天神 -手の平で踊れ-①
ア=レイがどれ程の強さを持つのかはわからなかった。ただ自身はおろか、ザジウスでさえ足元にも及ばないだろうというのはヴァッツとのやり取りで十二分に理解出来る。
だから『天族』の殲滅が終わった後も再び跪く事を選んだのだ。彼ならきっと『神族』達を束ねられると信じて。
「・・・何やってんの?」
ところが同族から声を掛けられた事で面を上げると彼やヴァッツの姿は何処にもなく、周囲には炎で焼き尽くされた『天界』だけが残っていた。
「・・・イラか。確かここにア=レイがいた筈だが、お前見かけなかったか?」
「見かけるも何も、あたし達が『神界』から見てた限りじゃあんたしか暴れてなかったよ?」
そんな馬鹿な、と言いたかったがイラとやり取りしても話は食い違うばかりだ。しかしソ=ノ=フォウドの記憶に刻み込まれたア=レイの姿に偽りはないと確信が持てる。
「・・・・・約束は果たしたのだ。また必ず会えるだろう。」
ならば信じ続けようではないか。少なくとも『神族』の力は彼のお陰で取り戻せたのだから。
「変なソ=ノ=フォウドだね。それより次はあいつんとこ行こうよ!!」
「あいつ・・・そういえば『モ=カ=ダス』の女王をしてるんだったな。」
イラは誰よりも先に力を取り戻していた同族について思う所があるらしい。海水で出来た体を嬉しそうにくねらせているとどすんという音を立てて体の大きな同族も姿を見せた。
「我らを裏切ってヴァッツに取り入り、一人だけ力を取り戻した女狐か。よかろう。わしも粛正に参加する。」
「いやいいよ?!呼んでないし?!てか今『神界』はザジウスの勢力と衝突真っただ中でしょ?!そっちを手伝ってあげなよ!」
これにはソ=ノ=フォウドも同意見だ。戦神と呼ばれるヘル=ラーは戦う事に至上の価値を見出している『神族』で本来なら誇り高き場面にしか姿を現さない。
更に彼女は自らの手で下したいのだろう。つまり強すぎる彼と一緒に出向けばその過程が楽しめなくなると考えているのだ。
「あのような腰抜けと戦うつもりはない。それにイェ=イレィに近づけばわしもア=レイやヴァッツに会えるかもしれない。一体どれほどの猛者なのか、とても気になる。」
なるほど。戦神らしい意見に2人は顔を見合わせる。
「まぁ興味がそっちに向いているのなら共に行動してもいいんじゃない?」
「・・・仕方ないなぁ。でもイェ=イレィは絶対私が殺すんだから邪魔だけはしないでよね?」
『神族』が今まで別世界に干渉してきたのは絶対的な立場と他を全て所有物と認識していたからだ。でないと弱い人間達はすぐに無駄な争いや火種を作ってしまう。世界の調和を考えた時、やはり人を軽く超越した神という存在は必要不可欠なのだ。
そう考えると理の外にいるア=レイやヴァッツとは何者なのだろう。
「ならさっさと向かおう。こんな場所に長居してても仕方がないからね。」
どうにも嫌な予感が頭から離れないがいつかはわかることだ。無理矢理切り替えたソ=ノ=フォウドは軽く提案するとまだ何も知らない2人も頷いて返すのだった。
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