天神 -備えあれば患いなし-⑥
「これが『神族』の力なのですね。非常に勉強になりました。」
魔術とも違う力と立ち回りに本心から感服し、敬うに十分値すると判断したカズキは深々と頭を下げると、イェ=イレィの方は何やら考え込んでいる。
「・・・・・リセイだわ。貴方、確かリセイの甥よね?」
「あ、はい。そうです。」
「やっぱりね!どこかで見たような動きだと思ったのよ!」
どうやら知らず知らずのうちに彼と似たような動きをしていたらしい。彼女も自分の眼と記憶に間違いはなかったと喜んでいるが、こちらも猛者である叔父に似ていると言われると思わず笑みが零れる。
そんな和やかな雰囲気の中、来賓室に戻って先程の模擬戦について話が始まるとカズキはまず一番気になっていた話題を上げた。
「ところでイェ=イレィ様は戦いの途中、妙な体の重さを感じられませんでしたか?」
「なるほど、あれは貴方達の仕業だった訳ね。でも重さっていう程のものではなかったわよ?」
やはりそうか。あれ程の力を持っているのだから効果は期待出来ないと感じたが、この様子だと実戦での投入は難しいだろう。であれば今後ルマーの立ち回りも考え直す必要がある。
そう思うと顔に表れてしまったのか、それを伝える前にルマーが口を開いた。
「すみません。イェ=イレィ様、もう一度この場で『魔法』を掛けさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「あら?いいけど・・・何かあるのね?」
何だろう?カズキもその真意がわからないので黙って見守っていると彼女はイェ=イレィが座る後ろに立って至近距離で『魔法』を放ったではないか。
「あらっ?!な、なるほど・・・本当ならここまで重く感じるのね?!」
すると先程と違い、明らかに強い効果を感じているらしい。引きつった表情で驚いていたがこれにはカズキが納得行かない。
「おいルマー。模擬戦でも本気でやれって言ってただろ?何で今それをやるんだ?」
「・・・あのね。私に限らず『魔法』っていうのはある程度効果範囲が決まってるのよ。」
つまりカズキの後ろに立って発動させると敵との距離が開いてしまう為、どうしても効果が弱まってしまうというのだ。
仲間を補助するにしても『魔法』を掛けて自分だけが離れるという訳にはいかないのもそういった理由かららしい。
「面白いな。効果を最大限に引き出すには最も接近せねばならぬのか。しかし私が見る限り、ルマーとやらはそれ程体術には優れておらん。諸刃というには限定的な力だ。」
フロウの意見には大きく頷かざるを得ない。何故ならその間合いはカズキですら確実に相手を仕留める時以外には作らない距離だからだ。
「・・・どのみち実践では難しいな。ルマー、もし『神族』と戦う時は仲間の補助に徹してくれ。」
「・・・は~い。」
一撃で相手を屠れるならまだしも、たかが相手の動きを鈍くさせる為だけに危険を冒させる訳にはいかない。
カズキは今後の部隊運用に修正を入れると検証に付き合ってくれたイェ=イレィに再び深く頭を下げる。
それからは来賓として丁重なもてなしを受けたのだが長居をするつもりは無かったので、4人は日が落ちる前に『モ=カ=ダス』を後にするのだった。
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