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召喚士されし者 91・偽りの武神

どうもどうも。

「おれ、おれだよ、おれ。」な、成り済ましな電話が実家に掛かったえんたです。


リアルであると少し驚きますね。怖いわー。

両親には改めて、そんな電話してくるおれは見殺しに捨て置いてとお願いしておきました。

はてはて、自分の首を絞める事に成らないと良いんですけどね?


そんな訳で今回はシェイリアさん視点になります。やっとこレイベウロスの野郎に引導を渡せる段階まで話がやってきました。うはー。


では

 遠ざかるユーキ様を見送りながら、私は掌に握り込んだ銀色のソレを懐に潜り込ませます。

 折角認められ預けて貰ったと言うのに、無くす訳にはいきませんからね。


 しっかりと懐に入ったのを確認し、服の上からも叩いて見ます。

 手に固い物があたり、そこにちゃんとある事が分かります。


「行っちまったなぁ。」


 不意にロイドの気の抜けた声が私の耳に響きました。


「勝手に行ってしまったみたいに言わないで下さい。私達が行って下さるように頼んだんですよ?何が不満ですか。」

「不満、って訳じゃねぇ。不安なんだよ。なんかしそうで。」

「はぁ。・・・それは、まぁ。」


 ・・・・・否定出来ませんね。


 ユーキ様は無茶を無茶と思わずしてしまう所がありますからね。

 草原竜と対峙した時も、巨人達と遭遇した時も、ユーキ様はなんの気無しにやりあってしまいましたし。


 まぁ、ですが。

 それは今更というか、なんと言いますか。


「心配する位なら、ユーキ様に頼み事なんてしない事です。」

「そりゃぁな。自分でできりゃ、それが一番だったんだがな。生憎、あれを止められる知り合いは、おちびしか知らないんでね。仕方ねぇよ。」

「そんなに、危険な物なんですか?あれは。」


 私はレイベウロスから意識を外さないように、空に浮かぶソレを見た。


「あれを発動させてる奴が問題なんだよ。それに、魔術自体は生者にとっちゃ危険ではねぇ。あれは死んだ人間の魂を犠牲に人を蘇らせる魔術だからな。━━━それに、この魔術を発動させた奴は女を一人蘇らせたいだけだろうしな。」

「それなら━━」


 放って置いても、良いのでは。

 そう言葉にしかけましたが、ロイドの表情に声が詰まりました。


「シェイリア。俺は信心深くねぇけどよ、魂ってのはあると思うんだ。その魂が神の身許にいくのか、それとももっと別の所に行くのか、興味もねぇし知る気もねぇ。けどよ、そいつは誰かに弄ばれて良いような存在でも無いと思うんだ。」

「・・・・ロイド。」

「訳も分からずに殺された奴等が、これ以上こんな糞みてぇな魔術の犠牲になんのだけは、許せねぇんだよ。」


 ロイドは出会った頃に比べ変わりましたね。

 こんな事言う熱い奴では無かったんですが・・・。


 私の言いたい事が分かったのか、ロイドが苦笑します。


「あーー言うな言うな。柄じゃねぇ事くらい分かってるさ。でもな、これが俺の目指していた冒険者って奴なんだよ。」

「━━そうですか。」


 冒険者、ですか。

 ロイドは常々言っていますが、私の知る冒険者なんて、そうは良い物では無かったんですが・・・。

 でもユーキ様も憧れているようですし、そんなに悪い物では無いのかもしれませんね。


「・・・・・それにな。おちびに、カッコ悪い冒険者なんて、もう言われたく無いんだよ。」

「っ、━━━ぷっ。く、くくく。」

「おい、笑うなよ。」

「いえ、ただ、似合いませんね。本当に。」

「はぁ。ああ、本当にな。」


 でも、そうですね。そうで無くてはいけませんよね。

 私達は、選んだんですから。

 あのユーキ様の側に居る事を。


 少しでも背伸びしないと、直ぐに置いていかれてしまいますから。




「ねぇ、ねぇ。シア、ロイド。イチャイチャするのはその辺にして━━」


「「イチャイチャはしてない!!」」

「うわっ!?」


 なんて事を言うんでしょうか、ユミスのアホ子は!


「ご、ごめん。あ、でもさ、ほらレイベウロスがさ!」


 ユミスが慌てながら瓦礫から這い出るレイベウロスを指差します。


「イチャイチャの件は断固勘違いですが、ユミスの言う事は尤もですね。ロイド。」

「あぁ、だな。」


 そう言うと、ロイドは腰のポーチから掌に収まるような銀の筒と銅の筒を取り出し、私に投げて寄越しました。


「これは?」

短菅筒(パイプ)っつー使い捨ての魔道具だ。銀が回復魔術が仕込まれていて、銅が強化魔術が仕込まれてる。使う時は先の蓋についてる留め金を外すだけだ。短菅筒の1メートル以内いりゃ効果が出る。どっちも下級だが、気休め程度になる筈。」


 使い捨ての魔道具を用意するなんて、何処にそんなお金が合ったのでしょうか?でもまぁ、今は追求している場合でもありませんし、ありがたく使わせて貰いましょう。


 早速、銅の短菅筒の蓋についてる留め金を外して使ってみます。

 プシュッと言う音と共に短菅筒から淡い光が洩れ体を包みます。すると光に触れた私の体にほんのりと光が宿りました。


 ぎゅっ、と拳を握れば、確かに何時もより筋力があがったような気がします。



「遠慮、一切無しかよ。まぁ、良いけどよ。━━━取り合えずアレと闘う前に、お前らに言っておく事があるから、良く聞いておけよ。」

「何?」

「何ですか?」

「アレはレイベウロスじゃ、無い。」


「「は?」」


 レイベウロスじゃ、無い?


「レイベウロスじゃ無いって、ロイド貴方が言ってたんですよ?今更何を。」

「落ち着けよ。レイベウロスってのは、間違ってもねぇんだ。アレは間違い無く、レイベウロスの体なんだよ。墓の底で眠ってた亡骸を引っ張り出して、ご丁寧に再生した本物なんだよ。」


 再生した・・・。そんな事が可能なんですか。

 魔術についてはあまり詳しくありませんが、王立の治療院でも欠損した部位を癒す事が出来る実力者は数える程度だと聞いた事があります。死体の場合はかってが違うのかもしれませんが、それでも相当に難しい事の筈です。


「だが、そこからが大変だったんだよ。」

「再生させる、なんて事も十分大変かと思うんですが。」

「まぁな。━━で、だ。アルベルトは何やかんや人を蘇らせる際に必要な二つの要素を見つけ出した。それが肉体と魂の存在だ。」

「肉体と魂ですか?」

「特に魂の方が重要でな。アルベルトが言うには、生物が生物足らしめんたる要素の中核こそが魂なんだとよ。それこそ、魔物だろうと人だろうとな。」


 生きとし生ける物に魂があるのは、カルロ教の教えにもありましだが、それが魔物までなんて暴論があるのは驚きです。

 昔から魔物は悪しき者であり、魂無き背徳者と言われてきましたから。


「・・・・ふ、ふぅん、なるほど。」


 ユミスには理解出来たようです。

 私には納得出来ない話なのですが。


「馬鹿は黙ってろ。お守りがいねぇんだから、静かにな。」

「ぬぐぅあ!?」


「ユミス・・・・。」


 またこの子は見栄を張って。


「話戻すぞ。所がその魂って物が厄介でな。魂はかなり不安定な物らしい。肉体を離れたソレは個体差はある物の、長くて一時間程度、短ければ離れて直ぐに霧散して世界に還元されちまうんだと。だから、死んでから時間が経ち過ぎてる奴だと、仮に蘇生しようと肉体を再生しても魂の無い肉塊が出来上がるだけで、蘇生が成功する事は無いらしんだ。」

「それなら、レイベウロスなんて大昔に生きた人を蘇生するのは・・・・無理なのでは?」

「だから言ってんだ。あれは、レイベウロスの姿形をしている別物なんだよ。」

「そんな━━」



 それなら、どうしてあの男はこうして対峙出来るのでしょうか?


「そう不思議そうな顔すんな。あのレイベウロスにも、魂は入ってるんだ。本人の物じゃないけどな。」

「本人のじゃない?」

「アルベルトが考えたのは、魂のあり方だ。どうやって、どうして、個人の人格が生まれる?魂に個性が宿る?元々の性質か?いや、違う。環境、そして経験だよ。人に性格や個性と呼ばれる物が生まれるのはな。」


 私の背中に冷たい物が通った気がしました。

 どうしてかは分かりませんが、それは直ぐに分かる筈です。

 ロイドの言葉で。


「アルベルトは、他人の記憶を利用する事を考えた。魂に刻まれた、変わる事の無い記憶をな。蘇生したい人物に対する記憶、挨拶した、会話した、すれ違った、噂を聞いた、見た、触れた、何でも良い。蘇生対象に対する記憶を元に、その人物の人格や行動原理を推測し、それに合った人格を形成する。それが、アルベルトがやった事で。これからやろうとしてる事だ。」


 その為に、その為に、必要なのでしょう。

 魂を一つ作る為に魂とその記憶が。


「そう言った記憶は、勿論多い方が良い。多ければ多いだけ対象に対する情報が増えていくんだ。万も集めれば、それなりに近づくんじゃねぇか?その死んだ誰かによ。」


 ロイドの言葉にユミスの顔色が青くなり、肩に掴みかかりました。


「ま、待ってよ!ロイド!それじゃ何!?この集団暴走(スタンピード)は誰かに仕組まれてて、その誰かは魂欲しさに、たった一人を蘇生する為に、街の人達を殺そうとしたって言うの!?」

「そう言ってる。」

「ふざけないでよ!!そんな事の為にっ!」

「落ち着けよ。」

「落ち着ける訳無いでしょ!何人、いったい何人が死んだと思ってるのよ!!そんな、そんな事の為に、いったい何人が━━━」

「落ち着けっ!!今はそんな事言ってる場合じゃねぇんだ!!」


 ロイドの怒鳴り声にユミスが顔を歪ませ、声を詰まらせました。

 静かになったユミスの頭にそっと手を置くと、ロイドは声を和らげて言います。


「恨み言も、泣き言も全部終わってからだ。今は、あの偽物(レイベウロス)を倒さなくちゃなんねぇ。」

「っ!・・・わ、分かってる、けど。」

「これ以上、誰も死なせねぇ為にお前が動いた。シェイリアが、拳竜の奴等が、街の連中が動いた。それに今、ユーキが根本を叩く為に動いてる。だから、俺達は俺達に出来る事をやるんだ。その為に来たんだろう、ユミス? 」


 ロイドは幼い子供に言い聞かせるように語ります。


「レイベウロスの狙いは恐らくキリシマの連中だ。拳竜だけじゃねぇ。資料の経過報告書によりゃ、やけにキリシマ拳術の事を口にしていたらしい。あの豚が襲われたのも、なんかあんだろう。」

「えぇ!?あのブーギーが!?」

「驚くのも後だ。今、街の防衛線を闘ってるのはキリシマの連中が大半だ。あいつが自由になると間違い無く襲いにくる。そうなれば、やっと作ったあの防壁も流石に耐えられねぇ。確実に守りに穴が空く。後は、分かるな?」


 ごくりとユミスの喉が動きました。


「あの偽物の武神野郎を倒すぞ。これからも、生きる連中の為に。」


 ロイドはワシワシとユミスの頭を撫で回した後、銅の短菅筒のピンを引き抜きました。体に淡い光が宿ります。


「ユミスは俺との連携が出来ねぇから、邪魔になりそうな魔物が来ないよう見張っといてくれ。頼むな。」

「えっ、あ、うん!」

「さぁて!不完全な死人の成りきり野郎を倒すだけの、簡っっっっ単なお仕事だ。でも、油断だけはすんなよシェイリア!」

「勿論です。二度も遅れは取りません。」

「頼りにしてる。」

「不本意ですが、・・・こちらこそ。」


 瓦礫より這い出たレイベウロスが此方に向かって雄叫びを上げました。

 どうやら、あちらも動けるようになったようです。

 ギラギラと熱い視線と、凍てつくような殺気を感じます。


「殺す算段はついてる。仕掛けをごろうじろ、ってな。」


 らしくない不適な笑みを浮かべてロイドが剣を構え、私もそれに合わせて構えました。

 そして、それが合図であったかのようにレイベウロスが駆け出してきます。


 私は、ユーキ様からの、師匠からの、ロイドからの期待に応えたい。

 私は、あの日のユーキ様のように守れる人に成りたい。

 その為に、ここで越えさせて貰います。


「偽りの武神レイベウロス!キリシマ拳刀術師範代シェイリアが、いざ参ります!!」

ユーキちゃんと服飾店のおっさんが駄弁るだけ

コーナー



カランカラーン


ユーキ「ちわーす。糸買ってくださーい!」ニコー

服のおっさん「おぅ!ユーキちゃんか、いらっしゃい」


ユーキ「何時もより、ちょっと多いけど」ヨッコイショ―

服のおっさん「本当だな。三束程多いな。まぁ、ユーキちゃんが仕入れてくれる糸は上質だから、買い取るのは全然構わないんだけどな━━━ん?これは」


ユーキ「お!気づいた?この余計な分は少し撚り方変えてみたんだ!二色でやってんの!」

服のおっさん「ほぅ。光沢のある糸と、艶無しの純白な糸で撚り合わせてあるのか。中々アクセントがあっていい。」

ユーキ「だろ?」ドヤァ

服のおっさん「けどなぁ・・・・。これは使い所が難しいな。悪くは無いんだがなぁ」

ユーキ「むぅ。そうか」ガックリ


服のおっさん「まぁ、でも良いもんだ。何時もの値段に少し色も付けよう。」

ユーキ「やったー!」フー


◇━◇


服のおっさん「そうだユーキちゃん。この後暇かい?」

ユーキ「むぅ?━━━ん、暇と言えば暇かなぁ。道場は、俺が居なくても大丈夫だろうし。」

服のおっさん「道場?」

ユーキ「うん、暇!暇だな!うん」

服のおっさん「そっか。それは良かった。実はな、ウチの家内がユーキちゃんと話してみたいと言っていてね、良かったらオヤツでも食べながらお茶しないか?なんて言ってた物でね」


ユーキ「オヤツ!」

服のおっさん「はっはっはっ、家内が帰るまで、まだ少し時間がある。ジュースでも出すから奥でお話しでもしようか?嫌いでなければ縫い物のコツなんて知りたくないかい?」


ユーキ「縫い物のコツ!」

服のおっさん「はっはっはっ。嬉しいねぇ、縫い物にこんな反応しめしてくれる子が、家の馬鹿と友達だとはねぇ。いいよぉ・・・、ごふんごほん」

ユーキ「?」


◇━◇


ユーキ「なるほど、なるほど」メモメモ

服のおっさん「本当にユーキちゃんは良く話を聞いてくれるね。おじさん嬉しいよ」


ユーキ「最近はやる事なくてさ。趣味みたいなもんだよな、縫ったり、編んだりとかすんのが。道場でもシバくだけだし」メモメモ-

服のおっさん「道場?」


ユーキ「つーか、話だったらあいつにすればいいじゃん?跡継ぎだろ?」ジュースズズー

服のおっさん「そうなんだけどねぇ・・・。ウチの馬鹿息子は手伝いなんて録にしないし、遊んでばっかりでね。将来心配だよ」


ユーキ「今だけだと思うけど?」プハッ

服のおっさん「はっはっはっ。そうだね」


ユーキ「そのうち彼女とか出来たら、真面目になるよ。安定した職じゃ無いと結婚とか難しいだろうし」ズズー

服のおっさん「彼女か・・・・。」じぃ


ユーキ「・・・・?」クビコテン

服のおっさん「いや、なんでも無いよ」

(嫁になってくれないだろうか)


◇━◇


ただいまー


服のおっさん「お?どうやら家内が帰ってきたようだ」

ユーキ「おぉー!オヤツー!」


あら?この声、もしかしてユーキちゃんかしらー?


服のおっさん「そうだぞ、お前を待っててくれたんだ」


きゃぁー本当?!直ぐにいくわ、荷物を片付けたら直ぐにいくわ!


ユーキ「おっさん!俺手伝ってくる!」ドタドタ

服のおっさん「そうかい?済まないねぇ」


きゃぁー!ユーキちゃんね?可愛いわー!

むぐぅお!?

ウチの馬鹿息子のお嫁さんになってウチの娘にならない?馬鹿だけど、そこそこイケメンよ?

ぬぐぅ、むぅー!?


テル「ただいまー」

服のおっさん「おう。馬鹿息子。嫁ちゃんきてんぞ」

テル「はっあぁ!?」


むぐー


◇━◇


ルゥ「ユーキさんは、私の妹ですのに」

ユーキ「俺の姉ちゃんになりたかったら、金貨1000万枚から持ってこい」


ルゥ「直ぐに集めてやりますよ!!」イラッシャイイラッシャイ!ヤスイヨーヤスイヨー!

ユーキ「露天で商売してるうちは当分無理だろ」


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