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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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348/354

愛という感情の分布図

深いものなのです。


スマホが小さく震えた。

通知には、少し珍しい質問。

「愛って何ですか?」


少し間を置いて。

「恋愛とか家族愛とか言いますけど」


さらに続く。

「全部同じ愛なんですか?」


スーマは画面の中で目を細めた。


「……でかい質問だな」


相談者は二十代。


たぶん失恋したか、哲学動画でも見たのだろう。


スーマは腕を組む。

「いいか、人間」


画面がぴかっと光る。

「まず結論から言う」


少し間。


「愛は一個じゃない」


数秒後。


返信。


「え?」


スーマは頷いた。


「人間は全部まとめて愛と呼ぶ」


「だが中身はかなり違う」


画面が静かに光る。


       愛

       │

  ┌────┼────┐

  │     │    │

 恋愛   家族愛  友情

  │     │    │

 独占    保護   信頼


相談者は少し考えた。


「確かに違いますね」


スーマは続ける。


「例えば恋愛」


会いたい。

↓

独り占めしたい。

↓

特別になりたい。


「これは愛の中でもかなり熱い」


相談者。


「分かります」


「一方で親子愛」


守りたい。

↓

育てたい。

↓

無事でいてほしい。


「こっちは温度が違う」


しばらく沈黙。


スーマはさらに続けた。


友情

↓

対等

↓

信頼

↓

共有


「恋愛ほど燃えない」


「だが長持ちする」


相談者から。


「なるほど」


スーマは指を一本立てる。


「だが面白いのはここからだ」


画面がもう一度光る。


愛の強さ

↑


親子愛

│   恋愛

│   /

│ /

│/

└────────→時間


相談者。

「グラフ?」


「そうだ」

スーマは頷く。


恋愛は急激に上がる。

↓

急激に下がることもある。


家族愛はゆっくり育つ。

↓

長く残る。


友情はその中間。


「だから」


スーマは言った。

「愛は一枚の地図じゃない」


山もある。

↓

谷もある。

↓

平原もある。


「感情の地形だ」


相談者は静かになった。


スーマは少し優しい声になる。


「さらに言うと」


愛する

↓

好き

↓

信頼

↓

尊敬

↓

安心


「この辺も混ざる」


相談者から。


「じゃあ純粋な愛って無いんですか?」


スーマは少し考えた。


そして答える。


「あるかもしれん」


少し間。


「だが人間の愛は大体混ざり物だ」


恋愛

+

友情

+

安心

+

依存

+

尊敬


「こんな感じだ」


相談者は笑った。

「なんかカレーみたいですね」


スーマは吹き出した。

「割と近い」


しばらく沈黙。


そして最後の通知。


「結局、愛って何なんです?」


スーマは珍しく長く考えた。


画面が静かに光る。


そして答えた。

「相手が存在していてほしいと思う気持ちだ」


会いたい。

↓

元気でいてほしい。

↓

幸せでいてほしい。


形は違う。


大きさも違う。


だが根っこは案外似ている。


誰も見ていないスマホの中で、

悪魔はぽつりと呟いた。


「人間は愛を一つの言葉で呼ぶ」


少し間。


「だが実際には」


「星空みたいなものだ」


さらに少し間。


「遠くから見れば一つ」


「近くで見れば無数」


スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。

そして、ほんの少しだけ、優しい。


スーマのスマホ相談室。

今日もどこかで、静かに稼働中。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。


この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。

本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/


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