表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽だまりのコタロウ  作者: じょんどぅ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/101

『桜の精と、はじめてのピクニック』

『桜の精と、はじめてのピクニック』


### 1. 桃色のカウントダウン


「見て、コタロウ! 咲いたわよ!」

サチコさんの弾んだ声が、静かな朝の空気に響いた。


庭の真ん中、あのミミズクが止まっていた古い桜の木の枝先に、たった一輪、恥ずかしそうに開いた花びら。

コタロウは、その小さなピンク色の旗印を見上げて、大きく一つ鼻を鳴らした。


「チビ、ルーク! ついに『ピンクの警報』が発令されたぞ!」


生垣の向こうから、ルークが白い毛を桜色に染めながら顔を出した。

「ついに来たか。僕の嗅覚センサーによると、今後48時間以内に庭全体の色彩濃度が80%上昇する見込みだ」


### 2. 警備保障、花見の場所取り任務


サチコさんは、あの「料理上手な男性」と、アーサー先輩を招いてお花見をすることにしたらしい。

「庭でお花見なんて、贅沢ね」と笑いながら、大きなブルーのシートを広げるサチコさん。


ところが、ここで問題が発生した。

桜の香りに誘われて、近所の「荒くれスズメ」の軍団がやってきて、シートの上に落とし物をしようと企んでいるのだ。


「ここは僕の出番だね!」

チビが桜の木の低い枝へと駆け登る。

「こらー! ここはサチコさんの特別席だよ! あっちの電柱で会議して!」

チビが猫パンチ(の構え)を繰り出すと、スズメたちは驚いて、隣の家の屋根へと退散していった。


一方、僕はルークと協力して、シートの四隅を「重石」として守ることにした。

僕が右下、ルークが左下。ビシッと座って動かない。これぞ、世界で一番贅沢な重石だ。


### 3. 五匹(+一人)の宴


やがて、アーサー先輩と男性がやってきた。

男性が持ってきた重箱を開けると、そこには春の香りが詰まったお弁当。

そして、僕たちのために用意されたのは、**「桜の葉の香りをつけた特製ササミ巻き」**だった。


「コタロウ、アーサー。お前たちのおかげで、この庭はいつも平和だな」

アーサー先輩が、ゆっくりと目を細めて言った。

「主人がこうして笑っているのは、お前たちがこの庭に『陽だまり』を繋ぎ止めてくれているからだ」


僕たちは、ひらひらと舞い始めた桜の花びらを鼻先で受け止めながら、豪華な食事を味わった。

カメくんも、自分の池から首を長くして、不思議そうに空を舞うピンクの蝶々(花びら)を眺めている。


### 4. 桜の木の下の「約束」


宴が落ち着いた頃、サチコさんと男性は、並んで桜の木を見上げていた。


「この木には、なんだか不思議な力がある気がするわ。コタロウが来てから、もっと元気になったみたい」

サチコさんがそう言って、僕の背中を撫でる。


僕は、土の中の「松ぼっくり」のことを思った。

そして、あの夜に現れたミミズクのことも。

この木は、僕たちの友情と、サチコさんの幸せをずっと見守ってくれているんだ。


「ねえ、来年も、再来年も……ここでみんなで集まりましょうね」


サチコさんの言葉に、ルークが短く「ワン」と答え、アーサー先輩が静かに尻尾を振り、僕はサチコさんの足元に顎を乗せた。


### 5. 陽だまりの春


夕暮れ時、庭は一面の桜色に包まれた。

風が吹くたび、僕たちの背中には小さな花びらの勲章が降り積もる。


「先輩……春って、お腹も心もいっぱいになるね」

チビが、アーサー先輩のふかふかの耳の横で丸くなって眠っている。


僕たちの「陽だまりの警備保障」は、今日も異常なし。

新しい季節が来ても、守るべき笑顔がある限り、僕たちの任務は終わらない。


桜の香りに包まれて、僕は最高の気分で目を閉じた。

夢の中では、きっとミミズクが、僕たちの素晴らしい働きを褒めてくれているはずだ。


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ