↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】迷宮見廻りバズ・ニンジャ  作者: ヤマモトユウ(スケ)
二之巻:ロリガキヤンキー巫女極道

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
80/85

第80話 『鷹崎家』(五/六)



 その後、二度の半魚人との接敵、三度のヤクザによる奇襲(は、俺が防いだが)を経た。桟橋の道はまだ続く。


「戦力を小出しにしているあたり、時間稼ぎの意図を感じるな」

「なら、まだ他のダンジョンに逃げ出せてないってコトかな。他のダンジョンへ移動するのは時間がかかるのかも」

「おそらく。……以前に見たダンジョン間移動は、階層縦断型モンスターの異界障壁と坂上銀五郎の【百里跳《ビリー・バッド・ニュース》】を利用したものだった。少なくとも、それに類する準備は必要だろう」


 鷹崎父が何度も頷き、小声でつぶやく。


「なるほどね。ワープ系の術式と、相応の量の魔力と、異界障壁が必要になるわけか。興味深いな、いやこれは興味深い。圧縮された極小規模の異界(ダンジョン)を、折りたたまれた四次元世界として再定義し座標を指定、経由しているのか……?」

「鷹崎父は詳しいな。魔術にも、モンスターにも」

「かなり勉強したからねぇ。俺自身はダンジョンスキル以外の魔術を扱えるわけじゃないんだけど。神秘遺贈の家系でもないし」


 彼が担いでいるのは、布袋から取り出した古ぼけた和傘だ。


「でも、知っていれば対策できるでしょ? 俺は肉体的には凡夫だけど、手札の多さには自信があるからね。今まで何千回もガチャを回して、いろんな魔道具を手に入れてきたんだ。これもその一つでね」


 鷹崎兄はこの傘で半魚人をぶん殴っていた。派手さはないが安定した立ち回りだった。歴戦の猛者というべきか。


「水除けの呪傘――水棲モンスターにはよく効くんだ、これが」

「道具を使い分けて対応するのか。知識あってのものだな」

「そういうこと。対人用の道具もあるよ。……使う暇はなさそうだけど。奇襲前に無力化しちゃうんだもんなぁ」

「ああ。個人的にはそれが理想形だと考えている」


 桟橋をぎしぎしと鳴らしながら、進んでいく。


「闇ギルド構成員はダンジョン内外を問わず、スキルを使用できる可能性が高い。呪詛溶液(マントラリソース)のマナ・アンプルを持っていればな」

「使われる前に倒したい、と?」

「それもあるが、呪いに親しむ呪術師や魔術師の家系ならいざ知らず、ただのヤクザは薬害に耐えられないだろう。一度の使用で、甚大な後遺症が残る可能性もある。見過ごせないだろう、それは」


 鷹崎兄は、何とも言えない顔になった。鷹崎妹が「あのさぁ」と声を上げる。


「気に障ったらゴメンだけど、勝手に呪詛溶液使って死にかけるやつを、そこまで気に掛ける必要ある? 幼馴染の女の子ならともかく、ヤクザでしょ」

「こら! すいません、妹が……」

「いや、構わない。そういう考えも一理あると思う」


 『まあ……そうだよなぁ……』

 『自業自得だし』

 『忍者は甘すぎるよな』


 コメント欄も、厳しめだ。しかしながら。


「『迷宮見廻組』はヒーローを志している。そして、ヒーローは助ける相手を選ばない――と、俺たちは考えている」


 俺の言葉を、あんまるが引き継ぐ。


「助けを求められれば応じるし、求められなくても勝手にシュバる。敵も味方も、助けられるなら助けてみせる。それがアタシらのやり方ってワケ☆」

「……ごめん、私が野暮だった」

「やぼおばさん」

「アリアぁ~? こっち来なさい、頭ぐりぐりしてやる!」


 わちゃわちゃする鷹崎妹とアリア。鷹崎兄はというと、なぜか目じりをぬぐっていた。


「いやごめんね、三十超えると若者がまぶしくて……」

「わかるます。段蔵くんは特にゲーミングニンジャでピッカピカだから目がチカチカするッスよねー」

「ゲーミングニンジャって言うな。……これはあくまで我々の方針、目標に過ぎない。もちろん、無理強いはしない」

「日本は法治国家だからね。犯罪者は法の下で裁かれ、罪を償ってもらいたい。そういう意味で、生かして捕らえるのには賛成ですよ」

「では、次はそちらが捕まえてみるか。もうすでに、俺のクナイ射程内だが」


 俺の言葉に、鷹崎家の三人がすっと姿勢を変えた。


「私がやろうか?」

「いや、ここは――アリア。そろそろ暴れたいんじゃないか?」


 美貌の蜘蛛姫は、にんまりと笑った。


「やる! 【自在糸(フリイト)】、【金剛糸(アダマンタイト)】、あみあみー……」


 十本の白い指先から、ふわりと極細の糸が伸び、瞬時に編み上げられていく。

 あんまるが口に手を当てて震える。


「あ、ありあタンの生スキル……! 感激!」

「あんまる、ちょっとキモいぞ」


 あんまるが俺の足のすねを蹴っ飛ばした。いいフォームだ。それなりに痛い。

 言っている間に、アリアが編み上げた蜘蛛の糸の塊を、前方に「えい!」と射出(・・)した。砲弾のような勢いで桟橋の先に飛んで行った糸塊は、空中で花咲くように開き――放射状に広がる、白い網となる。


「くものすあたーっく!」




【迷宮見廻りバズ・ニンジャ】発売いたしました!!

Web掲載版から大幅に加筆修正し、話の流れや設定がやや変わっております。

大枠のストーリーはそのままですが、既読の方も是非お読み頂ければと思います!


●公式サイト

https://bnovel.bushiroad-works.com/novel/775/


●Amazonリンク

https://amzn.asia/d/05Qs8VdX


●特典SS詳細

・メロンブックス様

 「杏奈と姫虎の楽しい女子会」

 タイトル通りのお話です。


・ゲーマーズ様

 「本当の名前」

 姫虎が段蔵くんの本名を知ったときの話を姫虎視点で。


・書泉・芳林堂書店様

 「荻谷さんの退職に伴う有給消化」

 荻谷さんが退職するときの左慈支局長との一幕。


・応援店様

 「段翁、左慈と会う」

 爺さんのところに左慈がご挨拶に来るお話。


・アンケートSS

 「迷宮見廻組の楽しい社会見学」

 ダンジョンコアを燃やしてお湯を沸かしてタービンを回す新時代の発電所の見学。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。