本能 -闇の行方-②
報せを聞いたスラヴォフィルも衝撃を受けたようだが落胆する様子は見せなかったらしい。
「あいつの事じゃ。死んではおらんと思うが捜索は必要じゃな。ショウ、ザラール。全てを使って探し出せ。」
というのもアルヴィーヌと同じで共に過ごした時間が長いからだろう。訃報らしきものを聞いても決して死んだと考えなかったスラヴォフィルが速やかに命令すると彼らも安心ようだ。
あとは何処を探すべきかという大きな問題が残っているのだが・・・
「う~ん・・・あいつが力を失ったままならどこにでも監禁出来そうよね・・・」
ハルカも『暗闇夜天』を使って各地を探すよう動いてはいるものの世界は広い。なので場所を絞り込もうとしているようだがあまりにも手がかりが無い為、結局は人海戦術的な動きになっているらしい。
「そんな事はないんじゃないか?力を失った意味はよくわかんないけど立派な御体をしているし、力尽くっていうのは難しいと思うぞ?」
今はどんな意見も必要なのだ。リリーも自身の意見を遠慮なく述べるとクンシェオルトも自然と首を縦に振る。
「・・・そもそもヴァッツ様の御力というのは一体どのようなものなのでしょうね・・・」
そこに決して答えを求めていた訳ではないのだろう。時雨が難しい顔で呟くと周囲も目を丸くしながら顔を見合わせた。
「・・・大地を持ち上げたり大岩を投げて『ボラムス』の国境線を作ったりしてたよな。」
「他にも『ヤミヲ』を従えているわ。あれのせいで地面が無くなったり影のある場所から突然出てきたりしてたし。」
「最近ですと体を重ねる事無く私のお腹に生命を誕生されていました。あれも御力の一端だと考えると決して破壊的なものだけでなく生命を生み出す力も・・・」
「・・・え?!あなた、そうやって赤ちゃんを授かったの?!」
「いえ、それでは私が納得出来なかったので取り下げて貰いました。」
本当に何でも実現出来るらしい。時雨の方は既に感情の整理が付いているのでさらりと受け答えしているが、初めて聞く事実にハルカもリリーも開いた口が塞がらないといった様子だ。
彼の子供を産むという話がとても大切なのはわかる。だがそれを聞いて固まってしまった2人を他所に、クンシェオルトは最後の場面と彼の力の本質から1つだけ推測を立てられた。
「・・・最後は光に飲み込まれるようにお姿が消えた。と、考えると闇の届かない場所におられるのではないか?」
ア=レイから受けていた攻撃も全て光にまつわるものばかりだ。であれば彼の本質とも呼べる闇と対極に位置する場所なら拉致、監禁も可能性ではないだろうか。
「・・・なるほど!じゃあ出来る限り明るい場所を重点的に探してもらうわ!!」
ハルカもこの意見には大きく納得したのか、先程の衝撃を忘れて喜んでいるが光などあらゆる場所にある。
しかも『闇を統べる者』の力のようにその中で閉じ込められているとなるとこちらから認識するのはもちろん、助け出す事など不可能に近い筈だ。
それでも健在なら何かしらの反応、もしくは合図くらい送ってくれるかもしれない。
初めて彼の力について真剣に考えた4人はそういった希望も含めて頷き合うと早速『暗闇夜天』は日中を中心に各地で捜索をし直すのだった。
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