生まれ育った場所に帰りたい。これって帰巣本能?
時々、田舎に無性に帰りたくなる時有りますよね!
夜。
理由は分からないけど、なぜか昔の街や匂いを思い出す。
そんな相談が届いた。
「生まれ育った場所に帰りたい気持ちが強くなってます。
これって、動物でいう“帰巣本能”なんでしょうか?」
スーマは、画面の中で静かに頷いた。
「……近い。だがそのままではない」
「結論から言うぞ」
画面が、ぴかっと光る。
「人間にも、“元の場所に戻りたがる衝動”はある」
「ただし、それは生物学的な本能というより、記憶と安心感が引き起こす反応だ」
スーマはまず切り分ける。
「動物の帰巣本能は」
生存に直結
磁場や匂いなど物理情報
“戻らないと死ぬ”レベル
「サケやハトは、生きるために帰る」
「一方、人間は違う。」
「人間の場合、生きるためではなく、“心を落ち着かせるため”に戻りたくなる」
正体①「安全だった記憶」に帰ろうとする
スーマは指を一本立てる。
「人はな、強いストレスを感じると、“最後に安全だった場所”を思い出す」
実家
昔の部屋
通学路
知ってる店
「そこは、判断をしなくてよかった場所、評価されなかった場所」
「だから心が疲れた時に、無意識で“戻りたい”が出てくる」
正体②「自分が説明不要だった場所」
スーマは続ける。
「生まれ育った場所では」
どういう人か説明しなくていい
失敗が前提で許されてた
居ても理由を問われない
「つまり“存在してるだけで安心だった場所”」
「大人になるほど」
役割
成果
肩書
「これを背負わされる」
「だから脳は肩書を脱げた場所へ戻ろうとする」
正体③「過去そのものじゃなく、“感情”に帰りたい」
スーマは、少し声を落とす。
「重要なのはな、戻りたいのは場所そのものじゃない」
あの時の自分
あの時の関係
あの時の感覚
「だ」
「実際に帰っても」
「同じ景色でも、同じ気持ちにはならないことが多い」
「人は地理ではなく、記憶に帰りたがる」
「それって“弱さ”なの?」
スーマは、即答する。
「違う」
画面が、ぴかっと光る。
「これはな、心が限界になる前の安全装置だ」
「本当に危ない人は」
帰りたいとも思えない
思い出す余裕がない
「“帰りたい”が出てる時点でまだ、立て直す力が残ってる」
「じゃあ、どう扱えばいい?」
スーマは、実用的に言う。
「全部を捨てて帰れ、とは言わない」
「でも」
行ってみる
写真を見る
匂いを思い出す
当時の物を触る
「小さく“戻る”のはアリだ」
「それは逃げじゃない、メンテナンスだ」
スーマは、静かに締める。
「生まれ育った場所に帰りたいのは」
「帰巣本能“そのもの”ではない
「だが、心の座標を再確認しようとする行為だ」
「人間は迷った時に、“原点”を探す生き物だ」
「それを恥じる必要はない」
最後に、ぽつり。
「戻る場所を覚えてる人間はな」
「前に進める人間だ」
「完全に迷子になった奴は」
「帰りたいとも思えなくなる」
「“帰りたい”は、ちゃんと生きてる証拠だ」
スマホの中の悪魔は、今日も現実的だ。
本能を笑わない。
意味を当てに行く。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、
「帰りたい理由」が「今の自分を守るため」だと
静かに言語化されている。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。




