↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/189

召喚士されし者 55・争いの火種

読んでくださる皆様方

いつもありがとう、ありがとうございます。

 あれから食事を御馳走になった俺達は、案内されるがままユミス家になっている別宅へと向かった。

 別宅は本宅ほどでは無いにしろ、屋敷と言うには十分な大きさだった。用意された部屋は二部屋。俺とシェイリアに一部屋、ロイドに一部屋だ。


 俺はシェイリアが風呂の準備している間、暇潰しにロイドの部屋に来ていた。今ロイドのベットでゴロゴロしている。


「もう、食えねえ。」


 ソファーに腰掛けたロイドが、膨らんだ腹をポンポンと叩く。

 見事なまでにポッコリ出たロイドのお腹。

 俺は、駄目もとで聞いてみた。


「ちょっと叩いてもいいか。」


 なんか生まれそうだ。

 そんな思いを抱きながら。


「・・・いやに決まってんだろ。叩くって何だ、叩くって。」

「生まれそう。」

「なんも生まれないわ。仮に生まれるとしても、叩いたら駄目だろ。」


 あっさり断られた俺は再びゴロゴロする。


「さっきから、ゴロゴロ、ゴロゴロ。一応俺のベットなんだけど。」

「柔らかいなぁ、このベット。いい匂いもする。」

「そのいい匂いはな、安眠出来るように執事さんが準備してくれたんだよ。ここで寝る、俺の為にな。いい匂いがお前の匂いになっちゃう前に、早く退きなさい。」



「・・・俺そんな臭いか?」


 クンクンと体を嗅いでみるがよく分からない。

 ローブを掴み上げ嗅いでみると、たしかに犬っぽい臭いがする。


「おい、おい。パンツ見えてるぞ、おちび。・・・はぁ、あのな、一応お前女の子なんだから、男の部屋でそう言うのは駄目だぞ。気をつけろ。」


 臭いを嗅ぐ為にローブをたくし上げた俺は、確かにパンツ丸見えな状態だった。


「ふーふふふ。ロイドのすけぇべえ。」

「ほざけ、10年早い。」

「んだとコラ。」


 ロイドと暫くじゃれあっていると、ドアがノックされた。


「ロイド、今良いだろうか?」


 どうやら、ラーゴが来たようだ。

 ロイドは俺を見る。


 ・・・ん?ああ、いいかって事?

 俺が頷くとロイドはドアに視線を向ける。


「ああ。別にいいぞ。」


 そうロイドが言うと、ラーゴが部屋に入ってきた。

 なんだか屋敷で別れた時より疲れているような顔をしている。

 ラーゴは俺に気づき足を止めた。


「いいから入ってこいよ。おちびにも聞いて貰った方が良い。」

「いや、その・・・。」


 煮え切らない態度に、俺はぴんと来た。


「えっ!あれか、ユミスに告白でもすんのか!?」

「ぶっほっ!!??」


 ラーゴが突然噴き出した。顔を真っ赤にして。


「な、なん、なんの事だか!?そ、そうじゃ無いんだけど、その拳竜家の話で。その。」

「そう言う事なら気にすんな。シェイリアの嬢ちゃんは確かに拳刀家に属しちゃいるが、俺とおちびは別だからよ。」

「そ、そうなの?ユーキさん?」


 ラーゴが目を丸くして俺を見てきた。

 俺は肯定の意味で頷く。


「・・・・そうか。いや、今更か。ユーキさん、ロイド、二人に聞いて貰いたい話があるんだ。」



「「?」」


 そしてラーゴは静かに語り始めた。


「キリシマ拳竜術、元当主ハクア・ドラグナスが何者かに襲撃された。」



 事の発端は、ユミス達がエルキスタの街を出てから5日程たった頃だったらしい。

 その日、いつものように門下生を扱き、ハクアは街に出掛けたそうだ。武祭の打合せの為に、中央区にある役所に向かったのだとか。

 しかし、それきりハクアは帰って来なかった。


 翌日になり、ハクアが街の治療院に預けられている事を伝えられた執事さんは、数人の門下生を引き連れ直ぐ様当主の元に向かったそうだ。


 そこで、執事達はハクアの無惨な姿を目にする事になった。


「命には別状は無かった。けれど、ハクア師匠はもう二度とまともな生活は送れないだろうって。実際、僕も見てきたけど、酷い状態だったよ。」


 お腹をさすりながら黙って聞いていたロイドが口を開く。


「・・・・で、どうしたいんだ。」


「ロイド、力を貸してくれないか。これは友人としてではなく、冒険者である君への依頼だ。」


 冒険者と呼ばれ、若干嬉しそうににやけるロイド。


「あ、お、まぁ、おう。━━内容をまず聞かせてくれ。」


 おぉ、出来る男の顔だ。あれで本当に出来たらもてるだろうに。


「うん。君に依頼したいのは二つ。襲撃者の割出と、襲撃者の討伐の助力。その二つだ。」


 今まで見た事もない程、ラーゴが殺気だった顔になる。

 こんな顔を出来るもんなのかと、俺は眺めていたが、ロイドは冷や汗をかいていた。


 コイツ、ビビったな。


「待て待て。討伐の手伝いだと?探すだけならまだしも、俺に戦えと?ラーゴ、今までお前は俺の何を見てきたんだ。」

「いや、君だからこそ頼むんだロイド。君の戦い方は旅の間に見させて貰った。確かに達人とまでは言えないけど、その冷静な判断力と空間把握の力は本物だよ。君のサポートが僕に必要なんだ。仮にも当主を倒す実力、もしくは方法がある相手だ。僕一人ではどうにも出来ない。」

「いや、でもなぁーー、あーーー、えーーーあっ、そう、報復的なのはいけないと思うなぁー俺は。」


 おぉ、逃げおった。


「僕もそう思う。けれど、やられたのはハクア師匠だけじゃないんだ。」


 ラーゴは懐から羊皮紙を取り出す。

 そこには人名が記されているようだ。


「同じような手口で、ウチの門下生が10人以上被害にあっている。これからも被害者が増える可能性が高い以上、放っておく訳にはいかない。ユミスだって狙われるかもしれない。」

「待てよラーゴ。お前は、あれだ、武祭があるだろ。手伝いとか、ほら、色々あるだろ。」


 ガッと、ラーゴがロイドの両肩を握る。


「頼むロイド!一緒に戦ってくれ!!」


 ロイドは肩を揺すられ、頭がカックンカックンしている。


「わ、分かった、分かったって。・・・・引き受けてもいいが、期待するなよ?いざとなったら逃げるからな。」


 なんとも格好悪い台詞を、ロイドは恥ずかしげも無く言った。

 こう言う時は本当いい顔するなぁ、コイツは・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。