天神 -備えあれば患いなし-⑦
カズキは3人を『ネ=ウィン』に送り届けた後、用事があると告げてそのまま『トリスト』へ向かった。
というのも『神族』と戦って残念な確信を得てしまったからだ。恐らく『剣撃士団』では勝てない。いや、勝てたとしても多大な犠牲を払う事になる。
であれば自分一人で戦う方がいいのか。もしくは自分が認める程強い人物と協力すれば犠牲を最小限に抑えられるかもしれない。
とにかく今の状況に危機感を覚えたカズキは速やかに対処すべく、中庭に降り立ったオンプの背中からクレイスの部屋に続く露台へ飛び移る。
「クレイス、いるか?」
夜も更けている中、いきなり窓の外から来訪されるとは思わなかったのだろう。いや、物語だと姫の部屋に男が忍び込む可能性はあるのか。
「カズキ?どうしたの?しばらくは『ネ=ウィン』で力を蓄えるんじゃ・・・」
「そう思ってたんだが状況が変わってな。ショウとヴァッツも呼んでくる。ちょっと待っててくれ。」
未だにヴァッツとは仲直りをしていない為、その名前を聞いて僅かに気まずそうな表情を浮かべていたがそうも言っていられない。クレイスの了承などお構いなしに2人を呼んでくるとカズキ達は円卓を囲んで座る。
「それで、私達にも詳しく説明して頂けますか?」
「ああ。『神族』だがあれを相手にするのは相当厳しい。強さの幅もあるみたいだが上位の者が現れた場合、俺とクレイスが組んで戦っても勝てるかどうか怪しいぞ。」
四六時中戦いの事を考えている男の意見だ。突然の話ながらも深刻さは十分伝わったらしい。クレイスもヴァッツとの険悪な雰囲気を忘れて驚いているが話はここからなのだ。
「で、ヴァッツ。お前は力が弱くなっているって話だがどうなんだ?実際『神族』からもう一回力を奪えないのか?もしくは襲撃された時、お前の力をあてにしていいのか?」
これも誰かに頼る前に矢面に立ち、誰よりも率先して剣を振るうカズキからの提案だったからこそ3人は驚いている。
「・・・『神族』達は襲ってきたりしないと思うけど・・・」
「何言ってんだ。『ダブラム』にイラとかいう奴がやってきたのは知ってるだろ?ワーディライ様によって無力化されてるらしいが『トリスト』もしっかり備えておく必要はある筈だ。違うか?」
国防として考えるとヴァッツでさえも反論する余地はない。まだ少し気落ちしているのか、力を失って元気がないのも関係しているのか、黙って浅く俯く姿に不安を覚えるがそこはショウが取り持ってくれる。
「何もしないという選択はありえません。しかしカズキがクレイスとの共闘を望む程ですと、他の方々が対処するのは本当に難しそうですね。」
そうなのだ。そこが最も頭を悩ませる点なのだ。
『神族』との戦いにおいては自身の命を天秤にかけている為若干甘く捉えている部分もある。となると西ではワーディライが、東では叔父であるテキセイなら辛うじて戦いになるだろうか?といった状況なのだ。
「・・・フロウは?彼なら『神族』に対抗出来るんでしょ?」
確かに彼は同時に現れた3人の『神族』を蹴散らしている話も聞いている。ただ今までの話の流れからクレイスとはまた違った苛立ちを覚えたカズキは、まず静かに深く全ての息を吐き出す。
そうして肺の中へ新鮮な空気を送り込むとその理由、違和感に言及し始める
「・・・ヴァッツ。俺はお前が大将軍としてしっかり戦ってくれるのかどうか。皆を護ってくれるのかどうかを聞いてるんだ?どうなんだ?」
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