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第11話

森を走ること半刻ほど。


ユウキは大きな滝に辿りついた。


滝壺からは滝飛沫が水蒸気が吹き出すように出ている。


大量の水が滝壺に流れ込む轟音のせいで軽く地面が揺れている。


雨の後などは水かさが増して辺り一面が霧にかかったようになることから、領民たちからは水精の遊び場なんて呼ばれているのを聞いたことがある。


ここはユウキのお気に入りの場所の一つであり、よくチョコ達と遊びに来る。


「じゃあチョコ、マシュ、マロは先に行っててね」


ユウキはとりあえず一番大きなチョコをむんずっと掴み、せいやぁ!と滝の上に投げ飛ばす。


当然のごとくこの規模の滝がそこまで低いことはなく、高さは10メートルを余裕で超えるのだが、


「わふぅうぅぅぅ!」


大きな毛玉は上から紐で引っ張られているかの如く飛んで行った。


そして中くらいな毛玉と小さな毛玉も同じように後を追う。


「まふぅうぅぅぅ!」

「まうぅうぅぅぅ!」


そしてユウキはというと、滝から少しだけ距離を置いて助走をとっていた。


「よし!」


全身の力を一度抜き、そして全身に意識を向ける。


するとユウキの体から微かに陽炎のような靄が立ち昇った。


「しっ!」


短く息を吐き出し、弾丸のように駆け出す。


そしてほぼ垂直な滝の側面の崖を僅かな突起を足場に駆け上がる。


僅かに勢いが減衰した所で崖の上の淵に手が届き、あとは懸垂の要領で登りきった。


「うーん、あと少しで届くんだよなー」


一気に駆け上がれなかったことが不満らしい。


「わふ!」

「まふ!」

「まう!」


「うん、しょうじんあるのみ!だね。師匠達に早く認めてもらいたいなあ。……?」


不意にユウキは違和感を感じて辺りを見渡した。


滝の上には特に気になるものはない。


振り返って滝の下を覗いてみるも何もない。


気のせいかな?


ユウキがコテンと頭を傾げていると


『ククク……ミツケあぼっ!?』


一瞬だけ強風が吹き抜けた。


何やら声のようなものが聞こえた気がしたが、改めて見渡して見ても何もいない。


ユウキの気のせいだったようだ。


「よーし、今日もひみつとっくんがんばるぞー」

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