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召喚士されし者 56・お風呂天国

お待たせしました。

いつも読んでくださる皆様に、感謝であります。

 ロイドとラーゴが仲良く明日からの予定を立てているので、俺は余計な事に巻き込まれぬ内に部屋を脱出する。

 部屋を出る時ロイドに呼び止められた気がするが、一旦保留する事にした。風呂からあがったら聞いてやろう。


 まぁ、召喚獣を貸してとか、多分そんなんだろう。




 そろそろ風呂の時間な気がするので、着替えを持って浴場に行く。


 最初、ユミスにお風呂があると言われとても驚いた。この世界だと、お風呂は貴族や大商人くらいしか入らないと言われてたからだ。どうしても入りたくてタライのお風呂は何度かやったが、やはり足を伸ばせるお風呂には勝てないだろう。聞けば温泉でもあるらしいので、とてもワクワクである。


 暫くユミスが居なかったので、浴場は大分汚れていた。簡単には綺麗になりそうもないので、今日の所は諦めようかと思っていたのだが、シェイリアが待ったを掛けた。


「任せてくださいユーキ様!」


 そう息巻いて、ブラシデッキを肩に浴場にいってしまったのだ。旅の疲れもあるので一応止めたのだが、「大丈夫です」の一点張りでさっさと掃除を始めてしまった。


 ん?俺はしないのかって?

 やらせて貰えなかったよ。いつもと一緒だよ。

 雑用は意地でもやらさてくれないシェイリア。いつもの事ながら、これだけは絶対に譲ってくれない。


 泣き落としすら通用しなかった。

 なんだ、俺は雑用したら死ぬのか。


 因みにユミス御嬢様と言うと、シェイリアが有無も言わさず掃除に参加させている。



 浴場についた俺はドア越しに声を掛けた。


「シェイリアーー。掃除は終わった?」


「━━はい。ユーキ様。今お湯を通してますよ。入って来ても大丈夫です。」


 シェイリアからOKを貰ったので、服を脱衣場に脱ぎ捨て━━いや、畳んでおくか。


 ━━そう言えば、始めの頃は自分の体にドキドキしていたが、流石にそれはもう無いなぁ。言っても、自分の体だもんね。ドキドキしてる方がおかしいわ。うん。


 そんな事考えながら綺麗に畳んだ服に、よしっと指を差してから扉を開ける。


「おおっ!?」


 中に入ると、先程とはうって変わって浴場は綺麗に光り輝いていた。湯を抜いてあった風呂には埃がたまっていたが、今は綺麗な湯が張られている。水垢のあった床も、今はピカピカだ。


 すげぇ。

 結構汚れてたのに、これ一時間足らずでやったのか・・・・。



 ・・・・すげぇ。


「ユーキーーーー!お先ーーー。」


 俺がシェイリアの手腕に関心していると、アホのユミスがなんかほざいた。

 ・・・お先に?


 声の方を見ると、掃除していた筈のユミスが、服を脱ぎ捨て風呂に飛び込もうとしていた。


 俺は瞬時に魔方陣を構築し、ヤヨイを喚び出す。

 喚び出されたヤヨイは、俺の意思を汲み取りユミスを取り押さえる。


「ぐぁっ!?な、ヤヨイさん!?」

「主様のご命令です故。どうかそのままで。」


 ジタバタするユミスは取り合えずそのままにして、シェイリアの元へと向かう。


「おつかれーシェイリア。ありがとうな。」

「いいえ、いいんですよユーキ様。それよりいい湯加減ですよ。ゆっくり浸かって疲れをとって下さい。・・・それと、ユミスがどうかしました?」


 シェイリアが疑問符を浮かべる。


「ん?アイツはな、風呂の入り方がなってないから捕らえた。これからみっちり仕込んでやるんだ。」

「そうですか。・・・・あ、あの、ユーキ様。その、よろしければ、私にもお風呂の作法教えて貰えませんか?私、お風呂に入るの始めてでして・・・・。」


「・・・・あ。そう言えば、シェイリアが風呂に入る姿は見た事ないな。」

「ウチの故郷だと、お風呂に入る事はありませんでしたから。精々、川で体を洗うか、濡らしたタオルで体を拭いたりする位で。」


 んーーーーー。でもなぁ、シェイリアとお風呂、かぁ。

 大丈夫だろうか。俺、この子のおっぱいに2回やられてんだけど。うーん。・・・でもな、ユミスの裸見ても何ともないしなぁ。つか、アイツは何処と無く汚いな。さては、ちゃんと体拭いてないな。


「━━━まぁ、いいよ。」

「ありがとうございます!直ぐに準備して来ます!」


 シェイリアは嬉しそうにスキップして浴場を後にした。


「さて、シェイリアが戻ってくる前に・・・。」


 ヤヨイに命令し、ユミスを洗い場まで連れて来させる。


「何よーー。ユーキのケチーー。掃除頑張ったんだから、一番風呂入らせてよねーー。」


 ブーブーと小汚ないアホが文句を垂れる


「うるせぇ。一番風呂は入らせても良いけど、その小汚ないのは許せねぇ。せめて体を洗ってからにしろ。」

「えーーー、面倒くさいよ。風呂の中で洗えばいいじゃん。」

「良くないんだよ、たわけがっ!!!」

「うわっ!?びっくりした、父上みたいな事言わないでよ!」


 父上か。確かハクアの事だよな。

 今は治療院にいる筈のハクアさん、苦労したんだろうなぁ。

 ラーゴに口止めされてるから言えないけど、ユミスが今のお父さんの状態を知ったらどう思うんだろ。体洗うようになるかなぁ。


 ・・・・いや、不謹慎過ぎるな。反省、反省っと。


「誰が父上だ!アホめが!いいから体を洗え。洗わないと、ヤヨイが力の限り洗うぞ。」

「へ?」


 ユミスの後ろで、ヤヨイが洗う為に素振りを始める。

 モーションは確かに洗らう為の動きなのだが、速さが異常だった。タオルを持った手が分身している。

 あれで人を洗ったら、皮どころか肉までは削がれるな。


「さぁ。ユーキ様のご命令でございます。アホの雌豚を洗うなど些か不満ではありますが、やらせて貰いましょう。」

「大丈夫!!!私、自分で洗えるわ!」


 ゴシゴシと体を洗い始めたユミスをヤヨイに見張らせ、シェイリアの到着を待つ。


 ・・・・なんか遅くね。


 様子を見に行こうとドアに向かうと、丁度ドアが開いた。


「ユーキ様お待たせしました。いつもの石鹸が見当たらなくて━━」


 俺の前にたわわに育った白い双丘が揺れた。


「ぐはぁっ!!」


 咄嗟に俺は鼻を押さえ、血液の流出を防いだ。


「ユーキ様?大丈夫ですか?」


 シェイリアが無防備な格好で近づく。俺の視線は双丘から離れる事はなく、揺れる双丘を右へ左へ追ってしまう。


「だ、だ、だ、大丈夫だぁあ。ちょ、ちょっとのぼせただけ、だから。」

「そ、そうですか。あまり無理はしないで下さいね。」

「シェイリア、あの、教えるから、まずタオルを体に巻いてきて下さい。」

「え?あ、はい。分かりました。」



 タオルでがっちりおっぱいの隠れたシェイリアに、風呂の手順を教えていく。とは言っても、湯船に浸かる前に体を洗うとか、掛け湯してから入るとか、大した事は教えてないのだが。

 湯船にタオルを浸けない、と言うのは意図的に教えなかった。湯船が血に染まりそうだからだ。


 すっかり体を洗い終えた俺達4人は、ようやく湯船に体を沈める。


 数が多いって?

 ウチのキツネっ子だよ。


「はぁぁぁぁぁぁ。生き返るぅ。温泉最高ぉぉーー。」

「ユーキ父上みたいねーー。父上もそんな感じよ。」

「ユーキ様になんて失礼な事を・・・。ユミス、風呂から上がったら覚悟する事です。」

「まったく同感です、小娘。そこの雌豚は湯船から上がり次第、このヤヨイがお仕置きして差し上げましょう。」


「ひぃ。」


「止めろよ二人共ーー。」


「はい、ユーキ様。」

「御意に御座います。」


 久しぶりの風呂に、もとい温泉に身も心も蕩けそうだ。

 温い、なんて温いんだ。

 日本にいた頃は、そんなに風呂は好きじゃなかった。事実、シャワーで済ませる事のが多かった位だ。

 だと言うのに、世の中分からないもんだ。

 異世界に転生するは、おっぱいに挟まれるは、怪物とガチンコするは、お風呂好きになるは、色々ありすぎだろ。


 お湯の温さに惚けていると、バシャッバシャッとアホが泳ぎ出した。


「ユミス、お風呂泳ぐ場所じゃないぞ。」

「あっははは。堅いなーユーキは。私が許すからユーキも泳いでみなよー楽しいよー!」


 心の中でユミスをしめる事を決定し、取り合えずアホは無視する事にした。


「そう言えば、シェイリアは好きな男とかいる?」

「ぶっ!?な、何でふか、いきなり。」

「いや、何となく。だってこう言う女の子ーって感じの話、あのアホには意味ないし。じゃぁ、シェイリアかなぁって。」

「はぁ。そう言われましても・・・いませんよ、私も。」

「終わっちゃうだろ。それじゃ。・・・ロイドは?」

「・・・・はい?」

「ロイドは?」


「いや、何でその人が出て来たのか、さっぱり分かりませんけど、無いですよ。無いです。」


 じーーっとシェイリアの目を見つめる。

 シェイリアに変な汗が流れ始めた。


「無いですって!そんな疑いの眼差しで見ないで下さい!」

「えーーー?だってー怪しいじゃん?師範代になる為にロイドと一緒に色々頑張ったんでしょ。それに二人きりだと、お互い名前で呼ぶらしいじゃん。」

「なっ!?あの髭、そんな事まで。・・・・そ、それでは言わせて貰いますけど、ユーキ様の方こそどうですか?」

「どうって、俺子供だもん。無いよそんな浮わついた話。」


 あったとしたら、複雑極まりない状況だろうな。


「ユーキ様、私は忘れていませんよ!ユーキ様の憧れの人、フリークさんの事を!」



「・・・・・・ん?」


「てめぇら、全員ぶっ飛ばす。」

「ぶぅほっ!!!!」


 シェイリア、いきなり何言ってくれてんの!?


「違う!あれは違う!憧れてない!技だよ。凄いなーって思っただけで・・・」

「分かっています。ユーキ様のお心は十分承知済みです。また会えると良いですねー。」

「分かってなぁぁい!」



 そんな俺達のやり取りをじっと見ていたヤヨイが、ポツリと呟いた。


「いいなぁ。」


 お前、そう言うキャラだったのか。

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