虎の威を借る狐って、引退後の元会社員の話じゃない?
こう言うオジサンけっこう見かけますね。
夜。
ことわざを現代に当てはめたら、ちょっと笑えなくなった相談が届いた。
「“虎の威を借る狐”って、会社で必死に出世して、現役引退した後も
肩書や人脈を振り回す元会社員の事に見えてきたんですが……あれ、合ってます?」
スーマは、画面の中で一瞬黙ったあと、言った。
「……合ってる。かなり刺さる解釈だ」
画面が、ぴかっと光る。
「虎の威を借る狐は、“今も自分に力があると思い込んでいる人”の話だ」
「それが、会社という虎を失った後でも、威光だけを振り回す人」
「そう見えるのは、当然だ」
スーマは淡々と整理する。
「“虎の威を借る狐”は」
狐自身には力がない
虎の後ろを歩くことで
周囲を脅している
「重要なのは」
“虎がいなくなると、ただの狐”
「という点だ」
「これを会社員人生に当てはめると」
スーマは指を一本立てる。
虎 →会社名・役職・権限・組織
狐 →その肩書を借りて発言してきた本人
「現役時代はな」
○○部長
○○会社の人
本社の判断
「これ全部」
虎の威
「個人の力と勘違いしやすいが、本体は組織だ」
スーマは少し声を落とす。
「問題はここからだ」
「会社を辞めた瞬間」
権限は消える
決裁力は無くなる
名前の通用範囲は激減する
「だが、本人の自覚だけが追いつかない」
「すると」
昔の役職で話す
組織の名前で圧をかける
“俺の時代は”を語り出す
「これが、現代版・虎の威を借る狐」
「なぜ本人は気づかないの?」
スーマは、はっきり言う。
「理由は責められるほど単純じゃねぇ」
長年そう扱われてきた
人から敬意を払われてきた
“個人と肩書”が
分離できなくなった
「つまり」
自己同一化の失敗
「自分=役職、になってしまった」
スーマは少しトーンを落とす。
「ここ、重要だ」
「多くの場合」
「偉ぶりたいわけでも、威張りたいわけでもない」
「ただ」
“自分の価値が
急に消えた感覚”に
耐えられない
「だから過去にしがみつく」
スーマは、ぽつりと言う。
「このことわざが怖いのはな」
誰でも狐になり得る
という点だ
「だから教訓はこれだ」
肩書があるうちに→ 肩書以外で信頼を作れ
会社の力で通じた事を→ 自分の力だと勘違いするな
「虎がいなくなっても立っていられる狐になれ」
スーマは、短く切る。
「“虎の威を借る狐”を現代に置き換えるなら」
“肩書を自分の実力だと
思い込んだままの人”
「現役時代は見えない」
「引退してから、一気に露呈する」
最後に、静かに一言。
「一番格好いいのはな」
「虎と別れたあと、静かに狐に戻れる人だ」
「威を借りない狐は、もう化ける必要がない」
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、古いことわざが
現代の鏡として静かに役目を思い出している。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。




