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ドリームダイバーズ  作者: は〜げん
7/26

第七話 すごいよ!むしろ怖いよカナエさん!

前回までのあらすじ

僕の名前は春香だよ!!

前回は、僕のせいでなのはたちがピンチになっちゃって……でも、なんとか勝てたんだ。ドリームダイバーは嫌いだけど、僕はなのはのことなら信用できるって思って、なのはたちを信じようと思ったんだ。へへへ、虫がいいけど、仕方ないよ。なのはのこと大大大好きだもん!!!!

(そんな、これからどうすれば勝てるの?こんなの、こんなの勝てない……無理……!!)


ごくりとオレンジ髪の少女。なのはは唾を飲み込む。そして一筋の冷や汗がたらりとたれる。


差し出す手はだんだんと震えだし、それでもまるでトドメを刺すかのように手が伸びてきた。



「やった!一抜け〜!!」

「あぁぁああぁああ!!!」

「なのは様は、ババ抜き本当に弱いですわね」


そして、勝てたことに大喜びをする青い髪の少女の声と負けたことに落胆するなのはの声と、ふふふと笑う上品な声が響いた。


青い髪の少女は橘春香といい、上品な声の少女は三月アリスといった。 彼女たちはなのはの友達であり、今は仲良く遊んでいる。場所は……


「お、トランプか。楽しそうなことやってんじゃねぇか」

「あ、マコトさん!お邪魔してまーす!!」


マコトと呼ばれた、鼻に絆創膏をはった、なのはより少し身長が低いジャージを着た少女がババ抜きをしてるところを覗き見る。


彼女がいることでわかると思うが、ここはドリームダイバーの事務所兼研究所であった。そこで春香たちは楽しくトランプで遊んでいた。因みに、そのあとはなのはがアリスに普通に負けてしまった。


「ババ抜きねぇ……カナエとはもうしたくねぇな」

「カナエさん?確かに、未来が見れたらカードがどこにあるかわかってーーー」

「あー違う違う。あいつとババ抜きするというのは勝ち負けとかそんなレベルじゃねぇんだな」


そう言ってマコトはなのはの頭をくしゃくしゃと撫でる。なのはは顔を少し赤らめながらされるがままだった。


「あー!せこーい!!僕もなでなでする!!」

「ふぇ!?やめてよ春香ちゃん!!」


春香がなのはに飛びつき、マコトはずっとその場から離れた。それを見ているアリスはニコニコした顔で二人を見ていた。


「ふふふ、お二人ともとても仲がよろしいのですね」

「へっへー!この前少しいろいろあってね!」


そう言って春香はなのはの後ろから抱きついた。なのはは恥ずかしさと嬉しさとかが入り混ざった感じに顔を赤らめていた。


「おい、何をしてるんだ?うるさいぞ」

「あ、カナエさん……」


すると、奥の方からピンクの髪をお団子にして、メガネをかけた少女が歩いてきた。彼女はカナエ。という。見た目は子供なのに、精神等はまるで何十年も生きているようだった。


「ふん。まぁ、今の私は少し機嫌がいい。なんせ修理してたやつがもうすぐ直りそうだからな」

「修理?……あー、あれか」


そう言ってマコトは手をポンと打つ。まだ体が少し痛むらしく、顔を少し歪めるが、それでも嬉しそうな顔に見えた。


「えっと、あれって何ですか?」


なのはがそう言うとマコトが説明しようと口を開けようとした。しかし、カナエがコホン。と、咳払いをして口を開けた。


「簡単に言えば通信機みたいなものでな。夢の世界でも現実世界から指示が出せるという優れものだ。因みにこれは私が独学で作ったんだ」


そう言って少し誇らしげな顔をする。春香はほぇ〜と感嘆の声を漏らす。


「と、いってもまだ最終調整等は終わってない……」


そんな時だった。アリスのケータイから着信音が響き、アリスはそれをとった。暫く会話をした後に、なのはたちのほうを向いてニコリと笑った。可愛い笑顔だったが、少し怖くてなのははごくりと生唾を飲み込む。


「仕事の依頼ですわ。皆様。わたくし、患者さんがどこにいるか知っておりますの」


そう言ってまたニコリと笑う。まるで余計な詮索をするなと言ってるようで、なのはたちは押し黙る。


「患者さんは、山本剛さまと言うらしいですわ。さて、もうすぐ運ばれてくるはずですから、少しお待ちを」


そう言うと同時に扉が開く音が聞こえてそこを見ると、ぐったりとして寝ている少年と、それを運んできたであろう母親の姿があった。


「三月さんって……何者なんだろう……?

「さ、さぁ……?でもほら、仕事だよ。なのは!ファイト!!ゴーゴー!!」


小声でそう言い合ってなのはと春香はハイタッチをした。正直、アリスはまだニコニコと笑い続けていた。



◇◇◇◇◇



「あははははは!!キャハハハハ!!出してよぉ〜!!出してよお姉さま〜!!また前みたいにベッドの上で楽しみましょうよぉ〜!!あははははは!!」


ガンガン!と、扉に刃物が連続で当たる音と少女の狂った笑い声がその場に響いた。扉の前にいるレーヴは少し身震いをする。


「くっ……あの子のためと思ったのに、まさかあそこまでになるとは……正直予想外だ」


信頼故の絶望。それがレーヴにおしかかる。まさか勝てないとは思っていなかった。ソンジュならきっと勝てると思っていた。思っていた。そんな信頼は、信用は本当に『思っていただけ』であった。


「おやおや、考え事かい?レーヴお嬢様」

「……なんだ、ハキーカ。何しに来た?」


向こうから、くすくすと笑いながら長身の男性。ハキーカがやってきた。レーヴは、ぶっきらぼうにハキーカに言葉を投げた。対するハキーカはまだ笑っていた。


「いや、別にね……ま、強いて言うなら僕様を拾って貴女が悩んでるなら、助けないと。と思っただけだよ?」


そう言ってまたくすくす笑う。レーヴはチッと、舌打ちをしてソンジュがいる部屋の扉に手を置く。


「私は貴様を助けたつもりはない。ただ、あの子が……ソンジュが、貴様をえらく気に入ったからだ。所詮はおもちゃを買った親だ私は」

「ふふふ。そうかいそうかい……まぁ、僕様は感謝してるよ?あんな肥溜めみたいなところから救い出してくれたんだからね。うん。僕様はキミたちのことは大好きだよ」


そう言って手を広げて笑うハキーカ。扉越しに聞こえるソンジュの笑い声はと少し違うが、同じく狂ってるような声で笑っていた。


レーヴは考える。ハキーカの異常性を。元々彼はドリームダイバーだった。そして、レーヴ達と戦った。確かその時はメンバーがもう少しいたはず。しかし、そのメンバーはもう全員殺されていた。


誰に?その答えは目の前で笑っている長身の男性の手によってだ。


彼は戦闘中一度倒したかと思うと突然起き上がりそして大声で笑いだした。


(その後ハキーカは……仲間であるはずのドリームダイバーを全員殺し。それを『手土産』として私たちの仲間にしてくれと頼んだ……おそらく、あの子はこの行動が気に入ったのだろうな)


ハキーカの笑顔はあの時と変わらない張り付いたような笑みであった。


「さて……僕様は少し用事を済ましてくるよ。じゃあね」


そう言ってハキーカはレーヴに背を向けて歩き出した。その歩く足が少しいそいそといているように見えて、ハキーカは適当な理由をつけてここから去ろうとしてるのがわかった。


「……用事。ね……」


レーヴはそう言ってスカートの中に忍ばせてある、ナイフに手を伸ばした。ハキーカの頭めがけて投げるのもいいかもと思ったが、あえて止めた。何か嫌な予感がしたからだ。


「私は……どうすればいいのだろうな……ソンジュよ。教えてくれ……」


そうレーヴは言うと、扉の向こうから聞こえてきた笑い声がピタリと一瞬止まった。しかし、すぐにまた狂ったような笑い声が響き始めた。


「……あ、しつじくん!会いたかっよ!さぁて、愛の抱擁でもーーー」

「うるせぇ!!キモいんだよ近よんなぁ!!」


後ろからしつじくんの怒声と、ハキーカが吹き飛ばされるような音が聞こえたが、レーヴはそれを気にせず、ただずっとソンジュの笑い声を聞いていた。



◇◇◇◇◇



「……えっと……ここは……?」

「夢の世界で……ゲームセンター?いや、カジノでござろうか?」


なのは達はあの後あやめと合流して夢の世界にいた。もうダイブするときのからだの痛みには慣れていて(それでも痛いものは痛いが)、多少スムーズにここまでこれた。


山本剛という子は、メガネをかけた少年で……見た目は秀才なようにみえた。その子が見てる夢がゲームセンターということは、つまりは。


「遊びたいのかな……?ゲームとかで」

「さぁ、その辺りはわからんでござる……が、とにかく進むしかないでござろう。マコト殿には及ばぬが、拙者もなかなかに強いでござるから安心するでござる」


そう言いながらあやめはそのゲームセンターの扉を開ける。すると耳に大きな爆音が入ってきた。中はキラキラと目が痛いほど輝いており、まさに、ゲームセンターであった。


「……あ、あそこで遊んでる子。あれ山本くんですかね?」


なのはがそう言って指をさすとそこには椅子に座って目を輝かせながらゲームに没頭している少年の姿があった。


なのはは声をかけようとするが、あやめが肩を叩いて首を横に振った。そう。今すべきは彼の相手ではなく、ナイトメアを倒すこと。さもないと、山本剛は永遠に夢を見て、最悪死ぬか、現実との区別がつかなくなってしまう。


「そういえば……伊……あやめさん。先ほどまでどこにいらしたんですか?」


なのははそうあやめに聞いてみる。ナイトメアも見つからないし、一旦話を変えようとしたのだった。あやめは、ん?と言った後、口を開けた。


「拙者でござるか?……少し近くの病院に行ってたでござる。拙者、こう見えて体が弱い故……」


そう言ってあやめは自分の頭をかいた。体が弱いらしいが、今のあやめはそうは見えなかった。たが、確かに合流した時少しキツそうな顔をしていたような気がする。


(夢の世界だと、元気になるのかな……?)


そう思い、なのははこのことにも質問しようとした。しかし、その瞬間にバンッ!と何かが光る音が聞こえたかと思うと、山本が、いつの間にかなのは達の横にいて目をさらに輝かせてあるところを見ていた。


「レディスアンド!ジェントルメーン!!」

「あれ、山本くん!?あれが、ナイトメアですか!?」


その視線の先にはカジノのディーラーのような格好をした山本がそこに立っていた。それを見たあやめはそのナイトメアに向かってクナイを投げつけた。


カキン


「んなぁ!?」

「おやおや、お嬢さん?ここはカジノだよ。戦いなんて野蛮なのはノーノーノー」


そしてナイトメアは弾かれたクナイを拾い、どこか遠くに投げ捨てた。そして指をパチンと鳴らすとなのは達とナイトメアの間に大きめの台が現れた。


「成る程。カジノらしく、カードとかで決着をつけるのでござるね」

「ご名答。さぁ、命をかけたゲームを始めようか」


そう言ってナイトメアとあやめは台に向かって歩いていく。なのはは少し迷った後あやめに走り寄り、心配そうに耳打ちをする。


「だ、大丈夫ですか?あやめさん」

「ん〜面子とかならいけるでござる……あ、あと遊戯ーーー」


なにやら危ない単語が聞こえそうだったので、なのははワーワーと叫びその声を遮る。そうこうしてるうちに台のところまで来た。


「さて、何で戦うかい?なんでもいいよ」


そう言ってまた指をパチンとならすと、今度はトランプとかが上から降ってきた。その中にはやはりというか面子はなかった。


「猫にどっちの肉を食べるか選ばせるやつとか……コップに水を入れて、交互にコインを入れてこぼした方の負けとか。もちろんポーカーもいけるよ」


そう言ってナイトメアはクスクスと笑い出す。あやめとなのはは顔を突き合わせて相談を始めた。それを見たナイトメアはコインを弾いて遊びだした。


「ど、どうします?命をかけたーとか言ってましたから、負けたら殺されちゃう……」

「負けなければいいのでござる。とりあえず、何か得意なゲーム教えるでござる」

「……私、勝負事弱いんです。じゃんけんなら9割で負けますし、黒ひげなんて私が最初に刺したらもう黒ひげが飛び出しちゃいます」


黒ひげが飛び出る方が、本当は勝ちなのだが、確かにその話を聞いてなのはにこういうのを任せるわけにはいかない。しかし、あやめもあまり勝負事は強くなく、じゃぁ、拙者がとか言えなかった。


「さぁ、早く何でするか選んでくれ……ふふ、十連続で表だ。運が向いてる向いてる」

「だー!!もう!こうなったら拙者がやるしかーーー」

「この勝負……」


あやめが腹を決めて台に立とうとすると、後ろから声が聞こえてきた。なのはとあやめはゆっくりと後ろを振り向くと、そこにはメガネをかけた

白衣の少女が立っていた。


「カ、カナエさん!?」

「この勝負。私に任せてくれないか?」


そう呟きメガネをぐいっとあげたカナエは、ニヤリとほくそ笑んだ。



◇◇◇◇◇



「カナエさん……大丈夫なのかな」


場所は変わって現実世界。そこでは春香が椅子に座って眠っているカナエをゆさゆさと揺らしていた。


先ほど、カナエが通信機ができたと言って、夢の世界にそれを持って行ったまではいいが。すぐに目を覚まさないので、春香は少し心配であった。


(三月さんはずっとなのは達を見てるし……)


そう思いながら、春香はちらりとなのはを凝視しているアリスに視線を向ける。アリスにさっき聞いたのだが、どうやら、アリスはなのはを専属のドリームダイバーにしたいらしく、そのために三月グループの総力を決して無限睡眠症候群の患者を探していたらしい。


お嬢様。恐ろしい子。


そんな時、ガチャリと扉が開く音がしたかと思うと、マコトがよっ。と、軽く手を振りながらこちらに歩いてきた。春香はペコリと頭を下げた。


「カナエは……ダイブしたのか。ふーん。何か、未来が見えたのかねぇ」


そう言いながらマジックペンを使ってカナエの顔に落書きをし始めた。春香はその時、ふと前から疑問に思ってることを聞こうとした。


「あの、マコトさん。カナエさんってどんな人なんですか?」

「マコトでいいぞ。年齢のことなら、オレのほうが年下だしな。で?カナエってどんなやつかって?そうだな……」


そう言い、マコトはマジックペンの蓋を閉めて、ウシシといたずらっ子のように笑う。そして春香に向き合って口を開ける。


「カナエはなぁ。オレもよく知らん。見た目通り頭は良くて自称I.Q200。そして、運動神経が意外に良くて……それと、確か拾われっ子じゃなかったか?おっちゃんが拾ってきたらしいぜ」


そう言ってカナエの頭をぱしんとと叩く。それでもカナエは起きなかった。


「あと、未来が断片的に見える……本人曰く、ギャンブルとかには使えないとか言ってるらしいけどな」

「え?でも未来が見えるんですよね?そしたら、有利なんじゃ……?」

「敬語も使わなくていいぞ。タメで構わん。まぁ、そのあたりだが……そうだな。丁度あるこの通信機で、カナエのやつを見てみようか」


そう言ってマコトはポケットから小さな機械を取り出した。それをポチッと押すとブォンと音が鳴り、液晶画面のようなものが現れた。そこにはカナエ達が写っていた。


「あ、なのはもいる……でこれは……トランプ?をやろうとしてるのかな?」

「トランプ?あー……こりゃ、カナエの勝ちだな」


そうマコトは言ってまたマジックペンでカナエの顔に落書きを始めた。春香はなんとなく、その光景に液晶画面に目を吸い寄せられていた。液晶越しに見るカナエはとてもニヤニヤしているように見えた。



◇◇◇◇◇



「勝負はどうする?子供だから、わかりやすいババ抜きなんてどうかな?」

「私にババ抜きで挑むとはな。私に適うとでも?」


そう言ってカナエはニヤリと笑った。するとナイトメアもニヤリと笑い、トランプをシャッフルし始めた。


「さすがに、一対一でトランプを全部使うのは面倒だ。そこで、お互いカードを十三枚ずつ持って、それプラスジョーカーというルールでどうかな?」


そう言って指をパチンと鳴らすとお互いの場にカードが十三枚ずつ降ってきた。そして真ん中にポツンとジョーカーが一枚。


(これ……どっちがジョーカーを持ってるかが一瞬で分かってしまうでござる……!)


ババ抜きというのはどちらがジョーカーを持ってるかで気持ち的な余裕ができる。このルールはジョーカーを持ってる方は必然的にカードが一枚多くなる。つまり、不利になるというわけだ。


「ふむ……そういうことか」


そう言ってカナエはジョーカー手にとって回しながら見た。そして、スッと置いた。


自分のカードの上に。


「なぁ!?な、何をやってるでござるか、カナエ殿!!わざわざ自分を追い込んで!!」

「そ、そうですよ!!そこは公平にじゃんけんをしてどっちがジョーカーを最初に持つか決めた方が!!」


当然、なのは達から抗議の声が上がる。それをカナエは聞きながら確かにと頷いた。


「確かにこのルールは一見公平し見えて不公平なルール……どう見てもジョーカーを持ってる方が不利だ。気持ち的な余裕がなくなってしまう」


しかし、そう言いながらカナエはトランプをシャフルし始めた。ナイトメアもその行動に驚いたらしく、ジッとカナエを見ていた。


「しかし、悲しいかな……こいつが戦う相手はこの私なんだ。ふふふ、ちょっとしたハンデみたいなものだ」

「で、でも……!!」


なのはそう声を荒げる。そう、これはジョーカーを持つというのは気持ち的な余裕だけではない。もっと大きなデメリットがある。


「これは、簡単に言えば毎ターン必ずカードがお互い一枚ずつカードが減っていくのでござる……つまりジョーカーを持ってる方はだんだんと減っていくカードにそして自分がジョーカーを持ってるということに焦りを感じてしまう……それに、おそらくこのナイトメアは、イカサマができるはずでござる。きっと何かを仕組んでる。そんな相手にわざわざハンデを背負うのは無茶でござろう!」

「ふふふ。イカサマをするなんて心外だなぁ。まぁ、いいや。で?どうするんだい?今ならまだこのジョーカーをどっちが手にするか決めることができるよ」

「ふん。そんなものいらん。そんなことよりさっさと始めるぞ」


そう言ってカナエはシャッフルを止めて、ナイトメアに視線を向けた。ナイトメアはやれやれと言うように顔を降ったあと数回シャッフルしてカードを手に持った。


それを見たカナエは少し笑った後カードをまた数回シャッフルした。そして。


カードを全て裏返しにして台の上に一枚一枚置いた。


「なにをやってるでござるぅ!?」


あやめは大声で叫びカナエの肩を掴んでグラグラと揺らした。カナエはされるがままのように揺らされていた。


「そうだぞ……これは僕に対する喧嘩ということでいいのかな……」


ナイトメアがそう言ってカナエをギロリと睨みつける。カナエはナイトメアを睨み返して口を開けた。


「別にどう受け取ってもらっても構わんぞ。さて、どうする?先行は君からで構わんぞ」


カナエはそう挑発するような態度でいうと、ナイトメアは台をバンと力一杯叩いた。そして、またギロリとカナエを睨みつけた。


「後悔しても知らないぞ……!」

「残念ながら、私は後悔をしないように毎日を全力で生きてるからな」


そう言ってカナエは指でちょいちょいと手招きするような動きをした。ナイトメアがチッと舌打ちをした。


「わかった……では、僕から行くぞ」


そして、ナイトメアはカナエなカードを一枚とった。カードの絵柄は……


「6……ふふふ、ジョーカーじゃなかったね」


そう言ってナイトメアはカードを一枚手にとって台の真ん中に置いた。現在、ナイトメアは12枚。カナエは13枚。


「ふむ……まだ違うのか」


カナエはそう言って、顎の下に手を置いた。そんなカナエをなのはとあやめは顔をつき合わせながら、喋っていた。


「カナエさん……大丈夫なんでしょうか?」

「さぁ。しかし、カナエ殿を今は信用するしかないでござる」


そうして、カナエの方をちらりと見た。カナエは相も変わらず、ナイトメアのカードをジッと見ているだけであった。


「カナエさんは未来が見えるらしいですけど……それでも一日に5回しか見れない。それで勝てるのでしょうか……」


そう、カナエは未来が見える。しかし、それでも5回だけ。5回では勝負全部を見ることは不可能である。まさか、カナエがそれをわかってないことはありえない。


「トランプには必勝法などござらん……く、拙者たちには何もできないでござる……」


そんなことを言っていると、カナエがゆっくりと手を伸ばしてカードをナイトメアから一枚とった。カードの種類は8。


カナエはそのカードをちらりと見た後、伏せてあるカードを適当に選んで同じように台の真ん中にポンと放り投げた。


「おい!!貴様、カードを見ずに何をやってるんだ!!」


ナイトメアが大声でそう叫んで、カナエに掴みかかる。しかしカナエは悪びれる様子はなくその置かれたカードをピラリと裏返した。


「な、なな……!?」


そこには数字の8が書かれてるカードが2枚あった。カナエは何も見てないのに、そこには同じカードが2枚あった。


「貴様!!イカサマをしただろう!!」

「は?何を言ってるんだ?イカサマなどしてない」

「ぬぅ……だ、だが!!こんな偶然、イカサマ以外でなんと言える……おいそこの二人!!お前らがこいつにカードの内容を喋ったんだろ!!僕の手札を見て!!」


そう今度はなのはたちに言うが、なのはたちにはもちろん見に覚えがなく、手を顔の前でふり否定を表した。


それを見せられてナイトメアはグッと押し黙り、ガタンと椅子の上に座る。そして深呼吸をしてカナエのカードを一枚とった。数字は13。これでナイトメアは10枚。カナエは11枚。


ナイトメアは少し落ち着いたらしく、口で大きく息を吐いた。そして、カナエのほうをジッとみ始める。カナエはまた、どのカードを取るか悩んでるように見えた。そして、カナエはカードを一枚とった。そしてまた伏せてあるカードを適当に選んでまた真ん中にポンと投げた。カードは両方とも2であった。


「おい、まさかこれもまたイカサマとかいうのではないだろうな。私はイカサマができるほど器用ではない」

「ぐっ、ぐぐぐ……!!」


ナイトメアとカナエはその後同じようなことを繰り返していた。ナイトメアがカードをとると、カナエは少し迷った後に、カードを一枚とる。


そして、ついにその時がやってきた。


ナイトメア。一枚。


カナエ。二枚。


まだ出てないカードは、1とジョーカー。そしてカナエがジョーカーを持ってることは一目瞭然であった。その光景をなのはたちは息をするのも忘れて見守っていた。


「ナイトメア。どうだ?もっとハンデをやろうか?」


突然カナエが、そんなことを聞く。勿論、ナイトメアもなのはたちも驚いて声を上げる。ここまで来てまたハンデをあげようと言うのだ。カナエはくつくつと笑っていた。


「ふざ、ふざけるな!!誰がそんな……!!」

「ふむ。一枚と言わずに、二枚とも表にしてもいいのだがなぁ」


カナエはそう言いながら、カードを裏返そうと手を伸ばす。しかし、それはナイトメアの手によって止められてしまった。


「ま、それでいいならそれでいいがな。さ、カードをひけ。今すぐにだ」

(お、落ち着け……さっきからこいつの変な言動に惑わされてるが、変なことはしてない!!落ち着いて、落ち着いて……!!)


ナイトメアはそう思いながら、ゆっくりと右のほうに手を伸ばす。それを見たカナエは口を開けて。


「ほう、本当にそれでいいのか?」


と言った。それによってナイトメアのではピタリと止まる。息も荒くなり、差し出す手はガタガタと揺れ始める。


「お、俺は……!!勉強ばかりさせられて!だから夢の中だけでもゲームをしたいだけだ!!俺は、俺はー!!!」


ナイトメアはそう叫び意を決したようにバッとカードを勢いよくひいた。そして、皆が見守る中、ナイトメアはカードをゆっくりと表に向ける。そこに書いてあるのは……


醜く笑っているジョーカーであった。


「ぐっ、だが!まだ終わってない!!」


ナイトメアはそう言ってカードを二枚シャッフルして机の上に置いた。カナエはそのカードを二枚交互に見た後、手を伸ばしながら、口を開けた。


「夢の中でもゲームをしたい。ね。ただの逃げじゃないか。現実では親から何か言われてゲームができない?ただ、何もせずに諦めてるだけじゃないか?親に頼んだのか?頼んでないだろう?……そういうことだ。いいか、運命というものはだなーーー」


そう言ってカナエはカードを一枚選んで手に取る。そして目の高さまで上げて、ピッと一気に裏がえす。そこに書いてあったのは。


「自分で切り開くことだ」


スペードの1であった。



◆◆◆◆◆



その後。戦いに勝った後、消えていくナイトメアを見ながら、カナエは二つの小さな機械をあやめたちに渡した。


「これが、通信機。今度から私が君たちのサポートをしよう。君と私では天と地ほどの差が広がってるが、それを多少でも埋めるだに私が協力してやろうと言っている。ありがたく受け取れ」

「あ、あの!カナエさん!!」


なのはがその機械を受け取りながら、思わず声を上げてカナエを呼ぶ。カナエはなんだと言ってなのはのほうをじっと見た。


「えっと……なんであんな滅茶苦茶なやり方で勝ったんですか?」

「そうでござる。拙者もそこ気になっているでござるよ」


二人にそう詰め寄られて、カナエはやれやれといったように口を開けた。


「答えは簡単だ。未来を見たんだ。私の能力。未来視聴フューチャーサーチでな」

「でも、それって一日5回ですよね?それでどうやって……」


そうなのはがきくとなりであやめはわかったというように顔をしきりに降っていたのを見るが、なのははよくわからなかった。


「……私が見たのは、一つだけだ。一つだけの未来だ」


そう言ってカナエはカードを一枚拾った。そのカードはだんだんと崩れていっており、それをぐしゃりと握りつぶす。


「私が見たのは、『私が勝った未来』だ。これなら……どんな手を使おうとも、私は必ず勝てるんだ。どんな未来も……変わることはありえないからな……」


そういうカナエの顔はとても寂しそうで、そして、どこか諦めているようにも見えた。


この後、夢の世界から帰ってきた時、カナエは自分の顔にされた落書きを見てマコトに対していつも以上の罵声を浴びせたのは言うまでもない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【次回予告】

「三月さん遅いなー」

「しかしなぁ……あたしもその……」

「貸切……え?これダメなのですか?」

「ふふふ、君の名前はなんだい?」

【次回:08話 遊園地でドキドキパニック!!】

お疲れ様です。

未来予知。いろんな作品でその未来予知を使い相手の次の行動を読んで戦うってやつがありますが、最初に決着の未来をみて、勝つか負けるか……それを見たらどうなるのかなぁ。と。もしかしたらタブーかもしれませんが、カナエさんはやっちゃいます。

次の話もお楽しみくださいまし

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