表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇を統べる者  作者: 吉岡 我龍
天神
406/442

天神 -残される人々-④

 行動を起こすというのは人によって、特に箱入り娘だったメイにはとても難しいのだ。

ハルカとの楽しいお茶会の後も思考がまとまらず、訓練場で再びドラーヘムの稽古相手という日常に戻るとこの日は意外な光景が飛び込んできた。

「ドラーヘム、ちょっと休憩!」

「え?!いきなりどうした・・・あっ?!」

立ち合い稽古の加減を覚えた2人はあまり迷惑にならないよう隅の方で戦っていたのが功を奏したらしい。入口から赤い衣装と白く立派な髭を蓄えた筋骨隆々の老人が入ってくると一部を除いて全員がそちらに反応する。


「クレーイスッ!!降りてこいっ!!!」


久しぶりに聞く国王の声は地上にも届いたかもしれない。それくらい大きな怒鳴り声はがむしゃらに訓練していたクレイスもすぐ気が付いて速やかに目の前に降り立った。

一体何事だろう?誰もがそう思って見護っていると何の前触れもなくスラヴォフィルの拳骨が彼の頭に振り下ろされたので辺りは耳が痛い程の静寂に包まれる。

「貴様、こんな所で何をしておる?」

「・・・・・」

「次期国王であり、イルフォシアの夫となる貴様がこんな所で何をしておると聞いておるのじゃ。答えてみよ。」

あとから聞いた話だと彼が公衆の面前でこれ程の怒りを見せるのはとても珍しいらしい。しかも相手がクレイスとなればその雄姿を見に来ていた異性達も気が気ではないだろう。

「・・・僕に出来る事はこれくらいしかありませんので・・・」


「馬鹿な事をぬかすな。貴様が今一番やらなければならないのはイルフォシアの傍から離れぬ事じゃ。例え相手にされなくともな。」


今の一言だけでもイルフォシアの状況はある程度読み取れた。つまり彼女はセイラムという偉大な父を失った事で悲しみのどん底でうずくまっているらしい。

だから最愛の人が傍にいても反応出来ないのだろう。そしてクレイスもその姿を見ていられなくて、自分が何も出来ないのだと勘違いして無茶な訓練を繰り返していたようだ。

自分も傍に支えてくれる人がいれば、あの時の暴走を抑えられたかもしれない。

ふと己と重ね合わせてしまったメイは軽く首を振って2人の様子に目を戻すとクレイスは目を閉じてうつ向いている。

「明日には葬儀も執り行われる。いいか?四六時中ずっと傍に付いてやるんじゃぞ?これは義父として、国王として、そして人生の先達者としての命令じゃ。」

この辺りは流石『孤高』と呼ばれる人物だ。

恐らく2人とも相当な悲しみや苦しみに心が疲弊しているのは間違いない。つまりそれを寄り添わせる事によって互いに癒し合えるよう配慮しているのだ。

「・・・・・はい。」

それに気づいたかどうかはわからないがクレイスも小さく返事を返すとスラヴォフィルも彼の肩に優しく手を乗せる。


「・・・私にもいつかああいう人が現れるのかな?」


「うん?メイもクレイス様に惚れてるの?」

羨ましさからつい本音が零れると何もわかっていないドラーヘムが見当違いの質問をしてきたので思わず笑ってしまう。

「そんな訳ないでしょ?私が言いたいのは・・・まぁいいわ。」

未だに様々な分野で未熟な彼に説明するのも面倒だ。それにすぐ傍で同じように彼らの様子を見護っていたルサナ達に聞こえて変な誤解をされるのも、これまた面倒になりかねない。

なので早々に話題を切り上げたメイは彼らが訓練場から去るのを見届けた後、胡麻化すように再び彼を立ち合い稽古に誘うのだった。

いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ