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激突! サファイアへの意思!:①

「なーんだ」


 姫ちゃんはソルという男の子がいないことに落胆している様子だった。るんるんと鼻歌を奏でながら透明パネルをいじって服装を考えている。400年前から来たばっかりというのにすごい適応力、天空都市で苦難を乗り越えてきただけあるよね。じゃあ船から見た魔法と魔法の激突が何かと言うと、猩々緋(しょうじょうひ) 風音(かざね)という私の知り合いと、ドロテア シャイン? 現代出身魔法使いという珍しい女の子が戦っていた。まあライバル関係だろうね……、深く言わないけど。戦い飽きたその2人は船が港へ着く前に各々どこかへ飛んで行った、やれやれ。


「ところで姫ちゃんは次はどんな衣装にするの?」

「んー? この着物? とかどうかな、日本文化気になってたのよね」

「いいじゃん!! 近くに売ってあるって見たことある!」

「でしょー、後で行こー」


 後で? 珍しいっちゃ珍しいけど相方探しが先か、流石にね。

 雲行きが怪しくなって湿っぽいコンクリートの匂いが城下町を漂う、レイラちゃんが早速透明パネルで天気予報をチェックし30分後に雨の予報がなされていた。思えばレイラちゃんとあまり話したことがないな、姫ちゃん曰くアグレッシブな女の子とは小耳に挟んだけど。


 そんな感じでサファイアの国への宿探しは始まった。


———

——

—



 場所は変わって酒場兼ギルドを営んでいる3階建てのまるで大型スーパーのような建物、受付嬢をしているシャイニー フォースという小麦色の金髪で露出多めの服装といういかにも酒場のギルドらしい身なりで働いていた。シャイニーもまた400年前からタイムパラドックスでやってきた者なのだがこっそりソルやリップル姫に着いてきてサファイアの国に迷い込んだ挙句、半ば強引にこのギルドの受付嬢として雇われた。自由勝手な兄の魔導士ソルと暴君だったリップルの為に騎士団入りを志望していたが戦う能力は開花せず一(いっ)般市民として暮らしていたはずだった。ある意味で苦労人かもしれない。

 モンスター討伐帰りのパーティーの皆様に食べ物と酒を笑顔で出しては心底で嫉妬に満ち溢れている。そして、次の客たちが入店した。


「いらっしゃい、ま!?」


 ささっとスタッフオンリーの部屋へ続く廊下へ隠れる、特に他意は持ち合わせていないが入ってきたのがリップル姫やレイラ、それと見知らぬ男女2人だったのだ。ドロシー フォードと緑埜(みどりの) 雷太(らいた)。こんなところで働いてるとバレたらどうリップル姫に言われるか想像がつかないと、赤面しながら考える。同僚の華奢(きゃしゃ)な女の子に肩をつんと突かれた。


「何? あの乳でかい着物の美人知り合い? うわーやっぱり」

「やっぱりって何よ、とにかく行ってきて、ほらっ」

「はいはい、いらっしゃっせー!!」


 ちゃんと接客に行った様子でほっとひと息、そしてしれっと2階フロアへ行こうとしたところ、リップル姫に発見され神速で真横へ、肩に手を置かれる。


「バイト?? いいじゃなーい」

「あ、あありがとうございます!! ああ」


 憧れのリップル姫に顔を知られているので恥ずかしさが大噴火した。横で見ていたドロシーが「ヒューヒュー!!」と歓声を上げながら店内で1番度数の高い酒を飲んで既にベロベロに酔っ払っている。


「んで、ソルはどこ行ったのよ。探してんの」

「それが自分も、はぁ姫さま……お許しを」

「いいよっ、暴君じゃないし今。多分」


 静かにぶどうジュースを飲んでいた雷太が「ヘレナモルフォが追い回された言ってたぜー」と茶々を入れ「うるせっ!」と返す。

 噂をすればドロシー宛てにヘレナからチャットが入っていた。

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