぶりの生きている人だしお母さんも歓ぶと思うのです。」


この森で見かける人といったら骨だけだろうしな。俺みたいに肉もついてて呼吸もしているのは珍しいんだろう。

それに歓迎されるんだから招待されておこう。ついでにこの世界の常識とかも教えてもらいたいしな。


「よし。じゃあ君のお母さんに会わせて貰えるかな。」

「まずその前に名前を教えてほしいのです。このままでは私はあなたを変態さんと呼ぶしかないのです。」

「それは勘弁してほしいな。僕の名前は・・・・・うん。リオウだよ。よろしくね。」

「わたしの名前はフェルニネウベババファフベなのです。よろしくなのです。変態さん。」

「僕名前教えたよね?その呼び方は勘弁してほしいんだけどな。というかその名前ってどんな悲劇があってそんなむちゃくちゃな名前を付けたの?発音しにくくない?というか僕が出来ないからフェルって呼んで良い?」

「いいですよ。お母さんもそう呼んでますし。ではリオさん行きましょう。」


微妙に違うんだけどな・・・・・。まあいいか。あと自分でも呼ぶのが面倒くさくなる様な名前をつけるなよ。


「ここから何分ぐらいかかるの?」

「大体三秒ぐらいです」

「は・・・えあぶっへ!」


は?と俺が言うと地面の下から家が飛び出してくる。まあ正確には、俺の真下から出てきた。煙突に片足を突っ込んで空にうちあげらる。股間に走る痛み。二度目の飛行体験。というかどんな勢いで出てきたんだよこの家。

今回は地面に墜落することはなく、何本もの蔦に絡まって止まった。ただし頭が逆さまだから長くは持たないだろう。


「ねえ」

「なんです?」

「何で忠告とかしてくれなかったのさ。」

「ちょっと目測を誤ったのです。悪気はなかったのです。」

「めっちゃ痛かったんだけど。」

「その点については謝るのです。にしても、打ち上げられた後が無様なのです」

「じゃあどうやったらこの事態を防げたかな?実際にやってくれるかな?」

「わかったのです。じゃあ降ろしてあげるのです。その後に、私も空高く飛ばして欲しいのです。しかしこれはまた複雑に絡まってますね。」


近付いてきて簡単なところからほどいていくフェルニーナ。


「いいのか?落下地点なんて調整できないし、その服装だといろいろまずいんじゃないか?」

「落下地点については条件は同じなのです。それに私ほどにもなるとサービスシーンを生み出すことなく、事を終えることができるのです。」

「妙なフラグ立てありがとう。」


それにしても森の中に住んでいてもふつうの感性くらいは持っているということか。まあ後ろを向いたらいいだろう。

俺は両の掌を組んで足下に下げる。


「どんな事になっても知らんぞ」

「大丈夫なのです!さあ飛ばしてください!」

「さん、にい、いち、それ!

「なのです!」


高く高く飛ばされるフェル。最高地点に到達すると徐々に頭が逆さまになる。下にはちょうど俺が引っかかっていた木。あわてて体勢を立て直そうとするがもう遅い。頭から突っ込んだ瞬間後ろを向く。無駄な被害は受けたくない。ここは見ていないと証明するために後ろを向いているのが得策だな。


「きゃあああああ!!!!」


後ろから可愛らしい悲鳴が聞こえるが、無視。無い物として扱う。


「ちょ、ちょっと何やっているんですか。そんな僕は紳士ですから何も見ませんよみたいなスタンスを維持してないで助けてくださいよ!」

「折角気を使ったんだからそんな貶す事無いじゃないか。世の中には言っちゃいけないこととがあるんだよ。」

「良いから振り返って助けてください。ちゃんと見えないようにしているので。」

「まあそこまで言うなら良いけど。」


振り返ってみるとフェルが逆さまにぶら下がっていた。うまく体は蔦に絡まるのは避けたようだが、右足がこれ以上無い位に蔦が絡まっている。両手はワンピースの前と後ろを押さえているが横はめくれている。というかそこにあるはずのものが無いんだが気のせいか?

見なかった事にしよう。


「どんな落ち方をしたらこんな絡まり方をするんだ?千切ったほうが早いと思うけどこの蔦意外と丈夫だぞ。」

「なんか刃物とか持ってないんですか?」

「持ってるわけあるか。」


あ、そうだこの世界には魔法があるじゃん。確か神に告げられた俺の魔法の才能には創造があったはず。


「魔法を使えば早いんだろうけど、どうするんだ?」

「あれ?リオさんは魔法を使えるですか。」

「ああ。そうらしいんだが生まれてこの方使ったことがないからどうしたものか分からないんだ。」


事実だし、まあ召喚されたって事はかくしておいた方がいいだろう。


「魔法なら私もちょっとだけ使えるのです。まあ壱の水魔法しかできませんが・・・・」

「魔法が使えるならいいよ。でも発動方法が解らないんだ。」

「魔法なんて簡単なのです。たとえば水の魔法なら水のイメージをすればいいのです。」

「あ、なに?そんな簡単なの?」

「あ、でも人によっては起句を唱えるらしいですよ。まあ、お母さんは唱えないですが。」


なるほどなあ。あ、やっと蔦が解けた。フェルが落ちないように足を掴む。そのまま持ち上げてフェルの顔が俺の顔の高さにくるようにする。


「解けたぞー」

「何か助けて貰っておいて何ですがもっとなにか素敵な助け方があったんじゃないんですか?」

「ワンピースの裾押さえるのに精一杯のくせになに言ってんの。顔から落ちないだけ感謝でしょ」

「まあ、それもそうですね。ちょっと後ろ向いてもらえます?それと手を離してください。」


言われたとおりにするとあら不思議。3秒後に背中を両脚で蹴られたよ。ドロップキックってやつかな?

顔面からだいぶする俺を放っておいて、自分の家に入っていく。汚れた顔を適当に拭いながらフェルの背中に声を掛ける。


「俺頑張ったのにお礼はないのか?」

「変態さん。ありがとうございました。」

フェルは振り返って舌を出しながらぶっきらぼうに言った後、扉を閉めた。俺なんか悪い事したかな?まあ、ちょっとだけ扉を開けてくれたので中に入らせて貰うとしよう。


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