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配信?③

これは配信ものにみせかけた現代ファンタジーものです。

次の瞬間。

 ――轟ッ!!!

 リリスが跳んだ。

「は?」

 視界から消えた。

 本当に、一瞬。

 人間の動きじゃない。

 紅い残光だけが部屋を走り、次の瞬間には天井へ剣が振り抜かれていた。

 ゴァァァァァァッ!!

 真紅の炎が爆発する。

 熱風。

 衝撃。

 俺とみうは同時に吹き飛んだ。

「ぐぇっ!?」

「きゃっ!?」

 机が転がる。

 マイクが飛ぶ。

 カップ麺の空容器が宙を舞う。

 俺の貧困生活の残骸が、戦場みたいな部屋を漂っていた。

 天井の“目”がギョロリと動く。

 空間の裂け目が広がった。

 そこから、黒い腕が何本も這い出てくる。

【終わった】

【観測固定される】

【まずいまずい】

【神界まだ!?】

「いや何あれぇぇぇ!!」

 俺は床を這いながら叫んだ。

 リリスは振り返らない。

「りん、耳塞いで」

「は?」

「鼓膜破れるから」

「事前に言うタイプの攻撃!?」

 直後。

 リリスが剣を構えた。

 紅い瞳が輝く。

 その瞬間、コメント欄が爆速で流れた。

【来る】

【魔王砲】

【配信初公開】

【うおおおおおお】

「なんだその必殺技配信映え重視みたいな名前!?」

 リリスは、小さく息を吸った。

 そして。

「――《赫灼開門》」

 世界が、赤く染まった。

 音が消える。

 次の瞬間。

 ド ン ッ !!!!!!

 爆音。

 光。

 炎。

 全部がまとめて襲ってきた。

「ぎゃあああああ!!」

 俺は反射的にみうを庇って伏せた。

 熱い。

 だが不思議と燃えない。

 炎は俺たちを避けるように流れていた。

 黒い腕が、絶叫しながら焼け落ちる。

 天井の“目”がひび割れた。

 グギャアアアアアアアアッ――!!

 人間じゃない悲鳴。

 頭がおかしくなりそうなノイズ。

 部屋中のガラスが砕け散った。

 マンション中に響いてるだろこれ。

「終わった?」

 恐る恐る顔を上げる。

 天井。

 ……無事ではない。

 大穴が開いていた。

「いや終わってねぇ!!」

 夜空見えてんだけど!?

 俺ん家オープンワールド化したんだけど!?

【ナイス魔王様】

【圧勝】

【これは惚れる】

【スパチャ不可避】

「どこに惚れる要素あった!?」

 リリスは剣を肩に担ぎながら戻ってくる。

「ふぅ」

「ふぅ、じゃねぇよ!!」

 俺は立ち上がって叫んだ。

「天井!! 大家さんになんて説明すんだよ!!」

「隕石?」

「通るか!!」

 みうがスマホを向けていた。

「お兄」

「なんだよ!」

「同接やばい」

「現実逃避すな」

「違う、見て」

 視聴者数。

 ――5万。

「……………………」

 思考停止。

【伝説回】

【リアタイ勢勝ち組】

【アーカイブ残せ】

【切り抜き確定】

【世界トレンド1位】

「世界?」

 みうが引きつった顔で笑う。

「日本じゃない。“世界”」

「は?」

「海外でもバズってる」

 終わった。

 人生が。

 いや始まったのか?

 どっちだこれ。

 その時。

 ピコンピコンピコンピコン!!

 通知が止まらなくなる。

『チャンネル登録者数 10万人達成』

『急上昇ランキング1位』

『ニュースサイト掲載』

『配信プラットフォーム公式より連絡』

『メディア出演依頼』

「処理できるかァ!!」

 俺は叫んだ。

 すると。

 突然、リリスが真顔になる。

「静かに」

「え?」

 彼女はゆっくり天井の穴を見上げた。

 赤い瞳が細まる。

「……まだいる」

 空気が変わる。

 コメント欄も凍りつく。

【嘘だろ】

【まだ終わってない?】

【撤退してない】

【ありえない】

 ゾワリ。

 穴の向こう。

 夜空が、黒く滲んでいた。

 いや。

 違う。

 “何か”が空を埋めている。

 巨大すぎて、空に見えていた。

「…………は?」

 ゆっくり。

 本当にゆっくりと。

 “それ”が瞼を開く。

 夜空いっぱいの、巨大な目。

 月よりデカい。

 星を飲み込むみたいな漆黒。

 そして。

 直接、頭の中に声が響いた。

『見つけた』

 脳が揺れる。

 吐き気。

 頭痛。

 膝が崩れる。

 みうも顔を青くしていた。

「っ、ぅ……!」

 コメント欄がパニックになる。

【終焉級】

【なんで本体が来る!?】

【逃げろ逃げろ逃げろ】

【世界線閉じろ!!】

 リリスだけが、舌打ちした。

「……最悪」

 彼女は剣を握り直す。

 だが。

 その横顔には、初めて焦りが浮かんでいた。

「りん」

「な、なんだ……」

「今から言うこと、絶対守って」

 リリスは真剣な目で言う。

「――配信、絶対切らないで」

「は?」

さっきから配信切れ切れ言ってたやついるよな?

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