召喚士されし者 71・赤髪の子闘技場に来る
ごめんなさい、シェイリア編あと一話続きます。
予想外です、はい。
王喰らいのシェイリア。
初戦、最優勝候補であるアルカバーンさんを征した私についた二つ名です。
誰が言い出したのかは知りませんが、二回戦に進んだ私を誰がそう呼んでいました。
二回戦、銀矛のゲイルを降した炎のワズ・グラハムとの試合。
炎のワズは完全にアルカバーンさんの下位互換の拳術家でした。
大した労力もなく早々に決着したのは、アルカバーンさんとの経験があったからでしょう。
準決勝、数年のブランクもなんのそのと勝ち進んだ鋼熊ハングリーとの試合。
終始、試合のペースはハングリーに持っていかれましたが、セルカさんのアドバイス通り長期戦に持ち込み、スタミナの切れた所に連撃を加え何とか勝利する事が出来ました。
正直、アルカバーンさんより苦戦しました。
そして決勝を控えた今、私はロビーでニョキを食べています。
モキュモキュ。
モキュモキュ。
「優勝まで後少しですねぇ。頑張って下さいねぇ。」
私の隣で、同じくニョキを頬張ったセルカさんがいます。
モキュモキュ仲間ですね。
「そうですね。優勝しなければいけませんからね。」
武祭の出場権。
これだけは取らなければいけませんからね。
「シェイリアさんが優勝したらぁ、私の奢りでご飯いきましょぅ!美味しい所、知っているんですよぉー。」
「?そうですか?・・・・それでしたら、誘いたい人達がいますので一緒でもいいですか?」
「うぇ?!・・・・えーと、何人くらいですかねぇ?」
えーと、ユーキ様とフリークさん。
取り合えず、それだけで良いですかね?
「後二人、ですね。」
「あ、それくらいだったら大丈夫ですぅ。」
ふふふ。良かったぁ。
美味しいご飯屋さんには心当たりありませんでしたし、約束した手前フリークさんに聞くのもあれでしたしね。
モキュモキュとニョキを食べていると、私の本能がなにかに気づき視線をその方向へと向けさせました。
そこには赤い髪をなびかせた、一人の幼女がいました。
少しだけローブが汚れていていますが、その神々しさは微塵も色褪せる事はありません。
見慣れたその人物に私は声を上げてしまいました。
「ユーキ様!!」
◇━◇
クイーンアイアントをほふった後、稀少な素材を剥ぎ取り、俺はエルキスタの街まで戻ってきていた。
無事依頼の報告を済ませ、無事ランク4への昇格を果たした。それとは別に、廃坑であったクイーンアイアントとの事を報告すると、ギルドマスターは死にそうな顔で冷や汗をかいていた。どうやら、クイーンは俺が思っているより相当ヤバイ奴だったらしい。
アルベルトはクイーンアイアントの件で用事があるそうなので、ギルドで別れてきた。まぁ、俺の昇格の手続きとかもあるんだろうし、大変なのだろう。
因みに、ヤヨイはロイドの元へと戻させた。
護衛再び。
暇になった俺は闘技場へと向かった。
道行く人達の話を聞けば、女の子が決勝まで勝ち上がっているらしいとの事。恐らくシェイリアの事だろう。
そんな訳で、人混みを掻き分け応援に来たのだが・・・・。
予想以上早く、シェイリアと再開出来た。
俺の名前を呼び、駆け寄ってくるその姿はワンコのようで、一瞬パタパタと揺れる尻尾が見えた。
「よぉ。優勝したか?」
「いえ!これからです!」
優勝は間違い無くする気か・・・・。
やっちゃうだろうな、勝っちゃうだろうな、と思っていたが本当に此処までやるとはな。
シェイリアさん、半年前まで普通の女の子だったんすよ?
いやだよこの子は、まごう事なき天才だよ。武神だよ、もぅ。
「あ、ユーキ様!これよろしければ!」
そう言って、シェイリアはスティック状の食べ物らしき物を差し出してきた。食べ物だと分かったのは、周りに似たような物を「モキュモキュ」と咀嚼する奴がいたからだ。
一本だけ貰い食べてみると、何とも言えない不思議な風味と小気味良い食感が口に広がった。
モキュモキュ。
うん、これ好き。
「あ、そだ。俺の方は無事にランク上がったぞ。今日からランク4のメンバーだ。」
「おめでとう御座います!」
「依頼自体は楽だったよ。一人で十分だった。」
「?依頼?」
なんだ?
シェイリアの後ろに見たことの無い横触角女がいる。
なんで真横に縛っちゃったんだ、あの子。
「あ、こちらセルカさんと言って受付けで働いてる職員の方です。」
「どうもぉー。セルカですぅ。シェイリアさんには稼がせて貰ってますぅ。えーっとぉ、妹さんですかぁ?」
妹・・・・。
「姉がお世話になってます。ユーキです。」
「いえ、いえー。こちらこそぉ。」
「ユーキ様っ!?」
シェイリアがガッと肩に掴みかかり、困った顔で迫ってきた。
ちょっとしたおふざけだ。だから、そんな目をしないでくれ。肩を揺らさないでくれ。てか、そんなに嫌か。俺の姉はそんなに嫌なもんなのか!?
そんな俺達の様子を見ていたセルカがクスクスと笑う。
「あっはははぁー。仲が良いんですねぇ。」
「まあ、悪くはないな。」
「いえ、セルカさん。仲が良いとかではないです。」
なんだとっ・・・・?!
「凄く良いんです!」
そうか・・・・まぁ、それでも良いけど。
言い直す程?
「ユーキさんは何かお仕事されているんですかぁ?なんか妙にしっかりしてるし、さっきも依頼がどうのって。」
「はい!ユーキ様はギルドメンバーです!戦士ランク4と商工ランク3を持っているんです。今日も戦士ギルドで依頼を受けてきた所なんですよ。」
商工ランク2な。
3間近とは言われてるけど。
「そうなんですかぁ。その若さで凄いですぅ。おねいさんはぁ、受付ランク3のヘッポコなので尊敬しちゃいますぅ。姉妹揃って凄いんですねぇ!」
受付ランクってなに。
受付ランク10とかどうなるだよ。
ビームとか飛ばすのか?
そうこうしていると決勝戦の時間になり、呼び出されたシェイリアが「行ってきます!」と言って走り去っていった。
残されたセルカと軽い世間話をしながら観戦席に急ぐ。
シュワシュワするコーラみたいな物とニョキを購入してだ。
セルカに案内され、職員専用の優待観戦席に行く事になった。
一般観戦席に行こうとしたのだが、一般観戦席は既に満員らしく、かなりの人が立ち見状態で混雑しているとの理由で腕を掴まれた。
戦士ランク4とは言え、子供の俺がそこに入っていくのを案じたセルカが、身銭を削って招待してくれたのだ。
観戦席代は出すと言ったのだが、シェイリアへの賭けでかなり儲かっているとの理由で断られた。
もう一回勝てば、10年は遊んで暮らせるとの事。
そんな訳でゲートを潜り観戦席に着くと、大歓声が俺達を出迎えた。もちろん俺達へ向けられた物ではない。決勝戦を前にした観客達がワイのワイの騒いでいるだけだ。
それでこの騒ぎなのだから、試合が始まったらもっと凄いのだろう。
そう思うとワクワクしてしまう。
って言うかー、武祭はこれ以上盛り上がるんだよな?なんか出たく無くなってきた。
見てる分には良いけど、出るのはキツいなこれ。
つか、めっちゃ目立つじゃん、これ。
やべ、どうしよう、これ。
まぁ、いいか。
後の事は後で考えよう。
未来の俺、頑張れ。
観戦席に座り、決勝戦が始まるのを待つ。
待っている間は、セルカに対戦相手の事を聞いたり、受付ランク10がどうなるのかを聞いたりした。
受付ランク10は、100人の話を同時に聞き分け、音より速く書類を纏め、女神の如き慈愛を持ってチケットを販売するらしい。
なんか凄いな。
「さぁ時間になりました!これより第11回拳王杯決勝戦を執り行わせて戴きます!出場者入場です!」
実況の声が会場に響き、闘技場にある入場ゲートの両脇から火柱が上がる。
炎に照らされたシェイリアが入場すると、会場が割れんばかりの声援が起こり、ドラが掻き鳴らされた。
「うるせぇ。」
思わず耳を塞ぎ悪態をついた俺を見て、セルカがふにゃっとした笑顔を向けてきた。
「ふふふ。そうですねぇ。でも、それだけシェイリアさんが期待されていると言う事ですからぁ、喜んでおきましょうよぉー!」
シェイリアが其処まで・・・・。
「なぁ、セルカ。シェイリアはお前から見てどうだ?」
「?どう、とはぁ?」
「シェイリアは期待されるだけの"モノ"があるか?強さとか、こう貫禄と言うか、なんかそう言うの。」
セルカは目を瞑り、首を傾げ考える。
「・・・・・・そうですねぇ。私は観戦ばっかりで見た感じの何となくでしかわかりませんけどぉ、シェイリアさんは強いですよぉ。あのアルカバーン選手を倒したんですからぁ。武祭でも通用する、かは分かりませんけどぉ、それでも強いですぅ。会場にいる、今声援を掛けている、その人達が期待する位にぃ、シェイリアさんは強いですよぉ。」
そうかぁ。
そんなに強くなってたのかぁ。
俺は懐から銀色に輝く印象を取り出して見た。
この印象はキリシマ拳刀術、その代表に手渡される証。
今回、武祭出場の資格証としてフューズベルトから預かっていた物だ。
フューズベルトは言った。
シェイリアにその資格があるか、それは俺が判断してくれと。
道中、シェイリアの事は見ていた。武祭出場を許すかどうか、それを判断する為に。
結局、判断仕切れず保留にしてきたけど・・・・。
「・・・・・。」
「?どうしかしました?」
「いや、別に。」
これは、俺が持ってるべきじゃないんだろうな。
そう思っただけだ。
それにしても、対戦相手のブーギーとか言う奴、太り過ぎだろ。
あれ闘えんの?強いの?
動ける豚って呼ばれてるけど、大丈夫?ねぇ。
「ブーギー選手ぅぅぅぅ!!!是非に、是非に勝って下さいーーー!!動ける豚の面目躍如を果たしてくれぇぇぇ!!万年準優勝の呪いを断ち切り、今こそ輝け星になれ!!俺の、じゃなかった。皆の仇をうってくれぇぇぇぇ!!」
実況、うっさ。仇ってなんだ、仇って。
つか、シェイリアにもなんか言えよ。
「シェイリア選手も頑張って下さい!・・・・はい、では」
一言!?
贔屓が過ぎるだろ。
案の定、会場中から「実況、贔屓するな」とか「見苦しい」とか「もう、死ね」とか暴言を投げかけられていた。
それに対して実況は。
「うるせぇ!!!お前らに俺の気持ちが分かるかぁ!!今月もう小遣いねぇんだよ!!」
と、逆ぎれしていた。
多分、シェイリアが闘った誰かに賭けていたのだろう。
いや同情はしないが。
その後一悶着あったのだろう、ドタドタしたり短い悲鳴が聞こえたりした。少しして静かになった後、実況の声が良い男の声に変わった。
「それでは、両選手、構え!」
あほな実況は忘却の彼方に飛ばし、緊張感に満ちた会場を見る。
周囲の人達も緊張感に感化され静寂が訪れた。シュワシュワの小さい「シュワシュワ」と言う音が聞こえる程に静かだ。
「始め!!」
高まった緊張感が弾け、会場が歓声に包まれる。
合図に背中を押されたシェイリアが駆け出し、決勝戦が始まった。
頑張れ、シェイリア。
俺はニョキをモキュモキュさせながら、シュワシュワをズズズと啜りながら、その姿を見守った。
「ユーキちゃん、ちょっと、その煩いです。」
「モキュモキュ。・・・うん?ごめん。」
ユーキちゃんがゴロゴロするよ
の
コーナー
ユーキ「私だ!」バンっ!!
ロイド「お前か、なんだ?」
ユーキ「暇をもて余した、ユーキちゃんの遊び!」
ロイド「はぁ・・・・?」
ユーキ「ゴロゴロしにきた!」
ロイド「帰れ」
ゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロ━━━━
ロイド「ちょっ!?」
ユーキ「一日中、遊びまくってきました。」
ロイド「止めろ!━━━汗くっさ!?」
◇━◇
ユーキちゃん、ユミスお嬢と遊ぶよ
の
コーナー
ユーキ「今こそ四門を開き、千年不敗伝説に新たな軌跡を描いてやろう!」
ユミス「四門?千年不敗?」
ユーキ「はぁ!!」
ユミス「なにぃ!?高速のステップで四人に分身したのだと!?」
ロイド「四門とは、四神になぞられた朱雀、玄武、白虎、青龍の四つの技の事だと言われている。しかし、真の四門は技単体に在らず。四門とはその状態を言うのだ。」
ラーゴ「!?」
ロイド「極限を越えた身体能力、リミッターを外したその状態が四門。あの状態で放たれる全てが必殺。」
ラーゴ「え、必殺なの!?遊びじゃないの?!」
ユーキ「いくぞ、ユミス!!」
ユミス「ふっ、こい!」(よく分からないけど、のった)
ラーゴ「あわわわわ!!ユミスぅ!」バッ!
ユミス「!?」ビクッ
ユーキ「と見せかけてからの、無空波!!!」
ラーゴ「ぐぁぁぁ!?」
ロイド「と言う感じなんだが。」
シェイリア「・・・・はぁ。」
◇━◇
久しぶりに、修羅の刻をみたので勢いだけで書きました。
アニメ、再開しないっすかね?
雷電編が見たいです。




