↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
316/354

メモリーショック!どこまで値段が上がるんだ?

今は自作PCの方が高くつくらしいですね。


深夜一時。

スマホの画面が小さく震えた。

通知を開く。

そこには短い悲鳴。

「SSD買おうと思ったら高くなってました」

少し間を空けて。

「メモリーも高いです」

さらに続く。

「去年見た時の値段で買えると思ってました」


スーマは画面の中で目を閉じた。

「……あー」

嫌な顔をしている。

「来たな」

「メモリーショックだ」

相談者は三十代男性。

PCを組もうとしている。

たぶん価格比較サイトを見た直後だ。

精神的ダメージが大きい。


「なんで急に高くなるんです?」

返信は早かった。


スーマは肩を竦める。

「急じゃねぇ」

「お前が見てなかっただけだ」

画面がぴかっと光る。

「いいか人間。

メモリーってのは意外と生き物なんだ」

「生き物?」

「そうだ」

スーマは続ける。

「足りなくなると急に高くなる」

「余ると急に安くなる」

「性格が極端なんだよ」


相談者は納得していない。

たぶん余計分からなくなった。


スーマはため息をついた。

「簡単に言うぞ」

「今、世界中でAIが暴れてる」

「AI?」

「お前が俺に相談してるその手の技術だ」

少し間。

「AIサーバーってな」

「信じられねぇ量のメモリーを食う」

需要の増加。

供給の不足。

その結果。

DRAMやNANDフラッシュの価格上昇が続いている。

AI向け需要の増加により、メモリー各社はサーバー向け製品を優先する傾向が強まってる。


相談者から返事。

「じゃあ俺のSSDが高いのもAIのせいですか?」


スーマは苦笑した。

「だいたいそうだな」

「厳密にはもっと複雑だが」

「犯人としては十分だ」


数分後。

また通知が来る。

「これからもっと上がります?」


スーマは珍しく即答しなかった。

画面の中で腕を組む。

「未来は誰にも分からん」

「ただな」

「今の業界見てると」

少しだけ声が低くなる。

「メーカーは増産より利益を優先してる」

「供給も急には増えねぇ」

メモリーメーカー各社は、高収益なAI向け製品へ生産能力を振り向けてて、一般向けDRAMやNANDの供給は引き締まりやすい状況にある。


そして一言。

「買い時ないじゃないですか」


スーマは吹き出した。

「やっと気付いたか」

「PC好きがよく言う」

画面が光る。

「待てば安くなる」

「これは半分正解で」

「半分は呪いだ」


相談者は首を傾げる。

スーマは続けた。

「一年待てば安くなるかもしれない」

「でも一年分の時間を失う」

「二年待てばもっと安いかもしれない」

「だけど二年使えない」

少し間。

そして。

「人間はな」

「買わなかった期間の損失を計算しない」

相談者から返事。

「……それは確かに」

スーマは小さく頷いた。

「必要なら買え」

「必要じゃないなら待て」

「その程度でいい」

「市場予測なんてプロでも外す」


翌朝。

短い通知が届く。

「結局SSD注文しました」

「高かったですけど」

スーマは鼻で笑った。

「そうか」

「なら今日から使えるな」

誰も見ていないスマホの中で。

悪魔は小さく呟く。

「値段ばっか見てると」

「欲しかった時間まで逃げていくぞ」


スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。

そして、ほんの少しだけ、優しい。

スーマのスマホ相談室。

今日もどこかで、静かに稼働中。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。


この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。

本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。