第27話 三人で祝福
俺はアリアと一緒にルシャの部屋まで戻った。いつまで待たせるんですか――とニコニコしながらルシャは言う。いやあほんとにね。俺が馬鹿だったのもあるけど、水道橋の上まで逃げたアリアもアリアだよね。
「遅いから、どこかで祝福を授けられてるのかと思いましたよ」
「「エッ」」
「ル、ルシャ、急にどうしたの?」
「ルシャはユーキが居ないときはよく喋るよ。喋るけど、ほんとどうしたの?」
「なんだかユーキ様に隠し事が無くなったらすっきりしちゃいました」
「――そ、その、ルシャ、ありがと」
「アリアさん? 以前みたいに素直にしないと、ユーキ様は貰っちゃいますからね」
「そ、それなんだけど、あたしはルシャも一緒でもいいかなって……」
ルシャは驚いて両手で口を押え、それからゆっくりと期待の目を俺に向けてくる。
「さっきアリアに相談されたんだけど、二人目を娶ってもいいかなって」
「ユーキ様はどうなんです?」
「こっちの世界じゃ珍しくないと言われて」
「そうじゃなくて! ユーキ様は私としたいんですか?」
「結婚? それともそっち?」
「両方に決まってます!」
ダメだ! 状況さえ許されるならしてしまいたい自分が居る。完全にクズ男じゃねえか。
「したい……です」
俺は抗えなかった……。
「アリアさんは? 本当にいいんですか私が居ても」
「いい、よ。だって祝福受けるのはもう決まってるんでしょ? それ、なら、もう、一緒、かなって」
ああかわいい! 抱きしめてしまいたい! と思ったら抱きしめていた。何を言っているかわからないかもしれないが、恋人ってこんなもんだろう? 違うか。
「ちょ、ちょっと、急に、なに!?」
「ああもう! わかりました。じゃあ婚約しましょう。そして祝福を……」
ルシャが急にベッドに倒れ込む。アリアが慌てて俺を振りほどいて《輝きの手》を施す。意識はあったようだ。徐々に回復してくる。
「もう! 興奮しすぎ」
◇◇◇◇◇
さて、ルシャに祝福を授ける次第となったのでルシャのベッドで二人で向かい合っているわけだが、部屋は明るいまま、そして椅子にはアリアが座ってる。
「あの……アリア、本当にこのまま始めていいの?」
「いいっていってるの! ルシャに何かあったら困るし、それに……」
「それに?」
「あ、あたしのときはなんか、仕方なくしてたみたいだから、ちゃんと好き合ってする初めても知りたいの」
「アリアさん本当に大丈夫ですか? してもらいたくなったら困りますよ?」
「だだだ大丈夫よ」
本当に大丈夫だろうか。変な趣味に目覚めたりしないだろうかな。いや、アリアみたいな美人にガン見されて、こっちも変な趣味に目覚めそうだこれはヤバい。そして俺はこの世界にきて初めてのまともな《祝福》を経験することができた。
◇◇◇◇◇
三たび、祝福が訪れた。傍らには一糸まとわぬルシャが居た。こう見るとやっぱり細い。
「やっぱりもうちょっと食べた方がいいね」
声が出た。見ると胸の穴はとても小さくなっていた。
「がんばるのでおいしいご飯、作ってくださいね」
ルシャは胸を両手で持ち上げながら言った。いや、そこはもう結構大きいと思いますよ。
「えっ、でもお好きそうでしたよね?」
ぐあ、声になっていた。つうこんのいちげき!
『キミ、今日はやけに機嫌がいいね。おめでとう。いい顔になってきたよ』
「女神様!」
ルシャは両膝をついて地母神様を仰ぎ見た。
『其方、よく決断した。鍵の者は其方の力添えで胸の穴を大きく埋められた』
ルシャは俺の胸の穴に気が付いたようだ。
「ユーキ様のためにこれからも尽力いたします!」
『いや、其方の埋めるべきは十分に埋められた。ここからは別の者の問題だよ』
別の者? 別の者ってどういうことだ? 俺の思考はスルーされ、地母神様はルシャに祝福についてのことばを与えていた。ルシャは恍惚とした表情ですべてのことばを受け入れていた。
「女神様、よろしければもう少しお話させていただいてもよろしいでしょうか。こんな機会、二度とないと思いますので」
『よろしい。敬虔な其方に免じて時間を与えよう』
『あ、キミもう帰っていいよ』
えぇ……。
◇◇◇◇◇
目覚めると、アリアが毛布を掛けてくれていた。そして俺たちを見守ってくれていたようだ。ただいま――とアリアにキスをする。なかなか放してくれなかったが、ルシャの目覚めが遅いのを心配してか、瞳は彼女を捉えている。
長い長いキスの中、ルシャが目覚める。
「もう! ずるいです!」
「羨ましかったから、おかえし」
……嫉妬していただけだった。かわいい。うっかり抱きしめてしまった。
「アリアさんと内緒話があるのでユーキ様は先に寝てくださいね」
「えぇ……」
俺はまた追い出された。
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