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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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223/241

虎の威を借る狐って、引退後の元会社員の話じゃない?

こう言うオジサンけっこう見かけますね。


夜。

ことわざを現代に当てはめたら、ちょっと笑えなくなった相談が届いた。

「“虎の威を借る狐”って、会社で必死に出世して、現役引退した後も

肩書や人脈を振り回す元会社員の事に見えてきたんですが……あれ、合ってます?」


スーマは、画面の中で一瞬黙ったあと、言った。

「……合ってる。かなり刺さる解釈だ」


画面が、ぴかっと光る。

「虎の威を借る狐は、“今も自分に力があると思い込んでいる人”の話だ」

「それが、会社という虎を失った後でも、威光だけを振り回す人」

「そう見えるのは、当然だ」


スーマは淡々と整理する。

「“虎の威を借る狐”は」


狐自身には力がない

虎の後ろを歩くことで

周囲を脅している


「重要なのは」


“虎がいなくなると、ただの狐”


「という点だ」


「これを会社員人生に当てはめると」

スーマは指を一本立てる。


虎 →会社名・役職・権限・組織

狐 →その肩書を借りて発言してきた本人


「現役時代はな」


○○部長

○○会社の人

本社の判断


「これ全部」


虎の威


「個人の力と勘違いしやすいが、本体は組織だ」


スーマは少し声を落とす。

「問題はここからだ」

「会社を辞めた瞬間」


権限は消える

決裁力は無くなる

名前の通用範囲は激減する


「だが、本人の自覚だけが追いつかない」

「すると」


昔の役職で話す

組織の名前で圧をかける

“俺の時代は”を語り出す


「これが、現代版・虎の威を借る狐」


「なぜ本人は気づかないの?」


スーマは、はっきり言う。

「理由は責められるほど単純じゃねぇ」


長年そう扱われてきた

人から敬意を払われてきた

“個人と肩書”が

分離できなくなった


「つまり」


自己同一化の失敗

「自分=役職、になってしまった」


スーマは少しトーンを落とす。

「ここ、重要だ」

「多くの場合」

「偉ぶりたいわけでも、威張りたいわけでもない」

「ただ」


“自分の価値が

急に消えた感覚”に

耐えられない


「だから過去にしがみつく」


スーマは、ぽつりと言う。

「このことわざが怖いのはな」


誰でも狐になり得る

という点だ


「だから教訓はこれだ」


肩書があるうちに→ 肩書以外で信頼を作れ

会社の力で通じた事を→ 自分の力だと勘違いするな


「虎がいなくなっても立っていられる狐になれ」


スーマは、短く切る。

「“虎の威を借る狐”を現代に置き換えるなら」


“肩書を自分の実力だと

思い込んだままの人”


「現役時代は見えない」

「引退してから、一気に露呈する」


最後に、静かに一言。

「一番格好いいのはな」

「虎と別れたあと、静かに狐に戻れる人だ」

「威を借りない狐は、もう化ける必要がない」


スーマのスマホ相談室。

今日もどこかで、古いことわざが

現代の鏡として静かに役目を思い出している。

今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。

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