召喚士されし者 92・策と力
どうもどうも。
偉大なる御方に絶対の忠誠を、な、えんたです。
オーバーロード、アニメ化、第二期制作決定おめでとう御座いますぅぅ!!やったー!
なんやかんやと色々言われる作品ですが、俺はweb版も小説版も大好きです。web版の続きがみたい物ですが、まぁ、無理なんでしょうね。残念。
オーバーロード程、と言う訳にもいきませんが、愛される物語をつくれるよう、努力していきたいと思う今日この頃です。
さて、今回はロイドさん視点でのお話です。
では
レイベウロスを倒す。
決意を持ってそれを口にしといてなんだが、無理だと思ってしまう自分もいた。
覚悟も決めた、道具も揃えた、策も講じた。
加えておちびが与えたダメージもある。
準備は万端だ。
だが、この男を前にすると全てが無駄な努力だったのでは無いかと、そう自信がすっ飛んでいってしまうのだ。
それ程までに、この化物は強い。
紛い物だったとしても、間違い無く英雄と呼ばれる存在なのだから。
迫るレイベウロスに出来る策など、そう多くは無い。
床にトラップを仕掛けるか?空気中に魔術式の機雷を置くか?
答えは、どちらでも無いだ。
レイベウロス相手に、なんの前触れも無く、そんな小手先の策が通じる筈が無い。
「シェイリア!!押さえろ!!」
だから、これしか無い。
シェイリアは此方も見向きもせず一度頷くと、更に加速しレイベウロスに向かっていく。
そして、二人は衝突する。
おおよそ人がぶつかり合う音とは思えない程の音を響かせて、豪腕と豪腕が交差する。
だが、その一撃はどちらも致命傷には至らず、直ぐに追撃の蹴りや拳が大気を揺るがしながら交差されていく。
遠目から見てても寒気がするが、今回はあの暴威の中に飛び込まなくてはいけない。
嫌だ、と本能が警戒音を掻き鳴らすが、今回は、今回だけは、逃げる訳にはいかない。
「たく!糞っ!怖ぇ!怖ぇよ!糞ったれがよ!!」
つくづく俺は冒険者には向いていない。
そう思いながらも、俺はやるべき事に俺は手を伸ばした。
「シェイリア!!シ!後退っ!!!!」
シェイリアは俺の声を聞くと、直ぐ様後ろに跳んだ。
俺の指示通り、4時の方角へと真っ直ぐに。
信じて貰える事は有り難いが、これが成功しなければ頭を抱える事になるかと思うと憂鬱だ。と言うか、頭を抱える余裕があれば良いが。
俺は手にした魔道具に息を吹き込む。
一見すると笛のように見えるが、これは竜のブレスを体現しようとして生まれた、[砲火]と言う火炎魔法が飛び出す魔道具だ。
ブォッ!!
勢いよく吹き込むと、甲高い音と共に笛の先端から真っ赤な炎が渦を巻いて飛び出した。
だが、レイベウロスにその炎は当たる事は無かった。
突き出した拳の拳圧で反らされたのだ。
反らされた炎がレイベウロスを避けるように闘技場を走る。
熱気が辺りに満ち溢れ、額に汗が滲んできた。
かわされる事は予想していたが、こうもあっさりやられると気持ちが一気に落ち込む。正直、もう帰りたい。
まぁ、そう言う訳にもいかないんだけどな。
直ぐに気を取り直した俺は、次の一手を仕掛ける。
シェイリアがレイベウロスを引き付けた僅かな時間。その隙に仕間に合った仕掛けは三つだけ。
挨拶代わりの一発目は上々。
あとは、慎重に仕掛けを起動していくだけだ。
一つ目の仕掛けであるそれの遠隔起動装置を手に、それを託してくれた女の顔を思い浮かべた。丸眼鏡を掛けた、あの雑貨店の変態店主だ。
「ちゃんと作動してくれよ。頼むぜ、ヴァニラ。」
祈るように呟いた俺は、キーにかける指に力を込める。
キーは大した抵抗もなく、「カチッ」と言う音を辺りに響かせた。
◇━◇
「餞別、だ?」
エルキスタ行きを決めた翌日。忙しなく荷造りをする俺の目の前に立つ一人が言った。こんもりと道具が積み上がった木箱を持つ、ユーキ曰く変態のヴァニラだ。
「そう。餞別。」
「・・・・金なんてねぇぞ。」
「知ってるわよ。あんた、ここに来てから何もしてないじゃない。寝てるか、ユーキとジャレてるか、近所の子供と遊んでるか、寝てるか、寝てるか、シェイリアに引っ張り回されてるか位しかしてないじゃない。」
「・・・・あれ?思ったより、俺忙しかった?」
「大人なんだから、その忙しさの方向性は間違ってるでしょ。お金を稼ぎなさい、お金を。」
これはごもっともな話だった。
なにせ、ナダで過ごした日々の半分近くは、ベットかソファーに寝そべっていたのだから。
思えば、ユーキ達と出会う前の方が働いてた気がする位だ。
「それにしたって、どんな風の吹き回しだ?急によ。━━━あれか。よりを戻したくて点数かせ━━」
「それは無いわ。そもそも、あれは何かの間違いだから。今でも、なんでコイツに、と思ってるわよ。私の初めてを返しなさいよね。」
「無茶言うなよ。・・・・じゃぁ、なんでだ?」
「ユーキちゃんに何か無いようによ。」
ああ。そういやコイツ、おちびにメロメロだったな。
「そう言う事か。でも、それならユーキに直接渡せばいいだろ?」
「あんたの方が、道具の使い方分かるでしょ?お世辞にも、ユーキちゃんは考えて行動するタイプには思えないし。」
「まぁな。おちびは、基本拳で解決するタイプだから。」
「喧嘩っ早いユーキちゃんみたいな子より、小狡いあんたみたいな方が道具は活きんのよ。」
小狡いってお前。
まぁ、別にいいんだが。
「それにしたってな・・・・。こんなに持てねぇぞ。」
ヴァニラが持ってきた木箱を受けとり中を確認する。
かなりの数の道具が詰め込まれていた。
「携帯出来ねぇ程持ってても仕方ねぇんだよな。馬車に置いとくにしたって、無限に詰める訳じゃねぇしよ。正直、食料とかで一杯だぞ?」
そう俺がぼやくと、ヴァニラは木箱の中からポーチを取り出した。ベルトが付いている所から、腰に付けるタイプの物だろう。
「これがあるから、問題無いわよ。」
「はぁ?」
「これ、限界積載量50キロの魔法鞄なのよ。」
「はぁ!?」
魔法鞄と言うだけでも驚きだが、それを俺に預けようとする事も驚きだ。
魔法鞄は貴重品だ。
製作出来る魔道具技師が非常に少なく、出回っている数も等しく少ない。その為に希少性が高く、値段がどうだとか以前に手に入りずらいのだ。
その上、価格自体も馬鹿にならない。
王立の魔道具店であれば、限界積載量50キロの魔法鞄で正規価格は金貨10枚程。これは一般的な家庭における年収の3分の2にあたり、当然、普通に生きる者達にとって気軽に買える額では決して無いのだ。
因みに、昨年の俺の年収と同額である。
「いいのか?返すとは限らねぇぞ?」
「返さなくていいわよ。あげるわ。」
「はぁ?!」
「元々、マナーのなってないアホから迷惑料代わりにむしりとってやった奴だし。それに、結構ボロだしね、あげるわよ。」
言われた通り、魔法鞄は薄汚れ草臥れていた。
だが、魔法鞄なんて物は能力さえ残っていれば、それなりに売り物にもなる。人にくれてやる物でも無いのだ。
俺の怪訝そうな視線に気がついたのか、ヴァニラが諦めたように溜息をつく。
「心配なのよ。」
「はぁ。」
「東部にいくでしょ?あっちは治安も良くないし、そろそろ繁殖期だから魔物の集団暴走もあるだろうし。」
「あぁ。確かに、東部はこの時期に荒れるって聞くな。」
「・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・はぁ。」
またしても溜息をつかれた。
「ユーキちゃんは、きっと自分でどうにか出来る。シェイリアちゃんも、まぁ、大丈夫でしょ。なら、あんたは?」
「・・・・・あ。これ、俺の為に?」
「鈍い。」
「悪かったな。」
相変わらず、コイツのこう言う所は読めない。
普段は冷たい位だっていうのに、急にこれだ。
惚れてんのか?
「まぁ、いいや。借りとく。」
「あげるって。」
「いや、借りとく。その内、返しにくるさ。」
「・・・・そう。それでも良いけど。」
貰いっぱなしっても、悪いしな。
ただでさえ、コイツには借り作りっぱなしだと言うのに。
「それはそうと、道具の説明してくんねぇか?どれが何やらさっぱりなんだが・・・・。」
「いいわよ。どれから聞きたい?」
そう言いわれ、俺は一番上に乗ったそれを手に取った。
「まずは、これだな。なんだこれ。」
「あぁ、それ?それはね━━━━━━━」
◇━◇
ボッ!!
破裂するような音と共に液体が辺りに撒き散らされ、レイベウロスはそれに濡れた。
俺の第1の仕掛けである、水製魔道具から暴発した水流は見事に炸裂したのだ。
「っ?!」
派手な割りに大したダメージも与えないこの一撃に、何の意味があるのかまでは分かっていないだろう。一見すれば、掛かったのは只の水なのだから。
レイベウロスの表情からも困惑の色が見える。
俺はその困惑するレイベウロスに向け、第2の仕掛けである設置型魔道具 [投射網]を起動させる。
咆哮をあげた魔道具から、銀の網が風を切って飛び出す。
投射網から吐き出された銀の網は、鋼より硬く絹のような柔軟性のある特殊な物だ。主に小・中型級の魔物を捕獲する為に使われる代物であり、人に対して使う物でも無いのだが今回に関してだけ言えば全然足らないだろう。
眼前まで迫った網に対して、レイベウロスがとった行動はやはり普通では無かった。
避ける訳でも無く、慌てる訳でも無く、ただ腕を振り下ろしたのだ。
正直、己れの目を疑った。
なぜなら、空中を飛んでいた銀の網が真っ二つに裂け、レイベウロスを通り過ぎていったのだから。
化物だ化物だと思っていたが、空中にある網を素手で切るかね?普通?まぁ、対峙している相手は普通の垣根を飛び越えた奴ではある訳なのだが。
うんざりしながら見ていると、網を切り裂いたレイベウロスと視線が合った。
「お前あの時の男か!ははっ、そうか!殺しにきたか!!弱き者ぉ!」
嬉しそうに口を歪めるレイベウロスは、ぐっと拳を固めた。
「あれぇ?覚えてくれちゃってたの?!頼むから、今からでも忘れてくれねぇかな?」
「ははっ!四の五の言わずに来い!来ないなら、こちらから行くぞ!!」
それだけ言うと、俺の返事も待たずにレイベウロスは駆け出した。勿論、俺に向かってだ。
前回と同じく一瞬で間合いを詰められるが、今回は既に対策済みだ。
足元に仕込んでいた魔道具[突風]を起動させ、自分の体をはね飛ばしてその場から離脱する。吹き上がる風が思っていたより出るのが遅く、危うくぶち殺されるかと思ったが、拳は鼻先を掠めていくだけだった。
「ほぉ!これをかわすか!」
感嘆の声をあげたレイベウロスは、空に飛び上がった俺を見つめる。
「だが、そこまでだ。」
レイベウロスは身構え、迎撃の体勢をとった。
言われた通り、空中に投げ出された形になった俺は、これ以上とれる手段は無い。
もし今、この瞬間、一人きりであればの話だが。
「レイベウロス!!」
レイベウロスの直ぐ側で女の声が発せられた。頼りになる、相棒の声だ。
「小娘ぇ!!」
シェイリアに気がついたレイベウロスは直ぐに体勢を整えようとするが、片腕を潜り込ませる事が精一杯だったようだ。
ゴゥッ、と言う風きり音と共にシェイリアの右足が突き刺さる。片腕のみの防御では威力を殺しきれなかったのか、僅かに顔を歪めたレイベウロスの体が浮き上がった。
俺はその光景を眺めながら、無様な着地と共に地面を転がった。
息をついて体勢を整える頃には、シェイリアとレイベウロスが筆舌に尽くしがたい豪腕の交換会を披露している所だった。
決して余裕があるとは見えないシェイリアの姿に、思わず足元に広がった最後の仕掛けに目をやる。
辺りに一面を濡らしていた筈のソレは、最初に仕掛けたソレは、俺の目論み通りにその姿を変えていた。
「きた!」と心の中で歓喜の声をあげた後、直ぐに視線もあげた。
未だレイベウロスの動きに変化は無い。無いのだが、それも時間の問題だ。
レイベウロスが被った水は少し特殊だ。
魔道具自体は、中規模行軍における給水を目的に作られた水の精製魔道具で、水の精製量が調整出来ない使い捨てな不良品である以外は特に変わった事が無い代物である。精製される水も多少の不純物が混ざる物の、なんのへんてつもない水だと言えるだろう。
当然、そのまま使った訳では無い。
俺はこの道具にある細工を施し、精製された水に[グルークル]と呼ばれる粉末が混入するようにしたのだ。
グルークルはとある薬草を特殊な薬液に漬け、それを乾燥させて粉末にした物だ。切り傷の応急薬として使われる事もあるが、水に溶かし接着剤として使用される事が最も多いだろう。
俺がグルークルに期待したのは勿論、接着剤としての接着力。それと極めて高いその速乾性だ。
パキッ。
不意に、レイベウロスの体から音がした。
何かが割れるような音だ。
そして、その音につられるように、レイベウロスの動きに異変が訪れた。若干、ほんの僅かではあるが、その動きにキレが無くなってきたのだ。
俺がばら蒔いた接着剤は普通の物では無い。
通常濃度10倍の特製接着剤だ。乾き硬化した際の硬度は、金属にも匹敵する程の物になる。
既に接着剤は硬化を始めた。
火炎により乾燥した空気が乾燥をより早め、最早止められない所まで来ている。
殺気の欠片も無いそれを、驚異と見なさず油断して全身に浴びたレイベウロスは今、全身を隈無く鋼鉄で締め上げられているような状態だ。幾ら化物と言ってもなんの影響も受けない訳が無い。
勝利の天秤が傾くこの瞬間。明らかに動きが遅くなったレイベウロスを見て、俺は声を張り上げた。血を吐くような、心からの叫びだ。
「やれっ!シェイリア!!!」
俺の言葉を受け止めたシェイリアは、振り返る事もなく足を踏み込んだ。
レイベウロスの射程圏内へと向けて。
ユーキちゃんがメイドさんになるよ
の
コーナー
ユーキ「御主人様、御主人様!」トコトコー
ロイド「・・・・あ?なんだ?俺に言ってんの?」
ユーキ「御主人様、御主人様!」マワリチョコチョコ
ロイド「なんだよ。あ?メイド服なんかも着てんのか。本格的だな。どうしたー?」
ユーキ「奉仕してやるから、対価をよこせ」クビコテン
ロイド「報酬への圧倒的要求力!・・・で、なにが欲しいんだよ?」
ユーキ「全てだ、貴様の全てをよこせ!」ワーハッハッハッ
ロイド「悪魔じゃねぇか。メイドの癖に冥土に送る気満々かよ」
◇━◇
ユーキ「御主人様ー!お茶を御入れしましった!!」キャーアブナイー
ガチャン パシャー
ロイド「ぐぅあぁぁっ!?あ、あっつい!」
ユーキ「申し訳ありません御主人様!!」シュビッ!
ロイド「あっつー!馬鹿!火傷するかと思ったわ!つーか火傷したわ!どうすんだよ、服がビチャビチャなんだが・・・・」
ユーキ「お拭きします御主人様!!」シュビッ!
ロイド「お、おお。そうしてくれ」
ユーキ「オラオラオラ!!」ゴシゴシゴシゴシー
ロイド「あだだだだっ!雑っ!雑過ぎる!息子が!俺の息子が擦りきれちゃうから!!!」
やめろー
◇━◇
ユーキ「御主人様、御主人様!」トコトコー
ロイド「げぇ!?きたか!冥土ぉ!!!」
ユーキ「お掃除、いたしますですっ!」ムン ぶぉん!
ロイド「あっぶねぇ!?箒振り回して、何を掃除するつもりだ!」
ユーキ「虫!」
ロイド「ほぉ!?ならなんで、俺を見るんだこらぁ!」
ヴァニラ「え?だってあんた、穀潰しの金食い虫でしょ?」ソファーデダラーン
ロイド「なるほど」
ぎゃぁー がしゃぁん
◇━◇
ユーキ「御主人様、御主人様!」トコトコー
ロイド「殺せよ!もう、いっそ殺せよ!」
ユーキ「お疲れの御主人様に、マッサージのサービスです!」シュビッ
ロイド「ま、マッサージ?」
ユーキ「はい!凝り固まっているソレを揉みほぐしてご覧に見せましょう!」ゴリッ ゴキンゴキン
ロイド「柔らかくは、なるだろうな。取り返しがつかない程に、な!!!」
だだだだー 逃げるなぁー 来るなー
ワイのワイの
ヴァニラ「今日も平和ねぇー」
◇━◇
ルゥ「メイドさん、私の妹、可愛いメイドさん!お茶を用意して下さいな!」
ユーキ「ティーポットと茶葉は裏町で安いの売ってるぞ。後、水は裏庭に井戸があるから好きにしろ」
ルゥ「水すら出して貰えないっ!?」




