表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の治癒士が竜姫と出会ったら ~癒しの魔法に女性たちはメロメロ!?~  作者: さとうはるか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/9

第三話 滅竜士と柔術  1 滅竜士との戦い


 僕は自分の左腕に現れた光の盾を見た。

 ブレスレットから放たれた光は、腕先の方が尖った緩い五角形をしている。

 その左右に、小さな翼のような飾りがついていた。


「翼……? 翼の(ウィング・シールド)?」


 父さんがくれた金のブレスレットに、こんな秘密があったなんて。

 しかし驚いてる間もなく、鈍色の髪の男は急襲してくる。異常な速さだ!


「俺のチェンソー・ブレードを受け切るだと! ナメるな!」


 斬りかかる男の剣を、翼盾で受ける。男はすぐに剣を戻し、連撃を加えようとする。

 僕は空いてる右手で、また男の腹を殴ろうとした。しかし、今度は男も素早く後退してかわす。


「二度も同じ手が通じると思うか!」


 男がそう吠えて向かって来ようとした時、プリシアの声が響いた。


竜閃光(ドラゴン・レーザー)!」


 プリシアが人差し指から光線を放つ。

 が、男はそれを、剣を持ってない左掌で受け止めた。

 白く光る男の左掌は、光線をものともしてない。


「そんなチンケな技で、滅竜士を傷つけられるとでも思ったか?」


 男は光線を受けたまま、ノコギリ剣を担ぐ。

と、それをプリシアに向けて振った。


「鋼鉄の(つぶて)!」


 振った剣から、金属片が大量にプリシアに向けて飛来する。

 僕は慌ててプリシアを翼盾で庇った。


「なんて奴だ、魔法まで使ってくる!」


 なんとか鋼鉄の礫を防ぎきるが、男は余裕の笑みを浮かべた。


「魔法も使うのが、俺の流儀さ。俺の名を教えておいてやろう。お前たちを殺す男の名は、ギルガイン。『鋼鉄の』ギルガインだ」


 ギルガイン――そう名乗った男が、剣を横に構えて猛進してくる。

 こいつは相当に強い。こいつ相手に、防戦一方では守り切れない。


 ……僕だって、プリシアから竜の力を貰ったんだじゃないのか?

 このままやられる一方じゃ――プリシアを守り切れない!


「オオオォォォッ!」


 僕は咆哮して、向かって来るギルガインに正面から突っ込んだ。


「俺を相手に――正面から挑むつもりか、小僧!」

「ウオオォォッッ!!」


 ギルガインのノコギリ剣が僕の頭上を襲う。

 僕は左腕の翼盾を前に押し出しながら、そのまま突進した。


 ノコギリ剣が翼盾に当たるが――斬り割れない。

 僕はそのまま、翼盾をギルガインに押し込んだ。


「な――なんだとぉっ!」

「ウワアァァァッッ!」


 踏ん張ろうとするギルガインを無視して、僕はそのまま突進してギルガインを壁まで押し込む。


「むっ――ぐぅ……」


 壁に背中からぶち当たったギルガインが、僅かに呻く。

 僕は左腕の翼盾でギルガインの上半身を抑えつけながら、右のフックをギルガインの脇腹にぶちこんだ。


「ウラアァァッ!」

「ぐおぅっ――ご…ふ――」


 ギルガインが呻く。僕は跳んで後退し、壁に押し込まれたギルガインの様子を窺った。ギルガインが、口から血を垂らす。


「う……ぐ――」


 そのままずるりと、ギルガインの身体が地面に崩れ落ちる。

 どうやら――倒したようだ。


「ふぅ……うぅむ……」


 緊張が解け、安堵のため息が洩れる。と同時に、不意に斬られた胸の痛みが襲って来た。


「うわ――痛……」

「大丈夫、クィード!?」


 プリシアが心配そうな顔で駆けつけてくる。僕は苦笑してみせた。


「大丈夫、ちょっと痛いけど。まあ、自分で治しとくよ――治癒(ヒール)


 しかし、血は止まったものの、傷がふさがらない。

 そして胸に大きな傷を残したまま、もうこれ以上、治癒できなくなった。


「これって……僕が、君の竜核を得たからか。僕も滅竜士の呪いを受けるってことだ――」

「クィード、わたしのために……」


 プリシアが涙目になって僕を見つめる。あわわ、泣かしちゃいけない!


「大丈夫! 男の子だし、これくらい全然、平気だよ。それより、あいつが気づく前に、ここを立ち去ろう」

「うん」


 僕らは足早に、その場を立ち去った。

 少し遠ざかってから、僕らは宿を探した。なんとか一軒、宿を見つける。


「お泊りで?」

「はい。二部屋空いてますか?」


 宿の主人に僕がそう言うと、袖を引く気配に、僕は振り返った。

 プリシアがうつむいて、僕に小声で言う。


「クィードと離れるなんて……わたし、不安だよ……」

「そ、そうか」


 確かに。こんな物騒な街で、いきなり危険な目にあって、それで一人になるのは不安だろう。


「すいません、やっぱり二人用の一部屋で」

「う~ん、今日はツインはもういっぱいで。ダブルなら空いてますが?」


 左右にはねてる口髭の主人が、そう言う。……ということは、ベッド二つの部屋はなく、大きなダブルベッドの部屋だけってことか。


 けど、もう他の宿をあたる気力もない。まあ、僕は野営用の寝袋で、床で寝ればいいや。


「じゃあ、それでお願いします」

「はい、ありがとうございます。食事を部屋に運ぶこともできますが? もちろん、追加料金ですけど」

「お腹もペコペコだ。お願いします」


 そう言って僕らは二階に連れられて、大きなベッドのある部屋に案内された。


「朝食は料金に入ってるんで、明日の朝、下の食堂に来てください」

「判りました」


 そう言って宿の主人が出て行くと、僕らはやっと落ち着いた。


「ふぅ……いきなり、大変だったね」


 なんか返事がない。見ると、プリシアが、ベッドに腰かけて神妙な顔でうつむいている。

 よく見ると、その身体は微かに震えていた。


「プリシア……」


 僕は傍にいって、隣に腰かけた。


「恐かった――よね…」


 僕の言葉にプリシアは、涙に潤んだ瞳を向けた。

 が、またうつむく。


「あの人……わたしの竜閃光がきかなかった……」


 プリシアが震える声で話し始める。


「わたしの脇腹を刺した滅竜士もそうだった……わたしの技が全然きかなくて――わたしは…殺されると思って――」


 プリシアの声が、そこで息詰まる。恐怖の記憶を――想い出してる眼だった。

 僕は思わず、プリシアを抱きしめた。


「プリシア、大丈夫だよ、心配しないで」

「クィード……」


 僕に抱きすくめられたプリシアが、涙目で僕を見つめる。


「どんな奴が来たって……君を守るよ。だって君は、何も悪いことはしてないんだもの。君が殺されていい理由なんて――一つもないんだ」

「クィード……」


 プリシアの眼から涙がこぼれ落ちた。と、プリシアは、頭を僕の胸に預ける。


「クィード……出会ったのが、クィードで…本当によかった」

「僕も――プリシアに出会えたこと……幸せに思ってるよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ