お盆期間の割増料金はボッタくりにならないの?
駐車場にホテル、旅館、シャレにならない金額になってますよね!
お盆前。
スマホが小さく震えた。
通知には、毎年誰かが思う疑問。
「ホテル高すぎません?」
少し間を置いて。
「高速バスも高いです」
さらに続く。
「お盆料金ってありますけど」
「これってボッタくりじゃないんですか?」
スーマは画面の中で苦笑した。
「……来たな」
帰省の計画を立てていて現実を知ったらしい。
スーマは腕を組む。
「いいか、人間」
画面がぴかっと光る。
「まず結論から言う」
少し間。
「普通はボッタくりじゃない」
数秒後。
返信。
「え?」
スーマは頷いた。
「気持ちは分かる」
「普段一万円のホテルが」
「お盆に二万円だったら」
誰だって思う。
「足元見てるだろ!と」
相談者から。
「思いました」
「だろうな」
スーマは指を一本立てる。
「だがな」
「ボッタくりと割増料金は別物だ」
しばらく沈黙。
相談者は続きを待っている。
ボッタくりとは
料金を隠す。
↓
後から請求する。
↓
不当に高額。
「こういうやつだ」
相談者。
「確かに」
お盆料金とは
料金を事前表示。
↓
納得して予約。
↓
混雑期価格。
「こっちだ」
相談者は少し考え込んだ。
スーマは続ける。
「例えばな」
「ホテルは一年中同じ客数じゃない」
平日。
↓
空室だらけ。
お盆。
↓
満室。
「需要が十倍になれば」
「値段も上がる」
相談者。
「それは分かります」
スーマは頷く。
「飛行機も同じ」
「新幹線も同じ」
「旅館も同じ」
少し間。
そして続けた。
「お前が明日売る予定だった米を」
「百人が欲しいと言い出したらどうする?」
相談者。
「値段上げますね」
「そういうことだ」
即答だった。
しばらく静かになる。
そして相談者。
「でも上げ過ぎじゃないですか?」
スーマは笑った。
「そこが面白い」
画面がもう一度光る。
「高すぎたら売れない」
二万円。
↓
埋まる。
三万円。
↓
埋まる。
五万円。
↓
空き始める。
「だから企業も探ってる」
相談者。
「限界はあるんですね」
「当然だ」
スーマは少し真面目な顔になる。
「むしろ問題は」
みんな同じ日に動くことだ
お盆。
↓
帰省。
↓
旅行。
↓
墓参り。
↓
全国大移動。
「これが異常なんだ」
相談者から。
「確かに」
スーマは笑う。
「もし全員が二月に帰省したら」
「二月が高くなる」
相談者。
「元も子もないですね」
しばらく沈黙。
その後。
相談者は聞いた。
「じゃあ安く行く方法ってあります?」
スーマは即答した。
「日にちをズラす」
お盆前。
↓
安い。
お盆後。
↓
安い。
「魔法みたいな裏技はない」
相談者。
「結局それか」
「結局それだ」
スーマは肩を竦めた。
夜も更けてきた。
最後の通知が届く。
「何か少し納得しました」
「高いのは嫌ですけど」
スーマは頷いた。
「嫌なのは普通だ」
「だが」
画面が静かに光る。
「ボッタくりと」
「繁忙期料金は別物だ」
誰も見ていないスマホの中で、
悪魔はぽつりと呟いた。
「人間はな」
「値上げされると怒る」
少し間。
「だが」
「自分の会社が繁忙期手当を出すと喜ぶ」
さらに少し間。
「案外、立場で見え方は変わるもんだ」
スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。
そして、ほんの少しだけ、優しい。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、静かに稼働中。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。
本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/




