本能 -黒百合の花-④
時々だが彼と一緒に寝る事はある。ヴァッツの部屋に用意された大きな寝具でアルヴィーヌやリリー、ハルカも交えて5人で眠るのだ。
だから今回は時雨の部屋で、更に彼の方から潜り込んできた事実にまずは驚愕するしかなかった。
目的は何だろう?と考えた時、やっと気恥ずかしさと嬉しさが込み上げてくるも、その事実はない。
であれば予行演習だろうか?最近の彼はプレオスから様々な事を学んでいる為、時折突拍子もない行動で周囲を驚かせている。
「あの・・・・・ヴァッツ様、いつから私の部屋におられたのですか?」
なので一つ一つ解決していこう。
全く覚えていない時雨はまずそこを確認する為に申し訳ないと感じつつも遠慮気味に尋ねると、彼は眩しい笑顔で答えてくれる。
「昨日の夜中?になるのかな。零時くらいだったと思うよ。あ、ごめんね?!何も言わずに潜り込んじゃって。」
「いいえ!とんでもない!!私の方こそ全く気が付かずに申し訳ございません!!」
何という勿体ない事をしてしまったのだ。もし目が覚めていれば互いの目的を果たせたかもしれないというのに。いや、そもそもヴァッツがそういった理由でやってきたのかどうかはまだわからない。
落ち着け。落ち着け私。
「えっと・・・ヴァッツ様は私のぬくもりを感じる為にお部屋に来られた・・・のでしょうか?」
「うううん。時雨にオレの子供をお願いしようかと思って。」
・・・・・
「・・・・・え?そ、そそ、それは・・・え?!」
彼は間違いなく『子供をお願い』と言っている。という事は淡い期待が成就される、いや、されようとしているのか。
夏場なので日は既に上ってきているが関係ない。今からでも是非お願いしたいのだがそうなると昨夜何も起こらなかった件が引っかかった。
もしやまだそこまでの知識を持ち合わせていないのか、行為に走ろうとしたが時雨が気持ちよく眠っていたので遠慮したのか。どちらにしても大いなる好機を逃したのは火を見るより明らかだ。
「・・・ヴァッツ様、それでしたら今からでも・・・私の方はいつでも大丈夫ですので。」
ここまでくると淑女云々など言っていられない。多少強引だと思われてもいい。せめて体を触れ合うくらいにまでは持っていかないと絶対後悔する。
そんな思いから必死さを抑えて提案するとヴァッツの方は自身の発言の意味が分かっていないのか、いつものように小首を傾げてから口を開く。
「うん?えっと・・・何が大丈夫なの?」
「え?!えぇっと・・・その・・・子供を作る共同作業と申しますか・・・はい・・・・・」
「え?でももう時雨の中にオレの子供を誕生させたよ?あれ?共同で何かしなきゃいけないんだっけ?」
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