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勇者派遣所  作者: MIYABI
第0章 召喚
1/2

ぷろろーぐ ろりとどえすとだめおとこ

 ふと気が付くと全く知らない場所にいた。


 「知らない天井だ」


 とりあえずお約束を挟んでみる。

 鉄板だね。

 続いて現状の把握に努めてみる。が、ここでおかしなことに気が付いた。


 自分の事が思い出せない。


 自分の名前は?


 自分の生れは?


 自分の年は?


 不思議なことに一切の事が記憶からすっぽりと抜けている。不可解だ。

 だけどさっきのような「ネタ」は事欠かない。いわゆる部分的な記憶喪失というやつだろう。

 まあ、自分の事をピンポイントで忘れているって、なんか意図的臭いが。

 ただ、わからない、という事は意外に心を乱すことはなかった。

 なぜか?

 全く分からないから心配のしようがないのだ。

 これが中途半端に自分の事を覚えていたりすると、すわっ誘拐か?なんとっ神隠しか?なんていってみたくなるが、全く分からないので心配するだけ損というやつだろう。・・・・・だよね?

 まあ、何にしろそろそろ誰かこの状況の説明なんてしてくれないだろうか?

 見渡す限り真っ白で、どこまで行っても地面と空しか見当たらない。いや、この真っ白なものを空といってもいいのだろうか。


 はっここは精神と〇の部屋?



 「それ以上はダメなのじゃ」


 

 色々と哲学的な(自称)考察を行っていると(あくまで自称)、突然背後からかわいらしい声が聞こえてくる。いわゆるろり全開ボイスってやつだろうか?

 

 「なちゅらるに失礼なことを考えてはだめなのじゃっ」


 それは聞いたこともないくらい(記憶がないから当たり前といえば当たり前という突込みも可)澄んでいて。なんというか、表現しようもないくらい気持ちのいい声だった。・・・・表現しようもないのは記憶がないだけで、決して語彙が乏しいわけではない。・・・ちがうよ?

 あ、やばい。ちょっと声を聴いてるだけでぞくぞくしてくるっ!!振り向いて姿を確認してみたいっ!!



 だけどちょっと待て、俺。



 今まで一体どれだけ騙されてきたっっ!?(記憶がありません)

 衝動(よくぼう)理性(よくぼう)が心の中で衝突する。

 それは、記憶にはないが魂に刻まれた魂の叫び。



 声を聴いて期待したら、実物を見てがっかりしました。



 歴史上、一体どれほどの人間が絶望の淵に叩き込まれたのだろうか?

 声

 それは「人」を形作るパーツの一つ。

 声

 それは耳に響き渡る美しき旋律。

 声

 それは時に理想(イメージ)現実(じつぶつ)の狭間で、人を絶望を与える悪魔のささやき。


 ああ、いっそのことこのまま姿かたちは一生確認せずに声だけを聴いて想像していよう。

 いや、それだけでは完全ではないだろうか?もしかすると、ふとしたはずみに醜悪かもしれない姿が目に入ろうものならば、あまりのギャップに絶望して破滅の言葉を唱えてしまうかもしれない。バ〇スッ。

 それならばいっそのことこの両目をつぶしていつまでも夢の中でなどろみ続けるのも一興か?



 「へんたいじゃ~~~~っ!!」


 響き渡るロりボイス。


 「ええ~~~ぃ、ひとことふたこと声をかけただけで、なぜそこまで暴走できるんじゃ?」


 解 よくぼうにちゅうじつだからです


 「あほか~~~~っ」



 つっこみに疲れなのだろうか?

 背後で(推定)幼女がはぁはぁしている。

 なにこれ?やばい。ちょっとこうふ・・・・


 メキョッ


 そう考えた瞬間に今度は真横からあり得ない衝撃を感じた。それはまるで、第三者が突然現れて俺の頭に蹴りをめり込ませているかのようで。


 「いい加減にしなさい、この汚物」


 さらに聞こえてくるのは、これまた何とも美しい旋律。

 先ほど聞こえてきた声を「癒し」とするならば、今度の声を表現するとしたらどうだろう?



 威圧?



 メリメリメリ


 側頭部に、まるで足をねじ込むような重圧を感じる。一部の人には大変すばらしいご褒美だ。


 しかし、今度聞こえてきた声も、なんというか今までにないくらいきれいな声をしている。イメージ的にはクールビューティーってところだろうか?いや、日本刀か?美しい外見に秘められたるあり得ない切れ味、まさにそんな感じ?そんな美しい声を醸し出す玉体はさぞ美しかろう。

 いや、ここで過度の期待をしてはいけない。

 ギャップだっ!ギャップに対する耐衝撃耐性を・・・・


 「いい加減にこちらを向きなさい」


 ごきゃっ


 凄まじい勢いで首をねじられる。

 あら、何という事でしょう?

 首と体が180度回転してしまいました。劇的ビフォーアフター。



 意外に死なないもんだね。



 「やけに冷静ですね」


 「気持ち悪いのじゃっ!!}


 目の前には半泣きの幼女が立っていた。白髪、おかっぱ、アルビノでとても整った顔。きっと将来は絶世の美人間違いなし、っと言わんばかりの見目麗しい美幼女が見たこともないくらい華美な装飾で飾り付けられた着物を着て立っていた。重くないのだろうか?けれどもその服装に負けないくらいの、いや、むしろ服装が霞むくらいの美幼女といっても過言ではないだろう。あと10年遅ければ・・・・いやっ、むしろこれでアリだろうか?


 その隣にはこれまた凄まじく美しい少女が立っていた。年のころは15歳くらいだろうか?黒髪で長髪、毛先に近い部分だけを城のリボンで縛っている。瞳の色は金色、ちょっと吊り目でその気のある人にはたまらない感じの冷たい感情が浮かんでいた。そして、やだこれ?なにかねらってるの?巫女さん姿ですよ?どうもこの子が攻撃を仕掛けてきたらしい。自分にはそちらの趣味はないようだったのでご褒美ではなくただの苦痛だったが。残念だ、そちらの趣味も開発しておくべきだっただろうか?(冗談ですよ?)


 突然、目の前に現れた二人の幼女と少女。どちらにも共通することは、どちらも今まで見たこともないくらいに絶世の美少(幼)女で、絶壁のナイチ・・・・・。



 メギョッ



 鈍い音とともに背後に吹き飛ばされる。

 ねじりこまれた拳による衝撃の効果だろうか?あら不思議、180度に回転した首が奇跡的に元通りになったのでした。

 打撲式整体術?


 「いいからそろそろ、その無駄に空回りしている思考を止めなさい」


 「・・・・・・」


 目の前の少女の瞳はすでに今にも切り刻まれるんじゃないかっってくらいに鋭くなってきている。

 そろそろおふざけはやめにしよう。でないと本格的にやばそうだ。

 となりの幼女もこちらを見て若干引いてる感じがするのがやばい。

 はっ!!となりの幼女?ジ〇リ?


 少女の拳が今にも飛んできそうっだったから、とっさに土下座をして回避を試みる

 すんませんでした~~~~~~。


 「・・・・・・・・やっと話を進められますか」


 ?

 何のことかわからないですが初めまして。


 「いいから黙りなさい、このゴミ虫」


 OH!!


 「これっ!!そのいいかたはあまりにひどいのじゃっ!!とつぜんこんななにもない場所によびだされたらふあんにもなってしまってもおかしくなかろう?」


 「おぉっ、なんとお優しい言葉。主のそのお言葉、万金に値しますがこやつには不要かと存じます」


 なんのこっちゃ?


 めきょっ


 ちょっとした疑問の答えはコークスクリューパンチでした。

 きっとこの美少女の辞書にはコミュニケーションという言葉は載っていないと思います。


 ぼこぉっ


 「黙れ、変態ッ!!」


 とりあえず話が進みそうにないので真面目に聞いてみよう。(いまさらだが)

 正座をして、姿勢を正す。心を落ち着けて、いざ・・・・・


 めりりっ


 「貴様っ!!白姫様の御前ぞっ!!!頭が高いっ!!!!」


 どんだけ「!」連発すんやねんっ。

 とりあえずこれ以上殴られたらたまらないので土下座する。美少女に罵られて、殴られて、乏しめられって何かの性癖開発セミナー?


 どごんっ


 「頭が高いっ!!」


 頭が少し地面にめり込んでるのに頭が高いって?


 どごんっ


 「頭が高いっ!!!」


 更にめり込む頭。そのうち、地面なのに犬〇家の一族状態になりそうだ。


 「・・・・・・・・・・・クロ・・・・」


 「おおっ、わが主よっ。こんな虫にも劣る下等な存在に対してもそのようなお慈悲を与えようとはなんと慈悲深いっ!!クロは感動のあまり今すぐにでもこの宇宙のゴミを魂の欠片も残さず滅したくなりましたっ!!!!!!!」


 それって単純に俺を殺したいだけだよね?


 「・・・・・・・・」


 「・・・・・・・くぅっ・・・・・はぁっはぁっ・・・・・・・・・・・・・・・落ち着きなさい、クロっ!愛らしいわが主を抱きしめてなでなでしてクンクンするなどという無礼は・・・・・・いやっ、これは最愛なる主とそのもっとも信頼されるべき私という重臣がやるべき重要なコミュニケーションであって・・・・・・・そぅっ、そうなのだ。重要、これ重要ッ!!今後も円滑に活動を行っていく上での主と私の重要なスキンシップで・・・・・まずは御髪(おぐし)を・・・・いやっまてっっっ!!!あのような下郎の吐いた産廃に匹敵する汚染された空気に触れてしまった我が主の玉体をまずっ・・・・・まずわぁぁぁぁ~~~っ・・・・・はぁっはぁっっっ!!!」


 欲望ダダ漏れだね。


 「おちつくのじゃ、クロ」


 「・・・・・・はっ!!申し訳ありません、我が主っ!!」


 「うむっ、きにするでない」


 いやっ気にしろよっ!!たぶん貞操の危機がせまって・・・・


 めきぃっ


 「きけぃ下郎っ!!白姫様の神意であるっ!!」


 直前の醜態には全く触れずに唐突に説明が始まる。まあ、いいけどね。

 あまりに話が長かったので要約するとこう言う感じだ。


 まず目の前にいる幼女が白姫、少女がクロという名の神様らしい。

 神様?そう疑問に思う人もいるかもしれない。

 彼女らの話によると、実はどの世界にも最低でも1柱の神様が世界を管理しているらしい。いわゆるゲームに近い感じだろうか?世界のあらゆることを管理して、世界そのものが破滅しないようにしているらしい。その過程で人類を滅ぼしたりとか、人類に加護を与えて守ったりとか。

 ただ、最近も神様が少々過剰な状態になってしまったようだ。

 昔は最低でも1柱1世界、いやむしろ神様が足りなくて何世界もの管理を掛け持ちしていたようなのだ。しかし時代の流れとともに神様が増え、世界は滅び、もしくは安定しどんどん神様と世界との数のバランスが取れてきて、最終的には過剰になってしまったと。


 いわゆるニートな神様が出てきたそうだ。(余談だがこう考えた瞬間、クロから頭がロケットのように発射されるんじゃないかっってくらいのアッパーカットが飛んできた)


 「にーとじゃないのじゃよっ!!」

 否定しても現実からは逃れられないと思うが。


 神様によっては「こりゃイカンっ」とばかりに他の神様の管理下にある世界に介入。

 そうするとどうなるか?

 1柱の神様の管理で安定していた世界が複数の神様の管理でより安定。というか安定しすぎてしまってむしろ世界が衰退しはじめたらしい。いわゆる流れない水は腐るって感じだろうか?

 そこである神様は心機一転(神樹一転?)、今度は世界に刺激を与えるために魔王的存在を生み出したそうだ。

 そこからは意外にも順調に事が進んだようだ。ナイス刺激。

 適度に人類に危機が訪れては技術の進歩、もしくは人類の結束を強めたり、行き過ぎて進歩した技術を体よく破壊するために人類を破滅一歩手前まで追い詰めたり。もしくは人類以上に優秀な種族が生まれたり、と世界の管理は順調。


 ここで一つ問題が持ち上がった。というか持ち上げちゃった。


 ここから先はクロがえらく小難しくかつ遠まわしに言うので正確な理由を把握することができなかった。故に自分の想像による補正も入っているが、恐らくそう間違っていないだろう。


 神様の大半は仕事を得た。




 白姫を除いて(様をつけろと何度も攻撃を受けることになる)




 どうも白姫は生まれて間もない(神様の尺度でだが)神様らしく、仕事を割り振ってもらえなかったらしい。

 「もっと大きくなってからね」って感じだ。

 神界の端っこに領土をもらって、大きくなるまで他の神様の仕事ぶりを見て仕事の仕方を覚えましょうねーって感じで放置されているそうだ。

 しばらくは我慢していた白姫だが、とうとう我慢できなくなったそうな。



 私もあそ・・・・・仕事したいっ!!



 その一念で他の神様に上訴したところ、しぶしぶ一つの計画が立ち上がる。





 勇者計画




 実は、世界の運営がうまくいっているとはいえそれは全体的に見た評価なのだ。

 部分部分で見るとどうしても細かい調整が難しいところがあるらしい。この村は残しておきたいなー、この文明は残しておきたいなー。もしくはこの世界の人類そのものはなるべく残しておきたいなーっと思っても思った以上の被害が出たり、もしくは出なかったりという事があるそうだ。

 神様万能説ついえる。

 そういった世界に人材を派遣してさらなる流れによって微調整ができることを期待する。

 それが勇者計画だそうだ。

 言ってしまえば、必要というわけでもないお遊び的要素で別に成功しようが失敗しようがどうでもいい、そんな雰囲気を感じる。


 「我が主の慈悲深き心が、迷える民を照らす癒しの光となるのだっ!!」


 そうのたまうクロ。副音声で「白姫の暇つぶしとなるのだっ!!」としか聞こえないと思っているとフリッカージャブから打ち下ろしのストレートをもらった。どこの死神?


 さて、ここで問題となってくるのが勇者。

 実は、この「勇者」を選ぶにも問題があるのだ。

 単純に、優秀な人材を選ぶとする。成功するか失敗するかわからない計画に優秀な存在を投入。言ってしまえば五分五分だった計画が優秀な存在のおかげで成功率が上がって万々歳・・・・とはいかない。

 そう、失敗する確率もあるからだ。

 ここでいう優秀な存在、というのは本当に希少な存在。失ってしまえば替えが利かないのだ。

 そんなことのために優秀な存在を失うわけにはいかない。

 ならばどうするか。

 失わないように不死性を与える、という案もあったらしい。いわゆる「死んでしまうとは情けない」ってやつだ。

 だけれどもそれにも問題があった。

 以前、お遊びで何度かやったことがあるそうなのだが2つの問題を引き起こしたそうだ。


 1つ、精神が壊れる。

 1つ、冗長してむしろ世界の害になる。


 死んでも死んでも蘇らされて戦い続けさせられる、そんな状態に精神がもたずに壊れてしまった事例が一つ。もともと高い能力を持っていた存在に、さらなる力を与えた結果、その力に酔い暴走させた事例が一つ。



 碌でもない結果しかもたらさなかったそうだ。



 では、何も力を与えずに送り出すか?

 答えはNO。

 失ってしまうリスクを背負うわけにはいかなかったそうだ。

 そうして話し合いの末、どういった人材を選ぶか迷いに迷った結果。


 「ぜんかみさまに聞いてみました『ぜんじげんでもっともダメなぞんざいTOP100~~~~』というわけじゃっ!!」


 うれしそうにのたまう白姫。

 その目の前の俺の目つきはきっと座っていたと思う。


 言ってしまえば簡単な話。

 失って惜しい人材ではなく、失っても惜しくない人材を使えば問題かいけつ~ってわけだ。

 そんな存在に世界の問題を解決させることができるかって?

 そこは加護という名の(ドーピング)で問題解決って寸法らしい。


 成功すれば万々歳、失敗しても痛くもかゆくもない。


 そうして呼ばれたのが俺という事らしい。正直へこむ。神様が選ぶ全次元No.1のダメ人間ってことを喜べるぞんざいがいるなら私のところに来なさい。


 「己の下等さ加減を自覚したのは良い事ですが、残念ながらあなたは2番目です」


 全然喜ばしい情報じゃないよね、それ。


 どうも全次元一のダメな存在は女性だったらしい。いわゆる神の加護を授かり、一つの世界(テストケース)に送られた結果。



 その世界が腐の遺産に汚染されたそうな。



 どんな世界やねん。

 人も魔もすべての存在が汚染され、その世界を管理する神様は頭を抱えているそうな。

 文明的には問題がないというところが更にたちが悪く、その世界を抹消するデメリットと残すメリットが微妙に拮抗してしまい、結果、No.1抹消と放置が決まったそうな。


 そしてよばれたNo.2が俺というわけだ。


 呼ばれた瞬間にあらゆる因果関係が抹消。

 それによって俺自身の記憶も焼失したが、それまで手に入れた知識については残っている、というからくりだ。

 それって誘拐じゃない?


 「貴様のような生きているだけで酸素を消費する無駄生物を再利用してやろうと言っているのだ。感謝するがいいっ!!」


 言葉の刃とともに幻の左を叩き込まれた。

 拒否して帰してもらおうとしたら、今度はペ〇サス流星拳並みに連打を食らった。


 残念ながら拒否権はないようだ。


 「ごめんなさいなのじゃ。おくりかえすすべがないのでやってもらうほかないのじゃ」

 しゅんと、ロリ神がうつむく。くそぅ、その仕草は反則だ。


 俺に求められることは以下の通り。


 ① 世界を救う。人類が正義とは限らない。その世界に入る前に管理責任神(TOP)に支持される

 ② あまりに素行が悪いと判断された場合、抹消される。物理的に。悪いと判断するのはそれぞれの紙がするそうなので明確な線引きはない

 ③ 基本的にその世界で行動できるのは40年ほど。あまりに時間がかかりすぎる場合、なかったことにされる。最初っからなかったことにできないか、と尋ねるとあなたの存在もなかったことになりますといわれる。

 ④ 世界を救ったら強制的にその世界から退場させられる。優秀な結果をのこした場合はボーナスとしてある程度その世界で過ごせる、かもしれない。

 ⑤ 思考錯誤している段階なので、おいおいルールを追加していく予定。あまりにひどい場合は息もできなくなると思っていなさい。(それ殺すって言ってるよね?)


 「理解できる程度の知能はありましたか?」


 確認する部分が根本的に間違ってると思います。

 あいかわらずクロはドS発言全開で説明してきているため、その横で白姫はおろおろしている。自分の部下を抑え込むことができない以上、あまり有能とは言えないかもしれない。(この遠隔的表現を思考した段階で地面から光る龍が飛び出すようなアッパーカットを食らった。)


 とりあえずここは適当にうなずいていよう。どこかの世界を救えばきっと目の前の存在も納得するだろう。どうやらチート能力、というものをもらえるらしいのである意味楽かもしれない。ラノベ展開来たーっこれってやつだ。

 俺は長いものには巻かれるたちなんだ。


 「少々、理解が足りません」


 はっ?


 「救うのは様々な世界、です」


 ・・・・・・・・


 どうやら俺は考え違いをしていたらしい。

 一つの世界を救えば終わり。そう思っていた。

 そもそも自分の年齢はわからないものの、一つの世界で最大40年と神が設定している以上は世界を救う上でそれだけ時間がかかる、そう考えていた。

 例えば10代後半として世界を救うのに最大の40年かかったとすると、引退じゃない?

 普通の会社員でも退職間近って年齢になる。

 よってせいぜい一つの世界を救ったらそれでこの茶番も終わり。


 そう思っていたのが甘かった。


 この場所、白姫の神界に来た時点で因果の枠から解き放たれた、という事だ。まず今までかかわった人たちの記憶から俺自身の記憶が消える事。それに伴い、その世界で紡がれた「俺」と存在そのものが抹消される。

 具体的に言うと、「俺」が誰だか誰もわからなくなる、という事だ。


 「人類の幸いですね」


 どちくしょうっ!!


 次に、「年齢」という枠組みがなくなる事。具体的に言うと「不老」。肉体の時間が今現在に固定されるという事。

 ただ幸いなことに、何かしらの経験は肉体に反映されるという事。筋トレしたら筋肉が付く、そういう理解で問題ないそうだ。

 以上の事から、ここに召喚された「勇者もどき」は使い捨てではなく、再利用可。


 世界を救ったら、他の世界に召喚され、延々と繰り返し繰り返し他の世界に召喚され続けえるとのこと。


 神様の不評を買って抹消されるか、もしくは魂がすり減って壊れるまで。




 ・・・・・・・・・


 あ・ほ・か・~~~~~~~~~~~っ!!!!!!!!!!!


 どごんっ!!!!!


 叫んだとともに、みぞおちにえぐりこむようなガゼルパンチがめり込む。


 「あなたに拒否権はありません。・・・・全く、単細胞生物以下のゴミの分際で失礼極まりない発現の数々。ルール上、本当に仕方ありませんがいやいや神器を授けますがそれとともに罰も授けましょう」


 い・・・らな・・・・・・ぃ

 今にも意識を手放しそうになる。

 がんばれ俺っ!!まだまだ抗議したりない。そしてできるならば・・・・・


 「さあ、行きなさい勇者(笑)よ。全身全霊をかけて、全世界に白姫様の慈悲を届けるのだっ!!」









 働きたくないでござるっ・・・・・・・

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