呪いの解呪
「ユリーシャ! 頑張ったな!」
「ありがとうございます」
産むまでつわりがひどく、せっかく教鞭を執らせていただいていた学校には、大変迷惑をおかけしてしまいました。
当初、なぜか妊娠を隠したいと明かすことができず、やっと報告してもいいそうです。
きっと、おモテになるアレンのファンの方が嫉妬なさるから……内緒だったのですね。
無事出産してから、アレンは以前のように優しいアレンに戻ってくれました。
私の身体を労ってくれており、夜はまだ何もないですが、愛していると何度も言葉で伝えてくれます。
きっとミリアの言っていた“男性として自信を失う時期”はすぎたのでしょう。
この子という存在がアレンの自信を取り戻してくれたんですね。
生まれる時期から邪推されると困るので、少し早めに生まれたということで周囲にはお話ししてあります。
「旦那様……初夜を迎えるまで、お子ができないように避妊なさらなかったのですか? 結果的には良かったのですが……」
呆れ返ったようなミリアに対し、困ったような顔をして言い訳をするアレンの姿すら愛らしく感じてしまいます。
「いや。その……やっとユリーシャが手に入ったと思ったら、僕のものだと残したくて……すみません。ただ、本当に良かった。この子は、我々の救いだ」
「そうですね。名前は救いの意味からメシアにいたしましょうか?」
「そうしよう。メシア。生まれてくれて本当にありがとう。ユリーシャもありがとう」
「ふふふ」
そういえば、なぜかこの国の王女様が幼女になられたそうです。知能も退行され、日々周囲を困らせていらっしゃるんだとか。ただ、最近、まるで呪い返しのように醜い容姿になられてしまったようで、周囲から遠ざけられているとか……。若返りになられたわけではないから、永遠の命を手に入れたわけではないそうで。大変なことです。臣下の一人として、王女様の幸せをお祈りいたしましょう。
「ばぶぁ!」
「はいはい、メシア。呼びましたか?」
メシアはその名の通り、世界の救世主になったとか。
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