第20話 真相
目が覚めたとき、アリアの姿は無かった。ルシャはどうなっただろう。……たぶん大丈夫だ。アリアが居る。
俺は逃げ出す。彼女たちに見られたくなかった。走り続けた。異常な距離を走り続けられるのが面白くて少しだけ気分が晴れた。アリアのように速くはないが。
異様なテンションのままギルドへとやってきた。血まみれの俺を見てぎょっと目をむく冒険者たち。人が多いと思ったらタイミングのいいことに奴らが居た。奴らは別の意味で驚いていたようだが。
「なんだよ、そんなに珍しい顔かあ? ここに居るのが不思議? そういやあお仲間を見かけたよ。ゴブリンに囲まれて死んでたけどなあ」
先日の奴の仲間が二人ほどいない。うち一人の名前はあそこで確認した。俺の言葉に何か言い返してきて騒いでるが、俺は奴のスクリーンに集中していた。
「お前、聞いてるのか? 誰を殺した?」
男が胸ぐらをつかむ。――邪魔だよ。
「仲間はどうしたの? 見捨ててきたのかな?」
お貴族様が言い捨てる。こいつ……。
俺は掴んでる男を振り払い、受付へと向かう。
「ねぇ、ナディさんて居ますかー? 居ますよねー?」
カウンターの向こうの受付の子が頷き、傍で縮こまってる女を指さす。
「うちのパーティの討伐依頼、見せてもらえるかなあ。《陽光の泉》のゴブリンの巣穴の掃除。この依頼の元になった報告ってありますよねえ?」
「な、なくしました……」
青い顔をした彼女の言葉――こいつだ――鑑定は嘘と言っている。
「それ、嘘ですよね。巣穴の規模を改竄したでしょー? あと、場所も巣穴じゃなく見張り台みたいなところに指定されてたよお。オマケにそこのお貴族様の手下がわざわざタイミングよく蜘蛛の巣をつついたみたいで、俺たち囲まれちゃってさあ」
受付の子が奥に引っ込んでいくが、俺が続けて問いただしている間にすぐに偉い人たちが来る。報告の書板が引っ張り出される。俺はカウンターに寄りかかり催促する。さっきから頭がくらくらして立っていられなかったのだ。
「ナディさん、あのお貴族様から報酬貰ってますよねえ。さっき見てたら結構前から貰ってたみたいだし、アリアさんにずっと嫌がらせでもしてたのかなあ? そこのお偉いさん、ギルドの口座調べてみた方がいいですよお」
ギルド職員のみなさんが驚いた顔をする。ドヤってやろうかと思ったが、次の瞬間、頭への衝撃と共に俺は意識を手放した。
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