あとがき(、とエッセンシアリスト)
本作をお読みいただき、ありがとうございます。
ほんの少しでも、お楽しみいただけたならば幸いです。
『白黒昼迄夢現/モノクロデイドリーム』という、奇妙な世界に飛ばされてしまった渡来佳苗の白昼夢のような物語は、これにておしまい。
ハッピーエンドともバッドエンドともとれる、いわばノーマルエンド。カナエ・リバーもヨーゼフ・ミュゼも、帰還という報酬を得るための対価として、その存在そのものを捧げることになりました。
トゥルーエンドがあるとしたら、それはきっとカナエ・リバーとヨーゼフ・ミュゼが『世界に残る』パターンなんでしょうが、彼らにはそれにたどり着けない理由があります。
カナエは『カナエ・リバーとしての生』に価値がいまいち見いだせないまま、108話から延々と、渡来佳苗の周り『地球』の様子を見せつけられ続けるようになったことで、『早く帰りたい』の意識が先に出すぎたし。
ヨーゼフはそもそも、さっさとこの世界におさらばしたかったのですから。
この辺りの正しい決着についてはどこかでの主題、その一つになるとかどうとか。
掲載開始時点から示唆していたもう一つの物語、『黒白夜拠夢現/モノクロナイトメア』は、『鶴来洋輔/ヨーゼフ・ミュゼ』の物語です。そちらは、このあとがきの掲載と同時に執筆を開始していますが、発表方法にちょっと考え込んでいる現状があります。どこで発表しよう……。
あえて断定しておきますが、『黒白/ナイトメア』側は壮大な蛇足編です。よっぽど筆者側と波長が合った/趣味が似ている/この世の深淵を覗きたい、という方でもない限りオススメはしません。
どこで発表するかを決め次第、活動報告をさせていただきますので、よほど気になった! という方はそちらでもよろしくお願いします。
ただし、そこに書かれるであろう設定のすべては、かならず表側、佳苗の物語でも解説がされます。
いろいろと御託は延べましたが、ともあれこのあとがきを書けた事にほっとしています。
今後掲載する別作品においても、お付き合いいただければ、幸いです。
2016年11月28日
朝霞ちさめ
執筆環境...
StoryEditor(v3.31)
詳細設定環境...
Twitterの専用アカウントに殴り書きしたものをテキスト化→MediaWiki形式で整形
蛇足なおまけ。
エッセンシアリスト。
・赤色
エクセリオン……術者の血液と同一の特異マテリアルとして扱える。血液として何にでも輸血しうる。
[補足]人間に限らない。
重の奇石……対象を『二重』に認識する。特異マテリアルとして扱う場合、完成品を二つにする。
[補足]本来重ね掛けができない魔法などの効果を重ね掛けすることができるようになる。
・朱色
オルトエッセンシア……他の液体に混ぜることで、その液体と完全に同じ液体になる。品質は平均化される。
[補足]ポーション(品質値2000)とオルトエッセンシア(品質値6000)を混ぜると、ポーション(品質値4000)になり、堆積はポーション+オルトエッセンシアと同じになる。
転じの石……対象に付与されている性質を変更する。
[補足]マテリアルを指定することで変更先の性質を指定できるが、魔力を流すだけでも『性質:なし』にはできる。
・桃色
ラブ・リキッド……経口で強めの催淫効果を与える。液体を振りかけるだけでもある程度効果を持ち、潤滑剤代わりにもできる。
[補足]毒ではなく呪いに近しい薬という扱いであるため、あらゆる毒消し系の効果が及ばない。
愛の魔石……対象に一定時間、魅了効果を引き起こす。
[補足]心理的なものであり、性質的には呪いが近く、これの解除は難しい。
・橙色
フラムエッセンシア……他の液体と混ぜることで高温を発する。温度は品質値による。
[補足]混ぜられた液体が液体であり続けられる温度が限界である(水ならば100度程度)。
熱の篭石……魔力を流すことで熱を起こす。特異マテリアルとして扱う場合、耐熱性を付与する。
・黄色
カプ・リキッド……液体が触れた者に魔力を付与する。
[補足]魔力を付与するため、魔力に干渉する類の効果を受ける。
金の魔石……魔法などにおいて消費する魔力として選べる。
[補足]魔力そのものであるため、魔力を干渉する類の効果を受けにくい。
・黄緑
キラ・リキッド……これを混ぜた別のものの品質値を+2000する。
[補足]錬金術に関係なくこの効果は表れるため、知識のない者にも扱える。また、調味料として使うとどんな料理でもとてもおいしくなる。
賢愚の石……魔力を通すことで対象に特殊な性質が付与されているかを調べる。特異マテリアルとして扱う場合、あらゆる性質を付与しやすくするが、意図しない性質も付与される。
[補足]意図しない性質は制御することができないが、本来は付与できないような性質が付与されることもある。
・鶯色
コーティングハル……音を振動レベルで遮断する。品質が高くなると衝撃そのものも遮断するようになる。
[補足]錬金付与術を用いて部屋などの構造物に付与すると、防音室になるのみならず、その中で暴れても気づかれなくなる。また、錬金付与術によって付与した場合は、遮断方向を制限できる(内側から外側だけを遮断、など)。
創の消石……魔力を流すことで周囲の音を閉じ込め、砕くことで再生する。特異マテリアルとして扱う場合、音に関する性質を付与しやすくなる。
・緑色
クイングリン……草木の成長を促す。
[補足]このエッセンシアに限って言えば、薬草を用いずとも作成できる別のレシピが存在する。
豊穣の石……品種改良を容易にする。クイングリンと接触させることで、周囲に薬草を偽造する。
・青緑
ディープシンカー……これに混ぜた別のものの品質を変えずに濃度を上げる。
濃縮の石……特異マテリアルとして扱う場合、品質値を+2000しつつ濃度を跳ね上げる。
[補足]これによって液体を作成した場合、あまりに濃度が上がると、ゲル状になることもある。
・藍色
ブルースフィア……これを混ぜた他の液体を飲料に適した水に変質させる。
[補足]どのようなものであれ、それが液体であるならば飲み水にできる。たとえ海水でも、血液でも。なお、変質させる量は品質値に依存し、(品質値×0.2)リットル。
湧水の石……魔力を流すことで水が溢れる。特異マテリアルとして扱う場合、防水の性質を付与する。
・青色
エリクシル……HP回復、毒消し、病気消し。
賢者の石……魔力を流すことで周囲のHP回復。特異マテリアルとして扱う場合、完成品の品質値を+6800する。
[補足]ほとんどの錬金術師が最初に作ることになるであろうエッセンシア。薬品としても扱いやすく、相場形成がされる程度の最低限の流通がある。
・青紫
エルエッセンシア……一時的に全ての病・毒・傷を消し去るが、効果終了時に服用前の状態に戻る。
[補足]エリクシルと比べて、治癒ではなく回帰にあたる現象を起こすという違いがあり、体力や気力も回復できる。さらに厳密には薬品ですらなく、『一時的に呪いをかける』道具。
賢聖の石……魔力を流すことで周囲の物質を徐々に修復する。特異マテリアルとして扱う場合、自動修復の機能を付与する。
・紫色
ポワソンイクサル……あらゆる毒や病気を消し去る。
揮毒の石……魔力を流すことで範囲内の毒や病気を消し去る。
[補足]あらゆる毒を打ち消すことができるが、薬を打ち消すことはできない。場が持ってしまった毒や病気を消すこともできる。
・赤紫
ノワールイクサル……一時的に魔法の効果を極端に増幅するが、効果終了時にこの効果を受けた術者の魔力を0にする。
[補足](品質値×0.1)秒の間、魔法の効果を(品質値×0.01)~(品質値)倍の間で任意に増幅する。効果終了時、魔力を0にする。
理性の石……魔力を流すことで周囲の人間の魔力が徐々に貯まる。特異マテリアルとして扱う場合、完成品への魔法の付与を容易にする。
・黒色
モアマリスコール……二重に摂取することで致死する。
[補足]生物であれば確実に死ぬ。
人の魔石……特異マテリアルとして扱う場合、強制的に品質値を0[9級品]とする。
・灰色
ワールドコール……物理的な破損を修繕する。
[補足]『対象を健全な状態に回帰させる』効果を持つ『ワールドコール(真)』の表層ごく一部を再現したもの。
地の魔石……特異マテリアルとして扱う場合、強制的に品質値を6800[3級品]とする。
・白色
エンジェルコール……HPを完全に回復する。
[補足]毒や病気は解除することができないが、対象が生きているならば品質値に関わらず問答無用で健全な状態に回帰させる。
天の魔石……特異マテリアルとして扱う場合、強制的に品質値を20000[特級品]とする。
・無色
アネスティージャ……筋弛緩剤であり麻酔薬となる。幹部に塗るだけで即座に起きる。経口摂取すると全身麻酔になる。
崩しの石……対象の身体の自由を奪う。特異マテリアルとして扱う場合、完成品の所有者を指定できる。
[補足]これによって所有者を指定する場合、その所有者を関連付けるために体液が必要である。
以上、全十八種。
※完全エッセンシア/液体完全エッセンシアは、厳密にはエッセンシアではない。
・完全エッセンシア
エッセンシア十八種を一つにしたもの。通常は固体の形状を持つ。陰陽凝固体全種を薬草と錬金することで作成可能。
別名、『トゥルーマター』もしくは『薬草(真)』。『錬金術を扱える者にとっては何とでも定義できる物質』。
透き通った緑色の結晶だが、柔らかい。
錬金術を扱えなくても、傷を完全に戻すことができる。
・液体完全エッセンシア
完全エッセンシアを液体にしたもの。完全エッセンシアを水と錬金することで作成可能。
別名、『人魚の涙』。『飲んだものの老化速度を極端に遅める』もの。その性質上、どんなに飲んでも不老不死にはならない。
物に対して効果を出す場合は錬金付与術が必須。それをした場合、完成品は極端に劣化しにくくなる。
尚、ここでいう劣化とは時間経過による劣化は当然として、単純な物理的破損も含むため、全ての属性に対して耐性を付与するものと同義である。
・ワールドコール(原典)
『世界』を対象にかけられた、この世界を『この世界』たらしめている錬金反復術そのもの。
この世界で最初に魔王とよばれたその錬金術師が行使してしまったものであって、『対象を術者にとって都合の良い状態に回帰させ続ける』という代物。
この錬金術は後にい号大迷宮において勇者が変質させ、ワールドコール(真)すなわち、『対象を健全な状態に回帰させ続ける』というものに『上書き』されているため、この時代においてはすでに原典としてのそれは機能しない。
[EOF]
余章 ↓
122 - つかれた、と言うか
123 - づくめも終わり
124 - くらっとするような日常へ
それはいつか二人が臨む物語――黒迄現在夢現。
『異世界に転生し、帰還を遂げた』二人、渡来佳苗と鶴来洋輔のその後。
白黒な世界のデイドリームやナイトメアから覚醒に至った二人の物語は、尚も夢現のまま、極彩色な地球で綴られる。
平和な世間が突きつけるのは、渡来佳苗の忘れ物――
2016年12月1日、投稿開始。