召喚士されし者 73・勝利の美酒はお好きですか?
合コン回?ですかね
エルキスタの南区にある、とある大衆食堂[アグリール食堂]。
観光客より地域住民に人気のある、地元民御用達の食堂だ。
安く、旨く、サービスが良い。ついでに看板娘も可愛いらしい。生憎と今夜は見当たらないようなのだが。
そんな食堂に、俺は来ていた。
右隣はいつも一緒、王喰らいのシェイリア。
左隣は知り合ったばかりの、天然受付セルカ。
此処までいい。
いいだろう。女の子同士だものな。
若干俺の心は男よりだけど、それでも女の子だもの。
「えーーー・・・、よぉ、その、ユーキだよな。久しぶり。」
フリークぅぅぅぅ!!
貴様何故ここにいるぅ!!
この間、シェイリアに変に誤解されてるってのに、勘違いを助長させるような出会いはノーセンキューだぞ、こらぁ!
「・・・・・・・。」
んで、このオッサンは誰だ!!
すげぇこっち見てくんだけど!?
なんだ、これ。こえーよ。良く分かんないけど、なんだこれ、背筋ゾクゾクする。なんだろう、気持ち悪い感じだ。
「ユーキ様、こちらキリシマ拳岩術のガンレイさんです。」
またキリシマの関係者か!?
こいつら、こんなんばっかりだな!
「・・・・・・・。」
んで、なんか言えよ!
こっちが気をつかうわ!
シェイリアの拳王杯優勝を祝い、食事会を開く事になった。
セルカの奢りと言う事もあって浮かれたままセルカの案内に着いていき、呑気に何を食べるかなぁーなんて考えていると、案内された先に二人の男がいた。
奴等は静かに食堂でスタンバっていた。
やられた。
フリークの顔を見た瞬間、この間の風呂場での出来事を思い出し、シェイリアのにやつき顔が頭をよぎった。
くそぅ。
「えーーそれではぁ、今日はシェイリアさんの優勝を祝いましてぇ、ささやかながら祝勝会をしたいと思いますぅ。私が奢っちゃいますのでぇ、今日はじゃんじゃん食べてってくださぁーい!シェイリアさん改めまして、おめでとうございますぅーー。」
セルカの音頭で5人のジョッキがかち合う。
この世界での乾杯は、乾杯と言わず無言でジョッキをぶつけ合うのだ。人によってはしつこくガチガチとぶつけてくる事があったり、馬鹿みたいに強くぶつけてくる。結果、一杯目は大体、床やテーブルに飲み込まれるのだが、これに怒ってはいけない。お約束という事らしいので、極力笑って済ませるが吉なのだ。
今回はそんなアホがいなくて助かった。
軽くぶつけ合うだけで、直ぐに飲み物を口にする事が出来た。
以前、ナダでお呼ばれしたイニスのお誕生日会は酷かったからな。
イニスの親父は建築の職人なのだが、まぁ、馬鹿みたいに乾杯が荒いのだ。乾杯とかでジョッキを粉砕するのだ。床がとかテーブルがとかそんなレベルじゃない、乾杯を受けた人が骨折して全身酒まみれにされていたのだから。
祝い事で無礼講な部分はあるけど、あれを片付ける奥さんと乾杯相手が可哀想でならない。
俺は間違っても職人の嫁にはならない。
そう固く己の心に誓った。
・・・・それにしても、上手いなこれ。エーラって言ったっけ?
口に含んだフルーティーな香りと甘さと。
仄かに舌を刺激するシュワシュワ。
とてもお酒とは思えない、ジュースだよこれは、旨い。
だが飲み過ぎには注意しなくてはならない。
アスラ国に飲酒に関する法令がないとはいえ、子供の飲み過ぎ、と言うより子供の飲酒は成長に悪影響だからな。成人からっていうのがローカルルール的な所があるし・・・。
それに、酔ったところで騙されるのはもう懲り懲りだしな。
そんな訳で俺は薄めた果実酒をチビチビ飲んでいるんだが、隣のセルカは早くも5杯目の果実酒に突入中だ。
こいつは料理がくる前に出来上がりそうだな・・・・。
料理が来るのをただ待つのもアレなので、目の前にいるキリシマ関係者と話してみる事にした。
さっきから、チラチラ見られてうっとしいので、その辺も含めてがっつりと話し合いをしようと思う。
「えーと、キリシマの人。」
「!!・・・・・・あ"・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
はい、話し終わりー。
次いこ、次。
「という訳で、フリーク、何してんの?こんな山奥で?」
「?いきなりだな。相変わらず子供のクセに遠慮のない奴だ。親の顔が見てみたいぜ。」
「ぬかせ。プラプラしてる奴に言われたくないね。な、シェイリア!」
俺がそう声を掛けると、少し顔の赤いシェイリアが小首を傾げた。
可愛らしいそのお口をパンパンに膨らませて。
・・・・料理、届いてたか。
「ふゅみまふぇん。きいふぇまふぇんでひぃは!」
「あー別に良いけどな。シェイリアのお祝いだし。でも、ちょっとでいいから俺にも分けてくれよ。」
「ふぁひ!」
差し出されたのはやはりアレク芋だった。
ふかしたアレク芋だ。
これは何処にでもあるな。
「・・・まぁ、なんだ。話しは戻すけどよ。ここに来たのは武祭が開かれるって言うからだ。出てみようとも思ってたんだが、色々面倒そうで止めた。こう言うとシェイリアさんには悪いんだけどな。」
「はぁー。そっか。」
「ふぁ。」
モグモグしながら話さないの!シェイリアさん!
「シェイリアさんって、結構、その食いしん坊?なんだな。」
「普段はそんな事ないぞ。ちょっと酔って、雑になってるだけだ、生きるのが。」
「え!?それ酔ってっんのか!つか、生きるのが雑って。」
「食う、寝る、飲む。今、シェイリアの頭の中にあるのはそれだけだ。」
「ふぉんふぁほおとふぁいひぇふよ!!」
「モグモグしないの、ごっくんしてからにしろ。」
「ふぁい。」
この子は・・・・。
つか、こんな状態のシェイリアと、俺ベロベロになるまで飲んでたのか。よく、無事だったな。お持ち帰りされるどころか、奴隷落ちも夢じゃないレベルだよ。
「まぁ、祝いだから。この子のお祝いだから。無礼講と言う事で。」
「まぁ、それは良いけどよ。」
そんなふうに、フリークと当たり障りのない会話を続け、食いしん坊になったシェイリアをアレク芋で餌付けする。
注文していた料理がようやくテーブルに並び始めた頃、隣のセルカが席から立ち上がり、ジョッキを掲げた。
「彼氏が欲しいですぅ!!!!」
魂の叫びだった。
それだけ叫ぶとまた席に戻り、テーブルに項垂れた。
なんかシクシク言い出して。
「彼氏ぃー彼氏ぃー。年収金貨100枚の彼氏ぃーが欲しいぃーですぅ。イケメンで土地持ちで、実家に縛られない、農家以外の彼氏が欲しいですぅー。」
「そうかぁ・・・・。年収を諦めれば、いない事ないと思うぞ。ほら、ただのイケメンなら、ここにいるし。しかも強いぞ。」
「ユーキ、俺を売るな。」
バン、とテーブルが叩かれる。
「嫌ですぅー!確かにぃフリークさんはぁ、闘技場の他の職員にもぉ人気ですけどぉ、フリークさんはぁ、仕事もフリーじゃないですかぁ。結婚したら大変そうだからぁ、嫌ですぅ。あ!おねーさん!おかわりくださーい!ジョッキ二つで!」
仕事フリーって。
「えっと、そのフリーク、ごめんな?」
「ユーキ、勝手に紹介して、勝手にフラレさせないでくれ。後、なんだその憐れみに満ちた目は。」
いや、こんなあっさりフラレるとか思って無かったからな。
「それにな、俺にもその、好きな、つーか、気なる人つーか、まぁ、あるんだよ。」
フリークはそう言って、チラッとシェイリアの方を見てから、ジョッキの中身を飲み干した。
一瞬、シェイリアか!と思ったが、いつからいたのか看板娘さんがそこで注文をとっていた。
おお、可愛いっちゃ可愛い。
「止めとけ、フリーじゃ無理だ。」
「いや、少しは応援するとかだな・・・・。」
バン、とテーブルが叩かれる。
またか、と思ったが。今度は反対方向からのテーブルバンだった。
「ユーキ様の事でふぅね!!私、応援しまふっ!さぁ、ふぇを繋ぎまひょふぅ、さぁユーキ様手を、フリークさんもふぇを出して下ひゃい!」
俺の手を掴み、フリークの手を掴み、それを握り合わさせるシェイリア。凄く嬉しそうにウンウンと頷き、酒を飲み、料理を食べ始めた。
「・・・・放せよ。」
「ああ。そうだな。」
ゴシゴシ。
あ?なんだよその面。
今これをやっとかねーと、隣の子が勘違いを加速させていくんだよ。泣くなよ。嫌いじゃねーよ、人としては。ほれ、手羽先やるから。
落ち込み気味のフリークを手羽先で餌付けしていると。
バン、とまたテーブルが叩かれた。
見たくなかったが、取り合えず音のした方向を見てみた。
キリシマ関係者がめっちゃこっちを見てた。
何これ、恐い。
キリシマ関係者は岩のような顔を俺の髪のように真っ赤にさせ、此方を睨むように見続ける。
俺は恐らく友達であろうフリークの頬を手羽先でペシペシ叩いた。
「おい、おい、フリーク。落ち込んでる場合か。ツレの奴が俺の事めっちゃ睨んでるんですけど、止めて欲しいんですけど。」
「あ?・・・・おお、本当だ。どうしたガンレイ?」
フリークの言葉にガンレイと呼ばれた男は、「あ"」と答えた。
それで終わりだ。
「・・・・で?」
「で、て言われても。あれは「あ"」以外意味なんてないだろ。」
「暗号とか合図とかじゃないのか?」
「そんな事をするほど仲良くねぇ。」
「なんで連れてきた。」
「シェイリアさんと手合わせする約束してたから、それでな。」
ヒソヒソとフリークと話し合っていると、不意にガンレイは立ち上がり、ぐいっと俺に顔を寄せてきた。
俺の目と鼻の先まで近寄ると、ギラギラした目つきのまま鼻息を荒くする。
貞操の危機を感じた俺は身を引こうとしたが、丸太のような太い腕で肩をがっしり掴まれ逃走に失敗した。
それから無限とも思える時間見つめ合い、フリークの「おい」っという声がかかると、漸くガンレイが口を開いた。
「俺の嫁になってくれ!」
「絶対嫌だ!!!!」
考慮の余地は一切無かった。
ユーキちゃんが料理するってよ
の
コーナー
ユーキ「はい、ユーキちゃんお料理教室が始まるよー。皆集まれー」
ロイド「わーい。・・・・って俺だけかよ」
ユーキ「犠牲は少ない方がいいだろ」
ロイド「畜生だな、おちび」
ユーキ「今日は皆大好き、アレク芋のふかしを作るよー」
ロイド「それでミスしたら、もう何もつくるなよ」
ユーキ「大丈夫ー、・・・・多分」
ロイド「何でだよ、ふかすだけだろ!」
ユーキ「はい、出来ました。」
ぐちやぁー どろどろ もぁぁー
ロイド「食べ物の音じゃねぇ!」
ユーキ「食べ物が音を出すわけ無いだろ」
ロイド「出てんだよ!現に今、この場で!」
ユーキ「お手伝いのシェイリアー。ロイドに、この、その、あれを食べさせてあげてー」
シェイリア「はい。分かりました」
ロイド「このとか、そのとか、あれとか言うやつを食べさせるなよ!」
シェイリア「ロイド!その、頑張って下さい」
ロイド「止めろ!なんだその、戦地に向かう人に向ける悲しい目は!」
シェイリア「アレク芋の調理方にあんな、非人道的な方法があったなんて、ある意味画期的です」
ロイド「それ、食ったらあかんやつだ」
ギャーギャー
ルゥ「ううう、お腹減りましたねぇー。あっ、こんな所にお芋!」
ぱくっ
ルゥ「ふぐぅ・・・・」ばたり
◇━◇
ラーゴさんとユミスのいちゃいちゃ
ユミス「ラーゴー、耳掻きしてー」
ラーゴ「えー、また?いい加減自分でやってよ」
ユミス「まぁ、まぁ、いいじゃない。たまには。ほら、早く座って」ペシペシ
ラーゴ「仕方ないなぁ・・・・」こっちこいこい
ユミス「わーい」ごろーん
ラーゴ「あんまり汚れてないよ」かりかり
ユミス「うんー?そう?」ふにゃーん
ラーゴ「はい、終わり」ふっ
ユミス「反対!」ごろん
ラーゴ「えー」
ユミス「ラーゴ?」
ラーゴ「なに?」かりかり
ユミス「ゆっくりでいいよ」
ラーゴ「うん」かりかり
ユミス「ラーゴ?」
ラーゴ「ん?」かりかり
ユミス「なんでもないー」
ラーゴ「そう」かりかり




